「【十六夜】の反応から見ても、嘘は吐いていない様だし……」
言いながら、ナマエはその腕に止まる【十六夜】の頭を手の甲で撫でてやった。
「とりあえずはよろしく、アベンガネさん」
「ああ、よろしく頼む」
「ボクを除け者にするとは、いい度胸だね♦」
「別に除け者にしたわけじゃないんだけどなぁ……」
「キミも、ボクのナマエと気安く話さないでくれるかな？」
今にも殺しかねない雰囲気で、ヒソカはアベンガネに向かって殺気立った。
「わ……悪かった…………」
「ヒソカ、落ち着きなよ。話した位でそんなに殺気出さないで」
「くくく♣」
「だ……大丈夫なのか？」
「まぁ、大丈夫でしょ。気にしたら負けです」
「何か言ったかい？」
「別にー」
何事も無かったかの様に、ナマエはヒソカに背を向けて歩き出した。
「何処に行くんだい？」
「もう此処に用は無いでしょ？帰るよ」
振り返りながら、ナマエはヒソカに向かって再度促した。
「さっさと行くよ、ヒソカ」
『じゃないと、怒りで【爆弾魔（ボマー）】に何するか判んないし』と続けながら、ナマエは冷笑を浮かべた。

それから3人は島を出る事にした。
「では、島を出たら合流しましょう」
「分かった。じゃあな」
アベンガネと別れ、ヒソカは漸くその機嫌を直していた。
「ヒソカ」
「なんだい？」
「アレ位で機嫌悪くしないでよ」
「……無理な話だね♣」
「子供じゃないんだから」
「子供でいいよ♠」
「まったく……さ、クロロさんの所に帰ろう」
「そうだね♦」
長くて短い様な、そんなG・Iでの生活は終わった。
島から出ると、ヒソカはクロロと闘うのだろう。その場面に出くわしたら、自分はどうすればいいのか……そんな事は判らない。だが、取るべき行動はただ一つ。ヒソカの邪魔はしない。それだけだ。