宴
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「広いね♠」
ナマエに連れられてやって来た浴場は、屋敷の広さに比例してそれなりに広かった。
「まあ、一応は【桜希】の屋敷だって言うしね。子供の頃はもっと広く感じたよ」
「そう言えば、何歳までここで暮らしていたんだい?」
「んー……5歳位までだったかな?それからは森で暮らしてたし」
言いながら、ナマエは脱衣所で浴衣を脱ぎ始めた。
行灯に照らされているナマエの姿は、ヒソカの目にはひどく妖艶に見えた。
「キミは……ボクを試しているのかい?ナマエ♦」
「へ?」
「今のナマエ、ボクを誘っているようにしか見えないんだけど♣」
「そう思うなら、ヒソカは後で入って。私はヒソカを信用してるから脱いでるだけだし」
「ハァ……分かったよ♠何もしないから機嫌、直してくれないかい?」
眉間に皺を寄せているナマエを見て、ヒソカはため息を漏らした。
そんなヒソカを尻目に、ナマエは脱ぎ終わった浴衣を簡単に畳むと浴場へと入っていった。
そんなナマエの背中をぼんやりと眺めながら、ヒソカは諦めたように息を吐くと自身の浴衣を脱ぎ、ナマエに習って簡単に浴衣を畳むとその後を追った。
足を踏み入れた浴場内も所々に行灯が置いてあり、ひどく幻想的な世界だった。
暫くその光景に見入っていると、湯けむりの向こうからナマエの声が響いてきた。
「そんな所で突っ立ってても風邪引くよ?早く体洗って湯船に入ろうよ」
声のする方へと導かれるようにヒソカは歩を進めた。
数歩歩いた所で湯けむりの中に人影が見え、それがナマエであると認識するヒソカ。
「ナマエ……♠」
「なに?」
「いや……なんでもないよ♦」
体を洗っているナマエの後ろ姿に、ヒソカは危うく理性を失いかけた。
その後2人で湯に浸かり、十分に温まって浴場を後にし脱衣所へ向かった。
脱衣所の籠の中には先程まで着ていた浴衣はなく、真新しい寝間着が置いてあった。
「あれ……?さっきまで無かったよね?」
「あぁ、【姑獲鳥】だろうね。彼女、ここの女中だから」
「ボクが気配に気づかないなんて……♣」
「普段の【姑獲鳥】は影みたいに気配消してるから、仕方がないよ」
クスクス笑いながら、ナマエは【姑獲鳥】が用意したという寝間着に着替えていた。
「ほら、ボケッとしてると湯冷めするよ」
ナマエに声を掛けられ、ヒソカはようやく寝間着を着た。
「何故彼女は気配を消すんだい?」
「彼女?」
「ナマエが【姑獲鳥】って呼んでる彼女だよ♠」
「ん~……あくまでも女中だって言い張るからねぇ。“常に影となり主を支えるのが役目”だって、昔そんな事言ってた覚えがあるなぁ」
宛てがわれた部屋でお茶を飲みながら、ナマエは【姑獲鳥】の事を話した。
「【姑獲鳥】はね、私の事を昔から“様”付けで呼んでたんだよね。それが不思議でよく訊いてたんだけど、結局ははぐらかされてばっかりだった。今になって思うと、あの時には私が【姑獲鳥】の主になるって決まっていたんだよね」
「決まっていた?」
「そう。私の“道”はあの時にはもう決まっていたんだよ。【神子】として生きるっていう“道”がね。それでも、結果的にはヒソカに出逢えたし怒ってないよ?私を【神子】として育ててくれた皆に感謝してる」
ふわりと笑みを湛えるナマエを、ヒソカは何も言わずに抱き寄せた。
「どうしたの?」
「何でもないよ♦ただ、ボクもナマエを育ててくれた彼等に感謝しなきゃと思ってね♠」
「ヒソカらしくないね。変なの」
クスクスと笑うナマエをさらに抱きしめながら、ヒソカは言った。
「ボクとこうなった事、後悔してるかい?」
「ん?」
「ボクと結婚した事、後悔してないかい?」
「まぁ、納得出来てないけど。後悔するかどうかは、これからのヒソカ次第……かな」
「ボク次第、か……♣」
抱きしめているナマエの首元に顔を埋めながら、ヒソカは続けた。
「後悔はさせないよ、何があってもね♥さ、もう寝ようか♠」
「ん、そうだね」
ゆっくりと立ち上がりながら、2人は用意されていた1組の布団に入り深い眠りについた。
ナマエに連れられてやって来た浴場は、屋敷の広さに比例してそれなりに広かった。
「まあ、一応は【桜希】の屋敷だって言うしね。子供の頃はもっと広く感じたよ」
「そう言えば、何歳までここで暮らしていたんだい?」
「んー……5歳位までだったかな?それからは森で暮らしてたし」
言いながら、ナマエは脱衣所で浴衣を脱ぎ始めた。
行灯に照らされているナマエの姿は、ヒソカの目にはひどく妖艶に見えた。
「キミは……ボクを試しているのかい?ナマエ♦」
「へ?」
「今のナマエ、ボクを誘っているようにしか見えないんだけど♣」
「そう思うなら、ヒソカは後で入って。私はヒソカを信用してるから脱いでるだけだし」
「ハァ……分かったよ♠何もしないから機嫌、直してくれないかい?」
眉間に皺を寄せているナマエを見て、ヒソカはため息を漏らした。
そんなヒソカを尻目に、ナマエは脱ぎ終わった浴衣を簡単に畳むと浴場へと入っていった。
そんなナマエの背中をぼんやりと眺めながら、ヒソカは諦めたように息を吐くと自身の浴衣を脱ぎ、ナマエに習って簡単に浴衣を畳むとその後を追った。
足を踏み入れた浴場内も所々に行灯が置いてあり、ひどく幻想的な世界だった。
暫くその光景に見入っていると、湯けむりの向こうからナマエの声が響いてきた。
「そんな所で突っ立ってても風邪引くよ?早く体洗って湯船に入ろうよ」
声のする方へと導かれるようにヒソカは歩を進めた。
数歩歩いた所で湯けむりの中に人影が見え、それがナマエであると認識するヒソカ。
「ナマエ……♠」
「なに?」
「いや……なんでもないよ♦」
体を洗っているナマエの後ろ姿に、ヒソカは危うく理性を失いかけた。
その後2人で湯に浸かり、十分に温まって浴場を後にし脱衣所へ向かった。
脱衣所の籠の中には先程まで着ていた浴衣はなく、真新しい寝間着が置いてあった。
「あれ……?さっきまで無かったよね?」
「あぁ、【姑獲鳥】だろうね。彼女、ここの女中だから」
「ボクが気配に気づかないなんて……♣」
「普段の【姑獲鳥】は影みたいに気配消してるから、仕方がないよ」
クスクス笑いながら、ナマエは【姑獲鳥】が用意したという寝間着に着替えていた。
「ほら、ボケッとしてると湯冷めするよ」
ナマエに声を掛けられ、ヒソカはようやく寝間着を着た。
「何故彼女は気配を消すんだい?」
「彼女?」
「ナマエが【姑獲鳥】って呼んでる彼女だよ♠」
「ん~……あくまでも女中だって言い張るからねぇ。“常に影となり主を支えるのが役目”だって、昔そんな事言ってた覚えがあるなぁ」
宛てがわれた部屋でお茶を飲みながら、ナマエは【姑獲鳥】の事を話した。
「【姑獲鳥】はね、私の事を昔から“様”付けで呼んでたんだよね。それが不思議でよく訊いてたんだけど、結局ははぐらかされてばっかりだった。今になって思うと、あの時には私が【姑獲鳥】の主になるって決まっていたんだよね」
「決まっていた?」
「そう。私の“道”はあの時にはもう決まっていたんだよ。【神子】として生きるっていう“道”がね。それでも、結果的にはヒソカに出逢えたし怒ってないよ?私を【神子】として育ててくれた皆に感謝してる」
ふわりと笑みを湛えるナマエを、ヒソカは何も言わずに抱き寄せた。
「どうしたの?」
「何でもないよ♦ただ、ボクもナマエを育ててくれた彼等に感謝しなきゃと思ってね♠」
「ヒソカらしくないね。変なの」
クスクスと笑うナマエをさらに抱きしめながら、ヒソカは言った。
「ボクとこうなった事、後悔してるかい?」
「ん?」
「ボクと結婚した事、後悔してないかい?」
「まぁ、納得出来てないけど。後悔するかどうかは、これからのヒソカ次第……かな」
「ボク次第、か……♣」
抱きしめているナマエの首元に顔を埋めながら、ヒソカは続けた。
「後悔はさせないよ、何があってもね♥さ、もう寝ようか♠」
「ん、そうだね」
ゆっくりと立ち上がりながら、2人は用意されていた1組の布団に入り深い眠りについた。
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