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第一章 出逢いの刻

閑那は優しく微笑みながら、凛香に告げた。
「わかった――会うだけなら……」
「ありがとう、凛香ちゃん」
閑那は凛香に向かって微笑むと、席を立った。
「ちょっと電話してくるから待っててね」
そういうと、閑那は部屋の奥へと消えていった。
しばらくして閑那が戻って来た時には、凛香は眠っていた。
「疲れちゃったのね、きっと……」

部屋でうたた寝をしていた時、携帯がなった。出てみると――
「涼、もしかして寝てたのかしら?」
携帯から聞こえたのは閑那の声だった。
「ん……あぁ、ちょっとな……」
眠い目を擦りながらも、涼は起き上がって煙草に手を伸ばした。
「何の用だよ……」
煙草に火を点けながら、涼は閑那に聞いた。
「昨日来て貰ったばかりで悪いんだけど、今から来てくれない?」
ふと時計に目をやると、まだ昼過ぎだった。
「なんでだよ……?」
「あの娘が来たからよ」
「は?」
「だから、もう1人の娘が来たからよ」
煙草を吸っても、まだ頭が働いていない涼。
「もう1人って――何のことだ?」
「アンタ……また薬飲んだの??」
閑那の呆れた声が聞こえた。
「あぁ……どうも寝付けなくてな……」
「まったく……飲むんなら夜にしなさいって何回も言ってるじゃないのよ」
「そうだったな……」
涼は心此処に在らずである。
「とにかく、すぐに来て頂戴。来なかったら――わかってるわね?」
「あぁ……」
適当に答える涼に、閑那は釘を刺した。
「薬……没収されたくなかったら、ちゃんと来なさいよ?」
「あぁ……」
「あのねぇ~――」
そういうと、閑那は電話を切った。涼はまだ寝ぼけている。
「起きなさい!本当に薬取り上げるわよ!?」
いきなり目の前に閑那が出現。状況が理解できない涼の前で、閑那は言った。
「そんなんだから、友達いなくなるのよ?」
「うっせ~な――んなこと、言われなくても解ってるんだよ……」
「起きたわね?」
「は?」
「ちゃんと起きたわね?」
「あぁ……」
「じゃあ、着替えたら店に来てよ?」
「分かった……」
涼が覚醒したのを確認すると、閑那は消えた。何をしに来たのか――そんなことを考えながら、涼は顔を洗いに行った。
「意外と……早かったな」
鏡の中の自分にそう言い、涼は苦笑していた。

昼休みの学校。いつもの如く3人で昼食を食べていると、咲羅の携帯が鳴った。その着メロに驚いた咲羅は、慌てて電話にでた。
「もしもし……はい……はい……わかりました。じゃあ、また後で――」
電話を切った咲羅は、綾芽と眞葵に向かって電話の内容を告げた。
「閑那さんがね、今日も来て欲しいって。昨日話した娘が来てるんだって……だから――」
そこまで言うと咲羅は俯いてしまった。
「どうしたの、咲羅?」
綾芽が心配そうに聞く。
「授業をサボって来い……か?」
「うん……でも――」
「わかった。私だけで行くよ」
「えっ……?」
「仕方がないでしょ?咲羅は私と違ってサボれないし、眞葵は出席日数とかヤバいんだから」
「ごめんなさい……」
「悪ぃな……」
「いいよ。2人は巻き込まれただけだって閑那さんが言ってたでしょ?本当なら私が2人に謝らなきゃいけないんだろうしね」
綾芽が2人にごめんねと軽く謝った。
咲羅は一緒に行けなくてごめんなさいと、本当に申し訳なさそうにしている。
「別に、俺は一緒に行っても構わないよ?綾芽さん」
眞葵が真剣な顔で言った。しかし、綾芽には一人で大丈夫だと即答され、かなりヘコんでいた。
「眞葵は卒業がかかってるんだから駄目だよ」
苦笑しながら綾芽は気持ちだけでも嬉しいよと付け足し、急いで残りの昼食を胃に収めていった。

「じゃ、後の事は頼んだよ?」
笑顔で二人に言い訳などを頼み、教室を去った。そして、咲羅はなにやら電話をかけ始めた。
「もしもし、咲羅です。――はい、私と眞葵は行けそうにないので……えぇ、今綾芽が一人でそちらに向かいました。――はい……解りました……失礼します」
電話を切った咲羅に、眞葵は尋ねた。
「何か不味い事になったのか?」
「違うの……そうじゃない……ただ――」
「ただ?」
「嫌な予感がするのよ……」
「嫌な予感――ねぇ……」

「あら……目が覚めたみたいね?」
「ココ――は?」
「私の仮眠室よ。ソファーで寝てたら起きた時にキツいでしょ?悪いとは思ったけど、運ばせて貰ったわ」
さっきまでいた部屋の明かりが、ドアの隙間から差し込んでいた。目を擦りながら、体を起こす凛香。まだ体がだるかった。
「最近ちゃんと寝てないでしょ?」
「え……?」
「熟睡してたみたいだし」
久々に夢も見ずに寝ていた――何も考えずに寝れた様だった。
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