一次試験
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「この湿原の生き物は、ありとあらゆる方法で獲物を欺き捕食しようとします。標的を騙して食い物にする生物の生態系……“詐欺師の塒”と呼ばれる所以です。騙される事の無い様、注意深くしっかりと私の後をついて来て下さい」
サトツが注意を言い終わると、突然階段への道の影から何かが叫んで出てくる気配がした。
「ウソだ!!そいつはウソを吐いている!!そいつはニセ者だ!!試験官じゃない、オレが本当の試験官だ!!」
サトツを指差し、出てきた男はなおも叫ぶ。
「ニセ者!?どういう事だ!?」
「じゃ、こいつは一体……!?」
「これを見ろ!!ヌメーレ湿原に生息する人面猿!!」
男が死んでいるであろう人面猿を前に出すと、多くの受験生が息を呑んだ。
「あの男……人間の臭いがしない――むしろ、あの猿と同じ臭いがする」
「へェ……♣分かるのかい?」
「これでも獣の臭いには敏感でね。判るんだよ、人間と獣の臭いの違いは」
ナマエは呟くと、男を睨みつけた。
「人面猿は新鮮な人肉を好む。しかし、手足が細長く非情に力が弱い。そこで自ら人に扮し、言葉巧みに人間を湿原に連れ込み他の生き物と連携して獲物を生け捕りにするんだ!!そいつはハンター試験に集まった受験生を一網打尽にする気だぞ!!」
「……自己紹介乙」
ナマエは男からサトツに視線を移し、どうする気なのかを探っていた。
しかし、動いたのはサトツではなく、隣にいたヒソカだった。
ヒソカは複数枚のトランプを男とサトツに向かって投げつける。
トランプを顔面で受け止める男。両手で受け止めるサトツ。これで視覚的にも、どちらが試験官なのかは一目瞭然となった。
「くっく♠なる程なる程♣」
ヒソカは両手でトランプを操りながら、1人納得していた。
その時、死んでいると見せかけた人面猿が逃げ出そうとする。そこへヒソカはまたもトランプを投げつけた。これで男と人面猿は完全に息を引き取った。
「……!!」
「あの猿、死んだふりを……!?」
「これで決定♦そっちが本物だね♥」
ヒソカが投げたトランプを指で弾くサトツに、視線が集中した。
「試験官というのは、審査委員会から依頼されたハンターが無償で任務につくもの♠我々が目指すハンターの端くれともあろう者が、あの程度の攻撃を防げない訳がないからね♣」
「褒め言葉と受け取っておきましょう。しかし、次からは如何なる理由でも私への攻撃は試験官への反逆行為と見做して即失格とします。宜しいですね?」
「はいはい♦」
「……」
ヒソカは褒めてと言わんばかりに屈んでナマエを見つめた。呆れたナマエは溜息を吐きつつ、ヒソカの頭を撫でてやる。
「♪」
ヒソカの頭を撫でていると、男と人面猿の死体に、湿原に生息している鳥が群がった。
「あれが敗者の姿です」
「うっ」
「……自然の掟とはいえ、エグいもんだぜ」
「私をニセ者扱いして受験生を混乱させ、何人か連れ去ろうとしたんでしょうな。こうした命懸けの騙し合いが日夜行われている訳です。何人かは騙されかけて、私を疑ったんじゃありませんか?」
サトツの言葉に、何人かの受験生は苦笑していた。
「それでは参りましょうか、二次試験会場へ」
湿原に突入しても、サトツのペースは変わらなかった。泥濘に足を取られながらも、ナマエは懸命に走ってついて行く。
辺りに霧が立ち込めた辺りで、ヒソカのオーラが変わった。視線をヒソカへ移すと、怪しく笑いながら舌舐めずりをしている。
「……ヒソカ」
「何だい?」
「その物騒な殺気、しまって」
「んー……無理♦ナマエが唇にキスしてくれたら、鎮まるかも♥」
「ハァ……なら、被害は必要最低限にして」
「うん♣」
先頭集団から離れ、霧が一段と濃くなってきた頃だった。前方や後方を走っている受験生が悲鳴を上げ始めた。
「?」
「大方、湿原の生き物にヤられたんでしょ」
「判るのかい?」
「木々がざわついてるからね」
『わざわざ【円】を使うまでもないよ』と言いながら、ナマエは前を向いて走る。
暫く走った所で、ヒソカは立ち止まった。
「ナマエ♥」
「はいはい。早く終わらせてね」
「うん♥」
ヒソカは返事をすると、早速動き始めた。無造作にトランプを投げつけたと思ったら、あちこちから悲鳴が聞こえ始める。
サトツが注意を言い終わると、突然階段への道の影から何かが叫んで出てくる気配がした。
「ウソだ!!そいつはウソを吐いている!!そいつはニセ者だ!!試験官じゃない、オレが本当の試験官だ!!」
サトツを指差し、出てきた男はなおも叫ぶ。
「ニセ者!?どういう事だ!?」
「じゃ、こいつは一体……!?」
「これを見ろ!!ヌメーレ湿原に生息する人面猿!!」
男が死んでいるであろう人面猿を前に出すと、多くの受験生が息を呑んだ。
「あの男……人間の臭いがしない――むしろ、あの猿と同じ臭いがする」
「へェ……♣分かるのかい?」
「これでも獣の臭いには敏感でね。判るんだよ、人間と獣の臭いの違いは」
ナマエは呟くと、男を睨みつけた。
「人面猿は新鮮な人肉を好む。しかし、手足が細長く非情に力が弱い。そこで自ら人に扮し、言葉巧みに人間を湿原に連れ込み他の生き物と連携して獲物を生け捕りにするんだ!!そいつはハンター試験に集まった受験生を一網打尽にする気だぞ!!」
「……自己紹介乙」
ナマエは男からサトツに視線を移し、どうする気なのかを探っていた。
しかし、動いたのはサトツではなく、隣にいたヒソカだった。
ヒソカは複数枚のトランプを男とサトツに向かって投げつける。
トランプを顔面で受け止める男。両手で受け止めるサトツ。これで視覚的にも、どちらが試験官なのかは一目瞭然となった。
「くっく♠なる程なる程♣」
ヒソカは両手でトランプを操りながら、1人納得していた。
その時、死んでいると見せかけた人面猿が逃げ出そうとする。そこへヒソカはまたもトランプを投げつけた。これで男と人面猿は完全に息を引き取った。
「……!!」
「あの猿、死んだふりを……!?」
「これで決定♦そっちが本物だね♥」
ヒソカが投げたトランプを指で弾くサトツに、視線が集中した。
「試験官というのは、審査委員会から依頼されたハンターが無償で任務につくもの♠我々が目指すハンターの端くれともあろう者が、あの程度の攻撃を防げない訳がないからね♣」
「褒め言葉と受け取っておきましょう。しかし、次からは如何なる理由でも私への攻撃は試験官への反逆行為と見做して即失格とします。宜しいですね?」
「はいはい♦」
「……」
ヒソカは褒めてと言わんばかりに屈んでナマエを見つめた。呆れたナマエは溜息を吐きつつ、ヒソカの頭を撫でてやる。
「♪」
ヒソカの頭を撫でていると、男と人面猿の死体に、湿原に生息している鳥が群がった。
「あれが敗者の姿です」
「うっ」
「……自然の掟とはいえ、エグいもんだぜ」
「私をニセ者扱いして受験生を混乱させ、何人か連れ去ろうとしたんでしょうな。こうした命懸けの騙し合いが日夜行われている訳です。何人かは騙されかけて、私を疑ったんじゃありませんか?」
サトツの言葉に、何人かの受験生は苦笑していた。
「それでは参りましょうか、二次試験会場へ」
湿原に突入しても、サトツのペースは変わらなかった。泥濘に足を取られながらも、ナマエは懸命に走ってついて行く。
辺りに霧が立ち込めた辺りで、ヒソカのオーラが変わった。視線をヒソカへ移すと、怪しく笑いながら舌舐めずりをしている。
「……ヒソカ」
「何だい?」
「その物騒な殺気、しまって」
「んー……無理♦ナマエが唇にキスしてくれたら、鎮まるかも♥」
「ハァ……なら、被害は必要最低限にして」
「うん♣」
先頭集団から離れ、霧が一段と濃くなってきた頃だった。前方や後方を走っている受験生が悲鳴を上げ始めた。
「?」
「大方、湿原の生き物にヤられたんでしょ」
「判るのかい?」
「木々がざわついてるからね」
『わざわざ【円】を使うまでもないよ』と言いながら、ナマエは前を向いて走る。
暫く走った所で、ヒソカは立ち止まった。
「ナマエ♥」
「はいはい。早く終わらせてね」
「うん♥」
ヒソカは返事をすると、早速動き始めた。無造作にトランプを投げつけたと思ったら、あちこちから悲鳴が聞こえ始める。