「！？」
「5分経っても放してくれなかったら、【十夜】喚んでやる」
「それは嫌だな♦」
「じゃ、5分で放すんだね」
そう言うと、ナマエは諦めた様にヒソカの胸に額をくっつけて目を閉じた。
そんなナマエの髪を梳きながら、ヒソカは喉の奥で笑った。
「何が可笑しいの？」
「今日のナマエは、ボクの言う事聞いてくれるからね♠それが嬉しいだけさ♥」
「そ」
約束の5分が経った頃、ヒソカはナマエが言う前に腕を放した。
珍しい事もあるもんだと思いながら、ナマエはベッドから起き上がる。
そのまま顔を洗い、キッチンで朝食の準備に取り掛かっていると、ヒソカが寝室から出てくる気配を感じた。
「美味しそうな匂いだね♥」
リビングからキッチンへと移動してきたヒソカは、ナマエに抱きつきながら言った。
「はいはい、危ないから離れて」
「じゃあ、キスしてもいいかい？」
「は？」
「キスさせてくれたら、放してあげる♥」
「……このままでいいや」
「残念♦」
そう言うも、ヒソカはナマエの頬にキスをして離れた。
「なっ……キスしても良いって言ってない！！」
キスされた頬を抑えながら抗議するナマエを見ると、ヒソカは微笑んだ。
「ボクがしたかったのは、こっちへのキス♣」
ナマエの唇を親指でなぞりながら、ヒソカは呟いた。
「それ以外は許してくれないかい？」
『純粋な愛情表現だから♠』と言うと、ヒソカはリビングへと立ち去った。
その場に残ったナマエは1人、顔を赤くして戸惑っていた。