真実
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「私が小さい時に聞いた話は……?私は“捨てられた”んじゃないの??」
「“捨てられた”、というのは正しくないな。正確には“育てざるを得ない状況”にしたのだ」
「俺がお前を拾ったのは、【黄龍】様がそうなる様に仕組んだからだ。お前を育てる事になった理由を知ったのは、アズマにお前を預けた後になってからだ」
「詳しく教えてくれないかい?」
突然自身の出生に関わる話になり、ナマエはどうしていいのかわからなくなっていた。
そんなナマエに代わり、ヒソカは先を促した。
「【黄龍】様と会った帰り道で、俺はナマエを拾った。しかし、後に【黄龍】様が俺に拾わせる為にナマエをあの場所に置いていったと知った」
「師匠も……この事は知ってるの?」
「いや、アズマは知らぬ。たまたま“森で暮らしている童がおる”という噂話を信じてあの森に来たのじゃ」
「ナマエはあの森が【人間】になんて呼ばれてるか知ってっか?」
「“帰らずの森”、でしょ?」
「そうだな。【人間】にはそう呼ばれている。だが、正式には“神獣の棲家”という」
「“神獣の棲家”?どういう意味だい??」
【桜希】の言葉に、ヒソカは説明を求めた。
「我等【神獣】は元々縄張りがあるのじゃ。しかし、あの森だけはどの【神獣】のモノでもない」
「俺達みたいに共存している森の事を、“神獣の棲家”と呼ぶ」
「余が護りし森――それが汝が育ったあの森だ」
「【黄龍】の支配下にあんだよ、あの森は」
「キミ達の理屈はよく解らないな」
「理屈等ではない。余が守護せし森……そこには主を持たない――祝福を受けていない【神獣】が多く集まっておる。それが森の名になっただけだ」
「“祝福”?」
「そうだ。【神子】により【真名】を呼ばれ、初めてその恩恵にあずかる事が出来る。祝福され、領地を得る事が【神獣】にとっては一番の誉」
「我等は長年主を求め、あの森で暮らしてきたのじゃ」
「オレ達にとって、主ってェのは自分の命よりも大事なモンなんだ。その主を求めた奴等があの森に集まって共存している。本来【神獣】ってなァ共存しねェモンなんだよ。互いにテリトリーを侵さない様に生きていく。それが本来の在り方だ。それを覆したのが【黄龍】なんだよ」
「?」
【杜樹】の言葉の真意が解らず、ナマエは黙って【杜樹】の瞳を真っ直ぐに見つめた。
「余は汝を主として相応しい力を身に付けさせる為に、様々な事をしてきた。“神獣の棲家”は余が理想を築く為に欠かせぬ場所だからな」
「【桜希】の理想?」
「左様。余の理想は全ての【神獣】と【神霊】が争うことなき世界。汝を“呼び寄せた”のはその為だ。【神獣】と【神霊】は【人間】の想いによって如何ようにも姿を変える。先程の【エインガナ】が良い例だな。汝等が邪悪な【念獣】を呼び寄せた事に怒り、【邪神】へと身を落とした。余はそういった【人間】との諍いを好まぬ。よって、汝を【神子】にし諍い無き世を創りたいと思っている」
ナマエは【桜希】から語られる話を真剣に聴いていた。
そして、自身が“捨てられた”のではないという言葉に安堵した。
「でも……なんで私だったの?他にもっと強い人は沢山いるでしょ?」
ナマエのいう事はもっともな事だった。
世界には自分よりも強い【念能力者】が数多くいる。これから強くなる【能力者】も沢山いる。
その事をナマエは痛感していた。
「力のみの強さは要らぬ。我等が求めるは“心の強さ”だ」
「“心の強さ”?」
「左様。汝は清き心の持ち主。我等が求めるは汝の様な心優しき者。“心の強さ”とは我等に力を与えてくれる……即ち【式鬼】の力の源である。故に汝を赤子の頃から育てさせた。全ては争い無き世を創るためにな」
「高尚な望みだね♣」
「争いの無い世界、か……考えられんな」
【桜希】の語る世界観は、ナマエにとっても理想の世界ではある。
しかし、【人間】の浅はかさや欲深さは【白夜】と【十夜】から嫌という程叩き込まれている。【人間】が根本的に変わらなければ、【桜希】の語る世界は実現しない。そう思ったナマエは小さく呟いた。
「…………そんなの無理に決まってる」
「“捨てられた”、というのは正しくないな。正確には“育てざるを得ない状況”にしたのだ」
「俺がお前を拾ったのは、【黄龍】様がそうなる様に仕組んだからだ。お前を育てる事になった理由を知ったのは、アズマにお前を預けた後になってからだ」
「詳しく教えてくれないかい?」
突然自身の出生に関わる話になり、ナマエはどうしていいのかわからなくなっていた。
そんなナマエに代わり、ヒソカは先を促した。
「【黄龍】様と会った帰り道で、俺はナマエを拾った。しかし、後に【黄龍】様が俺に拾わせる為にナマエをあの場所に置いていったと知った」
「師匠も……この事は知ってるの?」
「いや、アズマは知らぬ。たまたま“森で暮らしている童がおる”という噂話を信じてあの森に来たのじゃ」
「ナマエはあの森が【人間】になんて呼ばれてるか知ってっか?」
「“帰らずの森”、でしょ?」
「そうだな。【人間】にはそう呼ばれている。だが、正式には“神獣の棲家”という」
「“神獣の棲家”?どういう意味だい??」
【桜希】の言葉に、ヒソカは説明を求めた。
「我等【神獣】は元々縄張りがあるのじゃ。しかし、あの森だけはどの【神獣】のモノでもない」
「俺達みたいに共存している森の事を、“神獣の棲家”と呼ぶ」
「余が護りし森――それが汝が育ったあの森だ」
「【黄龍】の支配下にあんだよ、あの森は」
「キミ達の理屈はよく解らないな」
「理屈等ではない。余が守護せし森……そこには主を持たない――祝福を受けていない【神獣】が多く集まっておる。それが森の名になっただけだ」
「“祝福”?」
「そうだ。【神子】により【真名】を呼ばれ、初めてその恩恵にあずかる事が出来る。祝福され、領地を得る事が【神獣】にとっては一番の誉」
「我等は長年主を求め、あの森で暮らしてきたのじゃ」
「オレ達にとって、主ってェのは自分の命よりも大事なモンなんだ。その主を求めた奴等があの森に集まって共存している。本来【神獣】ってなァ共存しねェモンなんだよ。互いにテリトリーを侵さない様に生きていく。それが本来の在り方だ。それを覆したのが【黄龍】なんだよ」
「?」
【杜樹】の言葉の真意が解らず、ナマエは黙って【杜樹】の瞳を真っ直ぐに見つめた。
「余は汝を主として相応しい力を身に付けさせる為に、様々な事をしてきた。“神獣の棲家”は余が理想を築く為に欠かせぬ場所だからな」
「【桜希】の理想?」
「左様。余の理想は全ての【神獣】と【神霊】が争うことなき世界。汝を“呼び寄せた”のはその為だ。【神獣】と【神霊】は【人間】の想いによって如何ようにも姿を変える。先程の【エインガナ】が良い例だな。汝等が邪悪な【念獣】を呼び寄せた事に怒り、【邪神】へと身を落とした。余はそういった【人間】との諍いを好まぬ。よって、汝を【神子】にし諍い無き世を創りたいと思っている」
ナマエは【桜希】から語られる話を真剣に聴いていた。
そして、自身が“捨てられた”のではないという言葉に安堵した。
「でも……なんで私だったの?他にもっと強い人は沢山いるでしょ?」
ナマエのいう事はもっともな事だった。
世界には自分よりも強い【念能力者】が数多くいる。これから強くなる【能力者】も沢山いる。
その事をナマエは痛感していた。
「力のみの強さは要らぬ。我等が求めるは“心の強さ”だ」
「“心の強さ”?」
「左様。汝は清き心の持ち主。我等が求めるは汝の様な心優しき者。“心の強さ”とは我等に力を与えてくれる……即ち【式鬼】の力の源である。故に汝を赤子の頃から育てさせた。全ては争い無き世を創るためにな」
「高尚な望みだね♣」
「争いの無い世界、か……考えられんな」
【桜希】の語る世界観は、ナマエにとっても理想の世界ではある。
しかし、【人間】の浅はかさや欲深さは【白夜】と【十夜】から嫌という程叩き込まれている。【人間】が根本的に変わらなければ、【桜希】の語る世界は実現しない。そう思ったナマエは小さく呟いた。
「…………そんなの無理に決まってる」