第六章 変調
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「華鬼?――何がそんなに苦しいの?」
華鬼は危険だと、頭の中で警鐘が鳴り続けるのに、どうして自分は華鬼に近寄ろうとするのだろうと、神無は理解が出来なかった。
また華鬼も、神無はいらない花嫁だと口にしながらも踏み込みきれずにいる自身に苛立ちを感じていた。
―――――――
「ねえ陸ーー。夏休み明けてから、一体何が起きてるの?」
「どしたの、急に」
授業の合間の休憩時間に、杏がぼやく。
「だって陸、元気ないもん。……私じゃ頼りないかもしれないけど、話聞くよ?」
「杏は頼りなくなんてないよ!……でも、」
「木籐先輩のこと?」
「なんで、木籐?」
「違うの? 昨日女子寮に木籐先輩が来て、誰の部屋に泊まるーーって白熱バトルだったの」
「……」
その話を聞いて、絶句した。
(やっぱり昨日は杏の部屋に行かなくてよかった……。郡司と透には悪いことしたけど)
――そう。本当は杏の部屋に行く、という選択も出来たのだ。だが敢えてそうしなかった。女子寮には自分を妬む花嫁が多くいるというのも理由だが、一番の理由は違う。
杏は陸の花嫁としての欠陥は知らない。それだけは、伝えられなかったのだ。
「今起きてることは、木籐って言うより……木籐の花嫁さん、かな」
「花嫁さんが悪いの?」
「ううん、すごくいい子。……本当に、いい子なの」
「ふぅん……?」
(幸せになってほしいよ。でも……)
譲れないもの、ひとつ。
「じゃあさ、陸は今何に悩んでるの?」
「……悩んでないよ。ただちょっと、羨ましいんだ」
まだ聞きたいことは沢山あった。でも、陸の寂しそうな表情(かお)を見て、杏は押し黙った。
(……私も鬼の花嫁だったら。陸の苦しみをわかってあげられたのに)
「神楽さん!!」
その場の雰囲気を壊すような大きな声が教室内に響く。
「……森園くん? どうしたの?」
「「光晴が麗二に連れて行かれた!!」」
「…………は?」