一次試験
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《ジリリリリリリリリリリリリ……》
地下道内に響いたベルの音に、集まっている受験生の視線が集中した。ベルの持ち主は、パイプの上にいるスーツを着た男性。その男性を見つめていると、背後からヒソカに抱き締め直された。
「ボク以外の男を見つめるなんて、妬けるな♣」
「はいはい、試験終わるまでは我慢しなさい」
子供を宥める親の様に、腰に回されたヒソカの腕を優しく叩くナマエ。
やがてベルが鳴り止み、持ち主の男性が話しだした。
「ただ今をもって、受付時間を終了致します。では、これよりハンター試験を開始致します」
スーツ姿の男性は、立っていたパイプから音もなく地面へと降り立った。
「こちらへどうぞ」
地下道の奥を手で指し示しながら、男は歩き出した。
「さて、一応確認致しますが、ハンター試験は大変厳しい物もあり、運が悪かったり実力が乏しかったりすると、ケガしたり死んだりします。先程の様に、受験生同士の争いで再起不能になる場合も多々御座います。それでも構わない――という方のみ、ついて来て下さい」
男性の言葉に、誰一人引き返しはしない。皆、男性の後を黙ってついて行っている。辺りは受験生達の歩く足音が木霊していた。
「承知しました。第一次試験、404名全員参加ですね」
男性はそれだけ言うと、歩幅を広げて歩き出した。
ただ歩幅を広げただけなら良いが、コンパスの違い以前の問題となりナマエは小走りになっていた。
「ちょっ……いくらなんでも速くない?」
やがて小走りから普通に走る事となったナマエ。
「ボクが抱っこしてあげようか?」
「要らない。自分の力だけで合格しなきゃ意味ないし」
走りながらも、ナマエはヒソカの問い掛けにきちんと応えた。
「申し遅れましたが、私一次試験担当官のサトツと申します。これより皆様を二次試験会場へ案内致します」
周りの受験生達は、皆疑問符を浮かべていた。
「二次……?って事は一次は?」
「もう始まっているので御座います。二次試験会場まで私についてくる事。これが一次試験で御座います。場所や到着時刻はお答え出来ません。ただ私について来て頂きます」
試験官を名乗る男性:サトツは、尋常ではない早さで歩を進めているが走ってはいない。彼はただ歩いているだけだ。しかし、受験生は一部を除いて皆全力で走っている。
3時間以上走り、60km地点を通過したが脱落者は未だに出ていない。
約6時間走り、80km走った所で漸く1名の脱落者が出る。
しかし、目の前に現れたのは先の見えない上り階段。ナマエは息を呑んだ。
「さて、ちょっとペースを上げますよ」
言うが早いか、サトツは普通に歩く感覚で階段を2段飛ばしで登っていく。
受験生は皆必死に後を追いかけているが、ナマエの隣にいるヒソカは涼しい顔で走っている。
「疲れたかい?」
「まだ大丈夫。【白夜(ビャクヤ)】のシゴキに比べたら、まだまだ甘い」
そうは言っても、ナマエの息は上がってきていた。上を飛んでいる【十六夜(イザヨイ)】はそれを見て、心配そうに小さく鳴いた。
「心配してくれてるの?【十六夜】、まだ大丈夫だよ」
【十六夜】を見て、優しく笑いかけてやるナマエ。自身に向けられたソレではない事に、ヒソカは少しだけ嫉妬していた。
階段を登り続けていると、やっと地上への出口が見え始めた。地上への階段の中間地点、ここで脱落者が37名出た。
やっとの事で地上に出ると、そこは薄暗い湿地帯だった。
「ヌメーレ湿原。通称“詐欺師の塒”。二次試験会場へは、ここを通って行かねばなりません。この湿原にしかいない珍奇な動物達。その多くが人間を欺いて食料にしようとする、狡猾で貪欲な生き物です。十分注意してついて来て下さい。騙されると、死にますよ」
サトツが地上へ出てきた受験生に向かって注意をしていると、地下道と地上を結んでいる階段の扉が閉まった。
地下道内に響いたベルの音に、集まっている受験生の視線が集中した。ベルの持ち主は、パイプの上にいるスーツを着た男性。その男性を見つめていると、背後からヒソカに抱き締め直された。
「ボク以外の男を見つめるなんて、妬けるな♣」
「はいはい、試験終わるまでは我慢しなさい」
子供を宥める親の様に、腰に回されたヒソカの腕を優しく叩くナマエ。
やがてベルが鳴り止み、持ち主の男性が話しだした。
「ただ今をもって、受付時間を終了致します。では、これよりハンター試験を開始致します」
スーツ姿の男性は、立っていたパイプから音もなく地面へと降り立った。
「こちらへどうぞ」
地下道の奥を手で指し示しながら、男は歩き出した。
「さて、一応確認致しますが、ハンター試験は大変厳しい物もあり、運が悪かったり実力が乏しかったりすると、ケガしたり死んだりします。先程の様に、受験生同士の争いで再起不能になる場合も多々御座います。それでも構わない――という方のみ、ついて来て下さい」
男性の言葉に、誰一人引き返しはしない。皆、男性の後を黙ってついて行っている。辺りは受験生達の歩く足音が木霊していた。
「承知しました。第一次試験、404名全員参加ですね」
男性はそれだけ言うと、歩幅を広げて歩き出した。
ただ歩幅を広げただけなら良いが、コンパスの違い以前の問題となりナマエは小走りになっていた。
「ちょっ……いくらなんでも速くない?」
やがて小走りから普通に走る事となったナマエ。
「ボクが抱っこしてあげようか?」
「要らない。自分の力だけで合格しなきゃ意味ないし」
走りながらも、ナマエはヒソカの問い掛けにきちんと応えた。
「申し遅れましたが、私一次試験担当官のサトツと申します。これより皆様を二次試験会場へ案内致します」
周りの受験生達は、皆疑問符を浮かべていた。
「二次……?って事は一次は?」
「もう始まっているので御座います。二次試験会場まで私についてくる事。これが一次試験で御座います。場所や到着時刻はお答え出来ません。ただ私について来て頂きます」
試験官を名乗る男性:サトツは、尋常ではない早さで歩を進めているが走ってはいない。彼はただ歩いているだけだ。しかし、受験生は一部を除いて皆全力で走っている。
3時間以上走り、60km地点を通過したが脱落者は未だに出ていない。
約6時間走り、80km走った所で漸く1名の脱落者が出る。
しかし、目の前に現れたのは先の見えない上り階段。ナマエは息を呑んだ。
「さて、ちょっとペースを上げますよ」
言うが早いか、サトツは普通に歩く感覚で階段を2段飛ばしで登っていく。
受験生は皆必死に後を追いかけているが、ナマエの隣にいるヒソカは涼しい顔で走っている。
「疲れたかい?」
「まだ大丈夫。【白夜(ビャクヤ)】のシゴキに比べたら、まだまだ甘い」
そうは言っても、ナマエの息は上がってきていた。上を飛んでいる【十六夜(イザヨイ)】はそれを見て、心配そうに小さく鳴いた。
「心配してくれてるの?【十六夜】、まだ大丈夫だよ」
【十六夜】を見て、優しく笑いかけてやるナマエ。自身に向けられたソレではない事に、ヒソカは少しだけ嫉妬していた。
階段を登り続けていると、やっと地上への出口が見え始めた。地上への階段の中間地点、ここで脱落者が37名出た。
やっとの事で地上に出ると、そこは薄暗い湿地帯だった。
「ヌメーレ湿原。通称“詐欺師の塒”。二次試験会場へは、ここを通って行かねばなりません。この湿原にしかいない珍奇な動物達。その多くが人間を欺いて食料にしようとする、狡猾で貪欲な生き物です。十分注意してついて来て下さい。騙されると、死にますよ」
サトツが地上へ出てきた受験生に向かって注意をしていると、地下道と地上を結んでいる階段の扉が閉まった。