「鎖野郎と関係ねーなら、帰していいんじゃねーか？」
「ここに置いといてもしょうがないしな」
「いや、関係無いとは言い切れない。後ろで糸を引いてる人物がいるはずだぜ」
強面の男がゴンとキルアの2人に近づきながら続けた。
「もし鎖野郎が、普段鎖を身に着けていなかったら？この2人が鎖野郎を鎖野郎と認識してないだけかもしれないだろう。開放するのは黒幕を吐かせてからの方がいいんじゃないか？」
「黒幕がいたとしても、そいつは鎖野郎じゃないよ。奴は単独で行動しているはずだから」
強面の男の意見に対し、童顔の男が反論した。
「ノブナガと同じ意見なわけだね」
「わざわざ子供を使わなくても、ノストラードファミリーを通じて情報はいくらでも入ってくる。一応、鎖野郎は組に所属しているわけだからね」
「そりゃそうだ」
「オレ達の標的は鎖野郎だけだ。それ以外は放っとけばいい」
「だ、そうだ。よかたな。お家帰れるね」
フェイタンがゴンに向かって厭味ったらしく言い放った。
その様子を見て、キルアは安心していた。
「いや、駄目だ。そいつは帰さねェ」
ノブナガの突然の言葉に、場が一瞬で凍った。
「ボウズ、クモに入れよ」
「やだ」
「オレと組もうぜ」
「お前等の仲間になる位なら、死んだ方がマシだ！」
「くくくく、随分嫌われたなァ。オメェ強化系だろ？」
「……だったら何だ？」
「やっぱそうだよ。くっくくくく。くっくっく。くくくはははははははーはっは」
いきなりゴンを勧誘したかと思えば、ノブナガは盛大に笑い始めた。
「よォ……団長が戻るまで、こいつ等ここに置いとくぜ。入団を推薦する」
「本気かよ！？」
「団長が認めるハズないね」
「まあいいけど。そいつ等が逃げても、アタシ等は知らないよ」
「見張りはお前が1人でやれよ」
可笑しそうに笑い続けるノブナガにマチと強面の男は言い捨てた。

やがて日も暮れてきた頃、アジトの広間にはノブナガと団長以外のメンバーが集まっていた。
「これだけ動き回って、全く姿を見ないってのは不自然だもんね」
「今日一番の収穫がガキ2人だからな」
「奴等が諦めたとは思えないから、次の作戦に向けての準備期間だと考えれる」
「ちょっと計算が狂ったよな。鎖野郎を誘き寄せつつ、襲ってくるマフィアを手当たり次第に締め上げて鎖野郎の情報を得る予定だったのに」
「仕方ないから、逆にこっちから積極的に狩りに出ようと思う。ハンターサイトで入手したノストラードファミリー構成員の顔写真リスト。渡すから頭に叩き込んでくれ」
童顔の男が説明しながら、メンバーに資料を配っていく。
「特にこの5人は重要人物だ。ボディガードとして組長の娘に付いてるらしいんだけど」
「「娘……？」」
「ウボォーを攫ったのがこいつ等だ。だけどアイツは“この中に鎖野郎はいない”って言ってた。鎖野郎の見た目が分からない以上、知ってる奴を見つけるしかない」
「あ、コイツ、オレが殺った。左上のヤツ✕つけといて」
「引き続きペアで行動し、リストの人物探しに全力を挙げてくれ。んじゃ、午後10時にここ集合ってことで。以上！」
「ちょっと」
説明が終わり各々が動き出した時、マチが童顔の男に問いかけた。
「ノブナガは留守番だろ？アタシは？」
「10人いるから、誰か余ったヤツと組なよ」
童顔の男の言葉に、マチは周囲を見回した。
「……」
「♥」

ナマエはヒソカに連れられ、マチと共に3人で街中を歩いていた。
「で、アテはあるの？」
「「無い」♥」
「……さいですか」
「とりあえず、マフィアを見つけたら鎖野郎の情報がないか聞き出すよ」
「へーい……」
マチに促され、マフィアと遭遇する度に鎖野郎ことクラピカの情報を得ようとした。
しかし、捕まえても捕まえてもクラピカに繋がる情報は得られなかった。