奇劇
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「あれ~?坊、もうリタイアどすか~?♫」
「ち……違います。ただ別の方が」
「ほんなら、もたもたせんと早うやっとくれやす~♫」
意を決して、シエルは一歩踏み出した。
しかし、命綱はあっても落下に備えた網などは何もない。
そんな状況下でまた一歩踏み出した所で、シエルはバランスを崩した。
「っ!!」
「おーっ、持ち直した持ち直した」
「クソッ、やっぱりか……!!」
その後もシエルがバランスを崩す度にセバスチャンは小石をシエルに当てて落ちないようにしていく。
「すごいやん!まさか本当に渡りきるとは思わんかったわ!」
「どうも……」
お尻を擦りながら、感嘆の声を上げるジョーカーに対応するシエル。
「じゃあ、このカワイコちゃんは合格っスね先輩」
「あとで覚えてろ……」
ダガーに頭をポンポンと叩かれながら、シエルはセバスチャンへの怒りを露わにしていた。
「まだや。坊には重要なモンが欠けてるんどす」
「!?」
「とびっきりの笑顔!!はい笑って~~!!」
「なっ……」
背を向けて声を押し殺して笑うセバスチャン。
シエルは拳を握って耐えていた。
そして、精一杯の笑顔を作った。
「よし、坊は合格や!次はお嬢さんやなぁ。何が出来はるん?」
いきなり視線を一身に浴びるナマエ。
「はぁ……あえて言うなら――歌、ですかね」
「「歌ぁ!?」」
「サーカスに歌どすか??」
「あとは誰かが相手して頂けるのであれば、剣舞も出来るかと……」
ナマエの答えに、一同は唖然とした。なにせ、サーカスの入団テストで歌を歌うと言うのだから。
「ま、まぁ……せっかくやし歌ってもらいましょか」
ジョーカーが気を取り直して言うと、ナマエは大きく息を吸った。
「導火線を開いて
あと5秒くらい
暗闇を照らす
誘惑の灯
湖上に揺れるは
君の幻
高鳴る鼓動
いつかみた夢
儚く消えゆく
強い眼差しの先
その目に映るは
愛を叫んだって
蠢く欲望に
あぁ溺れゆくままで
鳴り響け空に
火華散る
さぁ時よ止まれ♪」
歌い終わると、周りは静まり返っていた。
(やっぱ不味かったかな……サーカスに歌って有り得ないもんな……)
「……ス」
「?」
「スゲーッ!俺、今までこんな上手い歌聴いたことないっスよ!!」
ダガーがいきなり歓喜の声を上げると、静まり返っていた周りが騒がしくなった。
「決定どすなぁ」
「へ?え??」
「歌姫の誕生や~♫」
(マジかよ!?)
やがて日も暮れ、サーカスの劇場内に団員一同が集められた。
「皆はーん、今日から新しい仲間が増えますえ」
ざわつく団員に向かって、ジョーカーはセバスチャン達を紹介した。
「新人の“ブラック”と――」
「ブラックです。よろしくお願いします」
「それからこっちのちっこいのが――“スマイル”どす!!」
「スッ……」
「で、こっちのお嬢さんが“セイレーン”どす♫」
「……セイレーンです」
(なんて安直な名付け方なんだよ……)
「みんな仲良うしとくれやす~」
「「「はーい」」」
「ほらスマイル、先輩方にご挨拶を。にこやかに」
「よ、よろしくお願いします……」
「ほらスマイル、スマイルや!」
「ほんなら、簡単に裏を案内しますえ。付いて来とくれやす」
練習に戻ったサーカス団員達を残し、ジョーカーは3人を連れて劇場から出た。
「まずここいらがあんさんらが寝泊まりしはるテント。裏方とか新人とか、いわゆる“二軍”メンバーが住むトコどす。大体2、3人が相部屋どすな」
テントの1つを覗き込みながら、ジョーカーは説明を続けた。
「ほんであっちが食堂と食料庫。新人のうちはまかないも大事な仕事どすから、おきばりやす」
食堂を覗き込むと、そこでは数人の団員が食事をしていた。
「ここの一番奥が救護室な。あれね。そんで――ここから奥はメインキャストのプライベートテントどす」
「ち……違います。ただ別の方が」
「ほんなら、もたもたせんと早うやっとくれやす~♫」
意を決して、シエルは一歩踏み出した。
しかし、命綱はあっても落下に備えた網などは何もない。
そんな状況下でまた一歩踏み出した所で、シエルはバランスを崩した。
「っ!!」
「おーっ、持ち直した持ち直した」
「クソッ、やっぱりか……!!」
その後もシエルがバランスを崩す度にセバスチャンは小石をシエルに当てて落ちないようにしていく。
「すごいやん!まさか本当に渡りきるとは思わんかったわ!」
「どうも……」
お尻を擦りながら、感嘆の声を上げるジョーカーに対応するシエル。
「じゃあ、このカワイコちゃんは合格っスね先輩」
「あとで覚えてろ……」
ダガーに頭をポンポンと叩かれながら、シエルはセバスチャンへの怒りを露わにしていた。
「まだや。坊には重要なモンが欠けてるんどす」
「!?」
「とびっきりの笑顔!!はい笑って~~!!」
「なっ……」
背を向けて声を押し殺して笑うセバスチャン。
シエルは拳を握って耐えていた。
そして、精一杯の笑顔を作った。
「よし、坊は合格や!次はお嬢さんやなぁ。何が出来はるん?」
いきなり視線を一身に浴びるナマエ。
「はぁ……あえて言うなら――歌、ですかね」
「「歌ぁ!?」」
「サーカスに歌どすか??」
「あとは誰かが相手して頂けるのであれば、剣舞も出来るかと……」
ナマエの答えに、一同は唖然とした。なにせ、サーカスの入団テストで歌を歌うと言うのだから。
「ま、まぁ……せっかくやし歌ってもらいましょか」
ジョーカーが気を取り直して言うと、ナマエは大きく息を吸った。
「導火線を開いて
あと5秒くらい
暗闇を照らす
誘惑の灯
湖上に揺れるは
君の幻
高鳴る鼓動
いつかみた夢
儚く消えゆく
強い眼差しの先
その目に映るは
愛を叫んだって
蠢く欲望に
あぁ溺れゆくままで
鳴り響け空に
火華散る
さぁ時よ止まれ♪」
歌い終わると、周りは静まり返っていた。
(やっぱ不味かったかな……サーカスに歌って有り得ないもんな……)
「……ス」
「?」
「スゲーッ!俺、今までこんな上手い歌聴いたことないっスよ!!」
ダガーがいきなり歓喜の声を上げると、静まり返っていた周りが騒がしくなった。
「決定どすなぁ」
「へ?え??」
「歌姫の誕生や~♫」
(マジかよ!?)
やがて日も暮れ、サーカスの劇場内に団員一同が集められた。
「皆はーん、今日から新しい仲間が増えますえ」
ざわつく団員に向かって、ジョーカーはセバスチャン達を紹介した。
「新人の“ブラック”と――」
「ブラックです。よろしくお願いします」
「それからこっちのちっこいのが――“スマイル”どす!!」
「スッ……」
「で、こっちのお嬢さんが“セイレーン”どす♫」
「……セイレーンです」
(なんて安直な名付け方なんだよ……)
「みんな仲良うしとくれやす~」
「「「はーい」」」
「ほらスマイル、先輩方にご挨拶を。にこやかに」
「よ、よろしくお願いします……」
「ほらスマイル、スマイルや!」
「ほんなら、簡単に裏を案内しますえ。付いて来とくれやす」
練習に戻ったサーカス団員達を残し、ジョーカーは3人を連れて劇場から出た。
「まずここいらがあんさんらが寝泊まりしはるテント。裏方とか新人とか、いわゆる“二軍”メンバーが住むトコどす。大体2、3人が相部屋どすな」
テントの1つを覗き込みながら、ジョーカーは説明を続けた。
「ほんであっちが食堂と食料庫。新人のうちはまかないも大事な仕事どすから、おきばりやす」
食堂を覗き込むと、そこでは数人の団員が食事をしていた。
「ここの一番奥が救護室な。あれね。そんで――ここから奥はメインキャストのプライベートテントどす」