知りたい事
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「さて――教えて貰えるね?」
「うん。そのつもり」
【白夜】が還った翌日、ヒソカは【世界の理】についてナマエに説明を求めていた。
「簡単な話だよ。この【世界】には、【人間】や【魔獣】以外にも【魔物】と呼ばれる存在がいる。【魔物】は主に人の怨念が形になったモノ。人に災いを齎すけど、時には長い年月を掛けて【白夜】達みたいに人間を護る立場に変わる事がある。それが【式鬼】の元。【式鬼】は【魔物】だった存在と交渉して、己の力に変えてるの。【白夜】を例にするなら、彼女は3000年以上生きてる【空狐(クウコ)】と呼ばれる存在。昔はそれこそ【人間】に対して悪さをしていたけど、ある日を境に【人間】を護る立場になったんだって。詳しい事は教えて貰ってないけど、私みたいに【神子】とか【祝福されし者】って呼ばれる存在は、【白夜】達と交渉する権利があるの」
「興味深い話だね♦」
「ヒソカは普通の【人間】だから、【式鬼】を得る事は出来ない。だけど、元が人の怨念だっていう事を知っているだけで【念能力】である程度の撃退は出来るの。何故なら、元を正せばソレ等は【人間】だったんだから。この世で一番怖いのは、【魔獣】でも【魔物】でもない。【人間】なんだよ」
『だから大物相手じゃない限りは、ヒソカでも退治なら出来るの』とナマエは続けた。
「一つ、疑問がある♣」
「何?」
「何故キミは【神子】に選ばれたんだい?」
「何故って言われても……私が【白夜】達にとって異質な存在だからじゃないかな」
「異質?」
「そう。いきなり降って湧いた【人間】は、【魔物】にとってとても重要な意味があるらしいの。それは私には判らない。ただ、『お前は異質な存在だ』って言われて育ったから、それは事実なんだと思う」
『これも私が知りたい事の一つなんだけどね』と言いながら、ナマエは頬を掻いていた。
「なら、一緒にナマエが知りたいその答えを探そう♦」
「へ?」
「ボクも手伝うよ♠」
「……良いの?」
「もちろん♥」
思いも寄らないヒソカからの提案に、ナマエは一瞬頭が真っ白になった。まさかこんなくだらない話に協力するという申し出を得られるとは思っていなかったのだ。
「……有難う」
「どう致しまして♥」
知らず知らずの内に涙を零しているナマエを、ヒソカは黙って抱き寄せた。
抱き寄せると、その背中を擦ってやる。そんなヒソカの優しさに、ナマエは肩の荷が下りた気がした。
「まずは、キミがどうして異質な存在と呼ばれているのかを探ろうか♣」
「その事なんだけどさ……」
ナマエは言い淀んだ。自身が知っている事を話して混乱を招かないかどうかが分からないからだ。
「何か知っているのかい?」
「知ってるっていうか――【十夜】が【白夜】に話しているのを、小さい頃に聞いた事があるの」
「へェ♠どんな内容だい?」
「『赤子が突然降って湧いた』って言ってたかな……何も無かった樹の根元から突然赤ん坊の鳴き声が聞こえて、振り向いたら私がいたって。それからかな?悪意のない【魔物】全般が私に構う様になったのは。【杜樹(トキ)】にもその噂が耳に届いてたらしくて、会った瞬間に『お前が異質の者だな?』って言われたんだったなぁ」
昔を懐かしむ様に言うナマエ。
その表情はどこか悲しげでもあった。
「突然降って湧いた?現実にそんな事って起こり得るんだね♦」
「まぁ、嘘か本当かは解らないけど……【十夜】の性格上、嘘ではないと思う」
「ますます謎だね♣」
「師匠は多分この事を知らないと思う。『森に【魔獣】に育てられている子がいる』って噂話を信じて、【白夜】を探しだして説得したらしいから」
「キミが拾われた場所、判るかい?」
「【十夜】に訊けば多分……けど、【十夜】はその事にあまり触れたがらないんだ」
眉根を寄せるナマエの頭を撫でてやりながら、ヒソカは考えた。いかに【十夜】から話を聞き出すか……あの狼のナリをした【犬神】という存在は、あくまでナマエに忠実だが、その命には絶対服従という訳では無いようだ。
「とりあえず、訊くだけ訊いてみようか♦」
「そうだね……【十夜】、出てきて!」
ナマエの声に呼応し、一陣の風が吹く。
「主よ、何か用か?」
「うん。そのつもり」
【白夜】が還った翌日、ヒソカは【世界の理】についてナマエに説明を求めていた。
「簡単な話だよ。この【世界】には、【人間】や【魔獣】以外にも【魔物】と呼ばれる存在がいる。【魔物】は主に人の怨念が形になったモノ。人に災いを齎すけど、時には長い年月を掛けて【白夜】達みたいに人間を護る立場に変わる事がある。それが【式鬼】の元。【式鬼】は【魔物】だった存在と交渉して、己の力に変えてるの。【白夜】を例にするなら、彼女は3000年以上生きてる【空狐(クウコ)】と呼ばれる存在。昔はそれこそ【人間】に対して悪さをしていたけど、ある日を境に【人間】を護る立場になったんだって。詳しい事は教えて貰ってないけど、私みたいに【神子】とか【祝福されし者】って呼ばれる存在は、【白夜】達と交渉する権利があるの」
「興味深い話だね♦」
「ヒソカは普通の【人間】だから、【式鬼】を得る事は出来ない。だけど、元が人の怨念だっていう事を知っているだけで【念能力】である程度の撃退は出来るの。何故なら、元を正せばソレ等は【人間】だったんだから。この世で一番怖いのは、【魔獣】でも【魔物】でもない。【人間】なんだよ」
『だから大物相手じゃない限りは、ヒソカでも退治なら出来るの』とナマエは続けた。
「一つ、疑問がある♣」
「何?」
「何故キミは【神子】に選ばれたんだい?」
「何故って言われても……私が【白夜】達にとって異質な存在だからじゃないかな」
「異質?」
「そう。いきなり降って湧いた【人間】は、【魔物】にとってとても重要な意味があるらしいの。それは私には判らない。ただ、『お前は異質な存在だ』って言われて育ったから、それは事実なんだと思う」
『これも私が知りたい事の一つなんだけどね』と言いながら、ナマエは頬を掻いていた。
「なら、一緒にナマエが知りたいその答えを探そう♦」
「へ?」
「ボクも手伝うよ♠」
「……良いの?」
「もちろん♥」
思いも寄らないヒソカからの提案に、ナマエは一瞬頭が真っ白になった。まさかこんなくだらない話に協力するという申し出を得られるとは思っていなかったのだ。
「……有難う」
「どう致しまして♥」
知らず知らずの内に涙を零しているナマエを、ヒソカは黙って抱き寄せた。
抱き寄せると、その背中を擦ってやる。そんなヒソカの優しさに、ナマエは肩の荷が下りた気がした。
「まずは、キミがどうして異質な存在と呼ばれているのかを探ろうか♣」
「その事なんだけどさ……」
ナマエは言い淀んだ。自身が知っている事を話して混乱を招かないかどうかが分からないからだ。
「何か知っているのかい?」
「知ってるっていうか――【十夜】が【白夜】に話しているのを、小さい頃に聞いた事があるの」
「へェ♠どんな内容だい?」
「『赤子が突然降って湧いた』って言ってたかな……何も無かった樹の根元から突然赤ん坊の鳴き声が聞こえて、振り向いたら私がいたって。それからかな?悪意のない【魔物】全般が私に構う様になったのは。【杜樹(トキ)】にもその噂が耳に届いてたらしくて、会った瞬間に『お前が異質の者だな?』って言われたんだったなぁ」
昔を懐かしむ様に言うナマエ。
その表情はどこか悲しげでもあった。
「突然降って湧いた?現実にそんな事って起こり得るんだね♦」
「まぁ、嘘か本当かは解らないけど……【十夜】の性格上、嘘ではないと思う」
「ますます謎だね♣」
「師匠は多分この事を知らないと思う。『森に【魔獣】に育てられている子がいる』って噂話を信じて、【白夜】を探しだして説得したらしいから」
「キミが拾われた場所、判るかい?」
「【十夜】に訊けば多分……けど、【十夜】はその事にあまり触れたがらないんだ」
眉根を寄せるナマエの頭を撫でてやりながら、ヒソカは考えた。いかに【十夜】から話を聞き出すか……あの狼のナリをした【犬神】という存在は、あくまでナマエに忠実だが、その命には絶対服従という訳では無いようだ。
「とりあえず、訊くだけ訊いてみようか♦」
「そうだね……【十夜】、出てきて!」
ナマエの声に呼応し、一陣の風が吹く。
「主よ、何か用か?」