奇劇
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「プライベート?」
「ま、偉くなると個室がもらえるってこと。あ、それから――アレは蛇使い(スネーク)のテントどすから、近づかん方が身のためどすえ。毒蛇がぎょうさん放し飼いされとるから、噛まれたら一発であの世行きどす。まーたスネークも蛇(オトモダチ)も人見知りどしてな――新人さんは特に気ィつけんと。さっ、次行きますえ~」
一軍のテントから離れてすぐ、ジョーカーは思い出したかの様に声を出した。
「……そういえば――スマイルはその右目どないしはったん?」
「えっ――あ……これは事故で……」
「そらぁちっこいのに災難やったなぁ」
シエルの頭を義手で触ると哀しげな表情を一瞬だけ見せたジョーカーだが、すぐにまた笑顔に戻ってシエルの頭を撫でだした。
「??はぁ……」
「「……」」
「ま、ココにおる奴らも訳アリばっかさかい仲良うけしよーや」
「?は、はい」
「皆さんは私達のように巡業中に入団された方なんですか?」
戸惑うシエルを見ながらも、セバスチャンは探りを入れることを忘れなかった。
「ほとんどがそーやけど、一軍メンバーは皆地元が一緒やねん。幼馴染みってやつやな」
「幼馴染みですか」
「ああ。でもスネークだけはまだ新顔なんよ。あいつの蛇の扱いは一級品やったし丁度蛇使いもいおへんどしたさかい、最短でメンバーにならはったってワケ。一軍メンバーになれば御膳も優先(ひいき)さかいに、弱肉強食の奪い合いに参加せーへんでもええし、個人テントももらえるし――そないワケで皆切磋琢磨して一軍を目指したはるワケどす。一軍を……ま、セイレーンも最短で一軍になれると思うさかい、気張りや~♫」
「はぁ……」
最後に連れて来られたのは、一際大きなテントだった。
「さ、ここが訓練場どす。新人はここで訓練を重ねて、本公演デビューを目指しまんねん」
ジョーカーに促されて入った訓練場では、多くの人達が自身の技に磨きをかけようと必死に練習していた。
そんな中、セバスチャンは何かに気付いたのか視線を上げていた。
「まずはなんでも基礎からどす。きっちり準備運動してから……」
「ジョーカー!そろそろ出番だよ!」
「はいな」
ビーストに呼ばれて、ジョーカーは振り返って返事をした。
そんな中、ビーストを見ていたセバスチャンは彼女に睨みつけられていた。
「ほんなら三人共、おきばりやすー」
訓練場を出て行ったジョーカーを見送り、3人はストレッチを始めた。
「一軍メンバーのプライベートエリアの入り口が毒蛇のテントとはな。番犬ならぬ番蛇というわけか」
セバスチャンに背中を押されながらストレッチをしているシエルだが、いくらセバスチャンが押してもその身体は曲がらない。
「本当に体が堅いですね」
「プライベートエリアに入りたければ一軍に上がるしかない……か。お前なら毒蛇くらいなんてことないだろう。子供達がいるかどうか――」
「いませんよ」
「え?」
「昨日の夜も先程の案内でも、このサーカスからは一切子供の気配を感じませんでした」
「だからと言って子供の失踪と無関係という証拠もない。隅々まで調べ上げるまでは引き上げられないぞ」
「そうですね。私が気配を感知できない状態である可能性もありますし」
「縁起でもないことを言うな。《彼女》は子供達が無事に戻ることをお望みだ」
「かしこまりました。そういえば子供の気配が無いかわりに――」
「オラーー!!お前らチンタラストレッチしてんじゃねーぞ!」
シエルがセバスチャンと話しながらストレッチをしていると、ダガーがシエルの顔を見下ろしてきた。
「あれっ?ダガー先輩公演は?」
「オレ、今日トップバッター。もう終わったし練習見てやるよ。今日も絶好調でしたわよー」
練習中の二軍メンバーに声を掛けられ、ダガーは答えた。
「お前らはまず演目決めねーとな。希望は?」
「僕は綱渡りのように体を使う演目以外がいいんですが……切実に」
「なははー。お前ひ弱そうだもんねー。んじゃ、スマイルにはオレがみっちりナイフ投げを教えてやるとして――ブラックは?」
「ま、偉くなると個室がもらえるってこと。あ、それから――アレは蛇使い(スネーク)のテントどすから、近づかん方が身のためどすえ。毒蛇がぎょうさん放し飼いされとるから、噛まれたら一発であの世行きどす。まーたスネークも蛇(オトモダチ)も人見知りどしてな――新人さんは特に気ィつけんと。さっ、次行きますえ~」
一軍のテントから離れてすぐ、ジョーカーは思い出したかの様に声を出した。
「……そういえば――スマイルはその右目どないしはったん?」
「えっ――あ……これは事故で……」
「そらぁちっこいのに災難やったなぁ」
シエルの頭を義手で触ると哀しげな表情を一瞬だけ見せたジョーカーだが、すぐにまた笑顔に戻ってシエルの頭を撫でだした。
「??はぁ……」
「「……」」
「ま、ココにおる奴らも訳アリばっかさかい仲良うけしよーや」
「?は、はい」
「皆さんは私達のように巡業中に入団された方なんですか?」
戸惑うシエルを見ながらも、セバスチャンは探りを入れることを忘れなかった。
「ほとんどがそーやけど、一軍メンバーは皆地元が一緒やねん。幼馴染みってやつやな」
「幼馴染みですか」
「ああ。でもスネークだけはまだ新顔なんよ。あいつの蛇の扱いは一級品やったし丁度蛇使いもいおへんどしたさかい、最短でメンバーにならはったってワケ。一軍メンバーになれば御膳も優先(ひいき)さかいに、弱肉強食の奪い合いに参加せーへんでもええし、個人テントももらえるし――そないワケで皆切磋琢磨して一軍を目指したはるワケどす。一軍を……ま、セイレーンも最短で一軍になれると思うさかい、気張りや~♫」
「はぁ……」
最後に連れて来られたのは、一際大きなテントだった。
「さ、ここが訓練場どす。新人はここで訓練を重ねて、本公演デビューを目指しまんねん」
ジョーカーに促されて入った訓練場では、多くの人達が自身の技に磨きをかけようと必死に練習していた。
そんな中、セバスチャンは何かに気付いたのか視線を上げていた。
「まずはなんでも基礎からどす。きっちり準備運動してから……」
「ジョーカー!そろそろ出番だよ!」
「はいな」
ビーストに呼ばれて、ジョーカーは振り返って返事をした。
そんな中、ビーストを見ていたセバスチャンは彼女に睨みつけられていた。
「ほんなら三人共、おきばりやすー」
訓練場を出て行ったジョーカーを見送り、3人はストレッチを始めた。
「一軍メンバーのプライベートエリアの入り口が毒蛇のテントとはな。番犬ならぬ番蛇というわけか」
セバスチャンに背中を押されながらストレッチをしているシエルだが、いくらセバスチャンが押してもその身体は曲がらない。
「本当に体が堅いですね」
「プライベートエリアに入りたければ一軍に上がるしかない……か。お前なら毒蛇くらいなんてことないだろう。子供達がいるかどうか――」
「いませんよ」
「え?」
「昨日の夜も先程の案内でも、このサーカスからは一切子供の気配を感じませんでした」
「だからと言って子供の失踪と無関係という証拠もない。隅々まで調べ上げるまでは引き上げられないぞ」
「そうですね。私が気配を感知できない状態である可能性もありますし」
「縁起でもないことを言うな。《彼女》は子供達が無事に戻ることをお望みだ」
「かしこまりました。そういえば子供の気配が無いかわりに――」
「オラーー!!お前らチンタラストレッチしてんじゃねーぞ!」
シエルがセバスチャンと話しながらストレッチをしていると、ダガーがシエルの顔を見下ろしてきた。
「あれっ?ダガー先輩公演は?」
「オレ、今日トップバッター。もう終わったし練習見てやるよ。今日も絶好調でしたわよー」
練習中の二軍メンバーに声を掛けられ、ダガーは答えた。
「お前らはまず演目決めねーとな。希望は?」
「僕は綱渡りのように体を使う演目以外がいいんですが……切実に」
「なははー。お前ひ弱そうだもんねー。んじゃ、スマイルにはオレがみっちりナイフ投げを教えてやるとして――ブラックは?」