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序章 ハジマリの刻:凛香(リンカ)

「ん?シュウ、今なんか言わなかった?」
「は?何も言ってねえよ?」
「朝からアタシに会うのが最悪だって聞こえたんだけど……?」
「そら耳じゃねえの?」
『げっ……こいつ人の考えてること分かるのか??いや――顔に出てただけだよな……』
どうやら、アレは夢じゃなかったらしい。
「シュウ、アタシ用事あるから行くね」
そういうと、シュウの喜ぶ声が頭に響いた。不思議なことに、シュウに嫌われていると判っても傷付かなかった。
アタシの周りにいる友達は、皆仲がいいわけじゃない。群れていたいだけ。一人でいるのが嫌だから、とりあえず一緒にいる。だから、信用出来るか?と言われたら、出来ると口で答えても心の中じゃ出来ないと思っている。
この世界で信用出来るのは自分だけ。そんな考えしかアタシには出来なかった。

しばらく歩いていくと、携帯にメールが着た。友達かな?と思って、メールを読んで思わず吹き出した。
『警告 今から1週間以内に、あなたの身近な人を殺します。これは私とあなたで行うゲームです。私が勝つか、あなたが勝つかのね……早く私を見つけ出さないと、あなたの身近な人が次々死んでいきますよ?それでは、健闘を祈ります(笑)』
アタシには死んで困るような身近な人間はいない。むしろ、そんなに大切な人は作らないと心に決めていたから……

チカラに慣れてきた頃には、アタシは誰かと必要以上に一緒にいることがなくなってた。喋っている事と、頭に響く声が重なって疲れるから……前みたいに誰かとつるむこともなくなって、一人でいることが多くなってた。
そんなある日、携帯がなった。聖園(ミソノ)からの電話だった。出ると、声がか細く震えていた……
「凛香……朝水(アサミ)が……朝水が変死体で見つかったらしいわ……さっきシュウからメールで教えて貰ったの……」
朝水とは、チカラが身につく前によくつるんでいた仲だった。噂では援交や薬をやってるとよく言われていたんだけど、そんな感じは微塵も感じさせないような子だった。
「最近学校にも来ないし、アソコにも顔出さないから心配してたんだけど……」
聖園は泣きながら話続けてた。
「あの噂――本当だったのかな??」
「あの噂?」
アタシはその時初めて口を開いた。
「あぁ――ウリや薬をやってたって事?」
「うん……朝水、そんな事するようには見えないのに……」
「やってたよ。前に一度、酔った勢いで自慢してたくらいだから」
アタシは、身近な人が死んだのに悲しくならなかった。
「凛香……悲しくないの?」
「不思議と……ね。どっちかっていうと、ざまあみろって感じかな?」
「変わったね、凛香……」
そういうと、聖園は黙って電話を切った。
電話で誰かと話したのは久しぶりだった――チカラは、どうやら電話の時には働かないらしい。しばらく窓の外を眺めていると、メールが着た。
『冗談かと思っているようですが、私は本気なんですよ?(笑)これで信じて頂けたでしょう?次は、少し休ませて頂いて、1ヶ月以内にまた、あなたの大切な人に死んでもらいましょう』
アタシは、携帯を投げ出して眠りについた。頭の中を整理する時間が必要だったから……
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