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大切な人

君との出会いは偶然だった。私がメルマガを発行していなかったら、君が私のメルマガを読んでいなかったら、私達は知り合えもしなかっただろう。

ただの知り合いから、友達になるのに時間はかからなかった。お互い『共通点』もあった。そのお陰か、いつの間にか私達は姉妹の様な関係になっていた。君は私を「姉さん」と呼んでくれた。妹がいない私には、それがとても嬉しかった。

「何かあったら、いつでもメールしてね?」
君はただ笑顔で頷いていた。心配しないで、そう言っているかの様な笑顔だった。心配させたくない、そう思っていたのかもしれない。

そんな君も、弱音を吐き、泣き、落ち込んだ事が多々あった。それでも、大丈夫だと言う。周りに心配させたくない、そんな思いが強かったんだろう。だけど、私には弱音を吐いて頼って欲しかった。妹だから、力になりたかった。

「いつか働けるようになったら、一緒に遊びに行こうね」
いつだったか、君とそんな約束を交わした。いつになるかなんて判らない。それなのに、君はとても楽しみにしてくれた。とても喜んでくれた。私も嬉しかった。少しでも、君に喜んで貰えたから。

気づいてあげるべきだった。君の異変に……手紙の返事がこない、それを不思議に思うべきだった。

最後にメールをした日からちょうど1ヶ月後、君は旅立ってしまった。私は何も知らずに、ただ君からの返事を待ち続け、君が好きだと言ってくれた小説の続きを書いていた。君が読んでくれていると信じ、直しながらアップしていた。少しでも良い文章で、君に読んで欲しかったんだ。

どれだけ悔やんでも、君は戻っては来ない。一人で傷ついて、苦しんで、そうやって辿り着いた先なんだろう。私が自己嫌悪に陥っても、君を悲しませるだけ、もしそうであれば私にはやらねばならない事がある。

そう、君が好きだと言ってくれた小説を書き上げ、君へと届ける事。それが『姉』として『妹』である君に出来る、唯一の手向けだと思っている。此方で読めずに終わってしまった話の続きは、君の居る新しい世界で読んで欲しい。


今は亡き妹へ捧ぐ――
『        』

まずは、手紙で君にお別れしよう。君に届く様に、空高く舞い上げて――。
「さようなら、大切な友達であり……妹よ」
いつまでも、君が安らかに眠れる事を祈ってるよ。
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