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第一章 出逢いの刻

閑那に促されるまま、ソファに腰を下ろした凛香。
初めて来た場所なのに、何故か落ち着く。前から知っている、とても親しい人の部屋に来ているような、そんな錯覚に陥っていた。
「どうぞ」
そう言い、閑那は紅茶を凛香に差し出した。
「ありがと……」
「貴女が来るのを待ってたのよ、凛香ちゃん」
「どうして……アタシの名前知ってるの??」
「ミカドに聞いたわ」
この人――ミカドを知ってるの??どうして――頭がパニックになってきた凛香。そんな凜香に、閑那は優しく語りだした。
「ミカドはね、私の弟なの。もうだいぶ前に死んじゃったんだけどね……今は私の中で生きてるの。普段は私の夢の中にしか出てこないんだけど、今回はちょっとワケがあってね――」
「ワケ?」
「そう……誰かがこの世界を壊そうとしているのよ」
「は?」
いきなり非現実的な事を言い出した閑那に、凛香は思わず声を出してしまった。
「今はまだ試験的な事で済んでるけど――相手は人間じゃないのよ。そうね……例えて言うなら……」
そこで閑那の言葉は詰まってしまった。
「なに?ユーレイが世界を壊すとでも言いたいワケ?!」
凛香がイラつきながら言った。突然わけわからんこと言うなと、そう心で思いながら……
「ごめんなさいね。突然こんな事言っても解らないわよね」
苦笑しながら閑那は続けた。
「貴女に変なメールが着たでしょ?」
「変なメール?」
「そう、心当たりない?」
心当たりは……ある。多分あのメールだろうなと思っていたら――
「そのメールよ。貴女の他にも同じ内容のメールを受け取った子達がいるの」
「アタシの他にも?」
「えぇ、その子達とはもう会ったわ。貴女以外は私の知り合いだったからね」
「そうなんだ……って、なんでアンタはアタシの考えてる事が分かったの?」
自分以外にも、人の考えてる声が聞こえる人が……いる??凛香の頭の中を、そんな考えが過ぎった。
「クスッ。私には貴女と似たようなチカラがあるのよ。だから、貴女の考えている事は手に取るように解かるわ」
馬鹿にされている――凛香はそんな気持ちになった。
「ごめんなさいね?私は貴女を馬鹿にしているわけじゃないのよ。ミカドが自分のチカラをあんなに嫌っていたうえ、誰にも同じ目にあって欲しくないって言ってたのに貴女には何故かチカラを分け与えたから……つい」
閑那の考えている事がわからない……こんな事は初めてだった。
「なんで……なんでアンタの考えてる事がわかんないの!?」
今まで頭に声が響かない相手はいなかった。でも、目の前にいる閑那は違う。何故か喋っている事しか聞こえない。まるで電話で話しているみたいだ。
「言ったでしょ?私にも似たようなチカラがあるって。だから、同じようなチカラを持つ人間への接し方も知っているのよ」
「接……し方……?」
「そうよ。まぁ、簡単よ。嘘を吐かなきゃいいだけなんだもの」
「嘘を……吐かないだけ?」
「えぇ。嘘を吐いているから、頭では違う事を考えちゃうの。どうしたら騙せるか。どうやったらバレないか――そんな事ばかり考えてるから、私達みたいなニンゲンには声と一緒に頭にもコトバが響くのよ」
自分と閑那はミカドによって繋げられていた。人間は、必ずどこかで繋がっている。昔、誰かがそんなことを言ってたっけ――凛香は何故かそんな事を考えていた。
「話を戻しましょうか」
 閑那は優しい声で凛香に語りかけた。
「あのメール、貴女以外にも受け取った人がいる事までは話したわよね?」
「えっ……あ、うん」
「じゃあ、今度その人達と会ってくれない?」
「はい?」
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