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「【八咫烏】……いや【墨允(スミノブ)】よ、これから訪れるであろう迷い子達へ祝福を」
「……御意」
ナマエは肩の傷を抑えながら、【墨允】に命じていた。
そこまで言うと、ナマエはフラフラと地に伏した。
「ナマエ!?大丈夫かい??」
ヒソカが抱き上げると、その肩からはぬるりと嫌な感触がした。
「はは……人型相手はやっぱ疲れるわ」
苦笑気味に言うナマエを抱き抱え、ヒソカは森から抜けようと歩き出す。
「小僧、何処に行く気だ?」
「ナマエを宿に連れて行く♣傷の手当をしてあげなきゃね♦」
「道案内が必要だろ?オレが先導する。【空狐(クウコ)】、お前ェ等はもう戻れ。これ以上いてもナマエの負担になるだけだ」
「フン……【童子(ドウジ)】に言われなんでも、解っておるわ。戻るぞ。【十夜】、【十六夜】」
【白夜】の声に、【杜樹】を残して【式鬼】達は還った。
「おら、こっちだ小僧」
【杜樹】は迷う事無く森を進んだ。その背に置いていかれぬ様、ヒソカはナマエを抱き抱えて後を追った。
数十分森の中を歩いていると、やがて家屋が見え始める。
「ヒソカ、もう歩けるから下ろして」
「ダメ♠」
「ヒソカ!?」
「怪我をしてるんだ♦今はボクの言う事を聞いて貰うよ♠」
『仕事は終わったんだろ?』と追い打ちを掛ける様に問い質すヒソカ。
そのヒソカ相手に抗議する程の体力が、今のナマエには無かった。
森を抜け出て、昨日泊まった宿までヒソカは走った。その隣には、いまだ還っていない【杜樹】の姿もあった。
宿に着き部屋に入ると、【杜樹】はいきなりナマエの上着を脱がせ始める。
「何をしてるんだい?」
殺気立ちながらヒソカは【杜樹】に言うも、【杜樹】は気にせずナマエの服を乱している。
「やっぱ爛れてるじゃねェか……」
「そりゃ痛いからね」
「何でジャポン酒を持ち歩かねェんだよ?!」
「面倒臭いじゃん?【杜樹】がいれば、ジャポン酒を持ち歩く必要ないし」
大怪我を負ってなお、悪びれる事無く言うナマエ。
そんなナマエの傷口を見て、ヒソカは言葉を失った。【杜樹】が【鬼】のお酒を掛けていた箇所が、酷く爛れているのだ。
「ナマエ……」
「何?」
「どうしてこんな傷を作ってしまったんだい?」
「必要だったから」
「キミが傷つく必要はないだろ?」
「【般若】の苦しみのを受け入れる【対価】なんだよ、これは」
「……何故あんな【魔物】の苦しみを請け負うんだ?ボクには理解出来ないな」
真剣な面持ちでナマエの顔を覗き込みながら、ヒソカは続けた。
「キミは【人間】であって【魔物】じゃない。どうして奴等の痛みを背負おうとする?」
「それは――私が【鬼子】と呼ばれる存在だからだよ」
「さっきから気になってたんだけど、そもそも【鬼子】って何だい?」
「【杜樹】が言ってたでしょ?【鬼】に祝福されし者。簡単に言えば、【鬼】の寵愛を受けてるんだよ。まぁ、そうは言っても相手は【杜樹】だけだけどね」
「そう言う事だ、小僧。オレはナマエを特別視してんだ。だから【鬼】であるオレがナマエに力を貸す事にした。ナマエだからこそ、だ」
『普通は勝負に負けても力は貸さねェよ』と【杜樹】は続けた。
「キミ達は……互いに想い合ってるって事かい?」
「違ェよ。オレが一方的に想ってるだけだ。ナマエが想いを寄せてるのは――小僧、テメェだけだ」
【杜樹】の言葉に、ヒソカはそれでも納得出来ない部分があった。
「少なくとも、悔しいがコイツの【特別】はオレじゃねェ。テメェなんだよ」
乱雑にナマエの頭を撫でながら、【杜樹】はヒソカに向き直った。
「オレは戻る。後は当事者同士で片ァ付けろや」
言うなり【杜樹】は煙とお酒の匂いを残して消えた。
後に残された2人を気不味い空気が包み込む。
数分が数十分にも数時間にも感じられる時間に耐えられなくなり、ナマエは口を開いた。
「【杜樹】が言っていた事は本当の事。私が特別視しているのはヒソカだけ。ちゃんとヒソカの事を想ってる。でも、こういう私を受け入れられないなら……私はヒソカの前から消える。ヒソカのオーラを感じたら、会わない様に逃げる」
「……それは、キミの本心なのか?」
「……御意」
ナマエは肩の傷を抑えながら、【墨允】に命じていた。
そこまで言うと、ナマエはフラフラと地に伏した。
「ナマエ!?大丈夫かい??」
ヒソカが抱き上げると、その肩からはぬるりと嫌な感触がした。
「はは……人型相手はやっぱ疲れるわ」
苦笑気味に言うナマエを抱き抱え、ヒソカは森から抜けようと歩き出す。
「小僧、何処に行く気だ?」
「ナマエを宿に連れて行く♣傷の手当をしてあげなきゃね♦」
「道案内が必要だろ?オレが先導する。【空狐(クウコ)】、お前ェ等はもう戻れ。これ以上いてもナマエの負担になるだけだ」
「フン……【童子(ドウジ)】に言われなんでも、解っておるわ。戻るぞ。【十夜】、【十六夜】」
【白夜】の声に、【杜樹】を残して【式鬼】達は還った。
「おら、こっちだ小僧」
【杜樹】は迷う事無く森を進んだ。その背に置いていかれぬ様、ヒソカはナマエを抱き抱えて後を追った。
数十分森の中を歩いていると、やがて家屋が見え始める。
「ヒソカ、もう歩けるから下ろして」
「ダメ♠」
「ヒソカ!?」
「怪我をしてるんだ♦今はボクの言う事を聞いて貰うよ♠」
『仕事は終わったんだろ?』と追い打ちを掛ける様に問い質すヒソカ。
そのヒソカ相手に抗議する程の体力が、今のナマエには無かった。
森を抜け出て、昨日泊まった宿までヒソカは走った。その隣には、いまだ還っていない【杜樹】の姿もあった。
宿に着き部屋に入ると、【杜樹】はいきなりナマエの上着を脱がせ始める。
「何をしてるんだい?」
殺気立ちながらヒソカは【杜樹】に言うも、【杜樹】は気にせずナマエの服を乱している。
「やっぱ爛れてるじゃねェか……」
「そりゃ痛いからね」
「何でジャポン酒を持ち歩かねェんだよ?!」
「面倒臭いじゃん?【杜樹】がいれば、ジャポン酒を持ち歩く必要ないし」
大怪我を負ってなお、悪びれる事無く言うナマエ。
そんなナマエの傷口を見て、ヒソカは言葉を失った。【杜樹】が【鬼】のお酒を掛けていた箇所が、酷く爛れているのだ。
「ナマエ……」
「何?」
「どうしてこんな傷を作ってしまったんだい?」
「必要だったから」
「キミが傷つく必要はないだろ?」
「【般若】の苦しみのを受け入れる【対価】なんだよ、これは」
「……何故あんな【魔物】の苦しみを請け負うんだ?ボクには理解出来ないな」
真剣な面持ちでナマエの顔を覗き込みながら、ヒソカは続けた。
「キミは【人間】であって【魔物】じゃない。どうして奴等の痛みを背負おうとする?」
「それは――私が【鬼子】と呼ばれる存在だからだよ」
「さっきから気になってたんだけど、そもそも【鬼子】って何だい?」
「【杜樹】が言ってたでしょ?【鬼】に祝福されし者。簡単に言えば、【鬼】の寵愛を受けてるんだよ。まぁ、そうは言っても相手は【杜樹】だけだけどね」
「そう言う事だ、小僧。オレはナマエを特別視してんだ。だから【鬼】であるオレがナマエに力を貸す事にした。ナマエだからこそ、だ」
『普通は勝負に負けても力は貸さねェよ』と【杜樹】は続けた。
「キミ達は……互いに想い合ってるって事かい?」
「違ェよ。オレが一方的に想ってるだけだ。ナマエが想いを寄せてるのは――小僧、テメェだけだ」
【杜樹】の言葉に、ヒソカはそれでも納得出来ない部分があった。
「少なくとも、悔しいがコイツの【特別】はオレじゃねェ。テメェなんだよ」
乱雑にナマエの頭を撫でながら、【杜樹】はヒソカに向き直った。
「オレは戻る。後は当事者同士で片ァ付けろや」
言うなり【杜樹】は煙とお酒の匂いを残して消えた。
後に残された2人を気不味い空気が包み込む。
数分が数十分にも数時間にも感じられる時間に耐えられなくなり、ナマエは口を開いた。
「【杜樹】が言っていた事は本当の事。私が特別視しているのはヒソカだけ。ちゃんとヒソカの事を想ってる。でも、こういう私を受け入れられないなら……私はヒソカの前から消える。ヒソカのオーラを感じたら、会わない様に逃げる」
「……それは、キミの本心なのか?」