奇劇
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街屋敷(タウンハウス)に帰宅するなり、シエルを嬉しそうに出迎えるソーマ。
そんなソーマを無視し、シエル達は彼の横を通り過ぎながら話をしていた。
「僕がいつそんな命令をした?」
「何か不都合でも?」
「今回の件に――」
「なんだシエル。すごい仏頂面だな!せっかく俺が出迎えたんだぞ。ニコッとくらいしろ!」
「五月蝿いッ、今忙しいんだ。黙っていろ!!」
「……笑顔でいないと幸運が逃げるんだぞー……」
「ごめんね、ソーマ。シエルは今仕事中だから」
「ナマエが謝る必要はないぞ!?」
申し訳なさそうに言うナマエに、ソーマは慌てていた。
ソーマを置き去りにし、シエルはセバスチャンとナマエを連れて自身の寝室へと足を運んだ。
「だから、なんで僕までサーカスに入団させられることになってるんだ!」
「入団《させられる》のではありませんよ。入団テストを受けて入団《させてもらう》んです」
「お前だけ潜入すればいいだろう。テント暮らしだなんて冗談じゃない」
乱雑に上着を脱ぎベッドへと放り、自身もその上に座るシエル。
ベッドに座るとタイを外しながら文句を言っていた。
「それでよろしいのですか?貴方の命令ではなく、私自らの意志で行動しても?」
「チッ……そうだったな。だが、サーカスに必要なのは芸だろう?僕とナマエは芸などできないぞ」
セバスチャンにブーツを脱がせながら、シエルは溜息を吐いていた。
「でしょうね。まあ、せいぜい明日の入団テストを頑張って下さい。私も執事として心より応援申し上げます」
「仕方ない。僕も入団するとしよう」
「御意」
「こらまたエライ可愛い子連れて来はったなあ。男の子どすやろ?昨日の彼女さんも連れて来はって……」
「ハイ。お屋敷ではページボーイをしていました。えーと……フィニアンといいます」
「ナマエです」
「なんや大層な名前どすなあ。ホンマ男の子?」
「ハァ……」
リハーサル中の団員達の中、シエルはジョーカーに見下ろされていた。
「まっ、入団したら芸名つけたるさかい。でも、可愛いだけじゃサーカスは勤まりまへんえ。芸ができへんとな。坊、何が得意なん?」
「……ダーツ?」
女性陣に囲まれてにこやかに話しているセバスチャンを無視するかのように、ジョーカーはシエルと話していた。
「ほんならナイフ投げやな。ダガー、ナイフ貸したって」
「ほいよ♫」
ダガーに渡されたナイフは1本なのに、シエルには重く感じられた。
「ここからあの的に当てるんどすえ」
「!!」
ジョーカーに指し示された的はかなりの距離があった。
「……」
周りがザワつく中、セバスチャンとナマエだけが冷静な視線でその様を見守っていた。
「あーあー、先輩も意地悪っスねぇ。あんな細腕じゃ届きもしないッスよ」
「意地悪おへんよ。近かったらショーにならへんやろ」
「…………」
シエルは目標を見据えると、ナイフを投げた。
「あー、やっぱり……」
目標の一歩手前で降下していくナイフを見て、ダガーとジョーカーは微笑ましく見ていた。
「「!?」」
そのまま落ちるかと思われたナイフは、着地前に角度を変えて的に当たった。
「うそォ!?」
何が起こっているのか解っているのはシエルとナマエのみ。シエルは当たり前とでも言いたげにニヤリと笑った。
何回やっても、ナイフは降下した後に上昇し的に当たっていく。
もちろん、それはセバスチャンがナイフの柄に小石を当ててコントロールしているからだった。
「もういいですか?」
「コントロール力はあるようどすな」
「何で?何で?」
心底不思議そうにするダガーをよそに、ジョーカーはナイフ投げを止めた。
「それじゃあ次はコレ!綱渡りどす!!」
かなりの高さで張られているロープの前に立たされたシエル。
「ドール~、しっかり命綱繋いでくれやす~。初心者やし、落ちたら危ないから~」
「ほ、他の演目でテストしてくれませんか?」
そんなソーマを無視し、シエル達は彼の横を通り過ぎながら話をしていた。
「僕がいつそんな命令をした?」
「何か不都合でも?」
「今回の件に――」
「なんだシエル。すごい仏頂面だな!せっかく俺が出迎えたんだぞ。ニコッとくらいしろ!」
「五月蝿いッ、今忙しいんだ。黙っていろ!!」
「……笑顔でいないと幸運が逃げるんだぞー……」
「ごめんね、ソーマ。シエルは今仕事中だから」
「ナマエが謝る必要はないぞ!?」
申し訳なさそうに言うナマエに、ソーマは慌てていた。
ソーマを置き去りにし、シエルはセバスチャンとナマエを連れて自身の寝室へと足を運んだ。
「だから、なんで僕までサーカスに入団させられることになってるんだ!」
「入団《させられる》のではありませんよ。入団テストを受けて入団《させてもらう》んです」
「お前だけ潜入すればいいだろう。テント暮らしだなんて冗談じゃない」
乱雑に上着を脱ぎベッドへと放り、自身もその上に座るシエル。
ベッドに座るとタイを外しながら文句を言っていた。
「それでよろしいのですか?貴方の命令ではなく、私自らの意志で行動しても?」
「チッ……そうだったな。だが、サーカスに必要なのは芸だろう?僕とナマエは芸などできないぞ」
セバスチャンにブーツを脱がせながら、シエルは溜息を吐いていた。
「でしょうね。まあ、せいぜい明日の入団テストを頑張って下さい。私も執事として心より応援申し上げます」
「仕方ない。僕も入団するとしよう」
「御意」
「こらまたエライ可愛い子連れて来はったなあ。男の子どすやろ?昨日の彼女さんも連れて来はって……」
「ハイ。お屋敷ではページボーイをしていました。えーと……フィニアンといいます」
「ナマエです」
「なんや大層な名前どすなあ。ホンマ男の子?」
「ハァ……」
リハーサル中の団員達の中、シエルはジョーカーに見下ろされていた。
「まっ、入団したら芸名つけたるさかい。でも、可愛いだけじゃサーカスは勤まりまへんえ。芸ができへんとな。坊、何が得意なん?」
「……ダーツ?」
女性陣に囲まれてにこやかに話しているセバスチャンを無視するかのように、ジョーカーはシエルと話していた。
「ほんならナイフ投げやな。ダガー、ナイフ貸したって」
「ほいよ♫」
ダガーに渡されたナイフは1本なのに、シエルには重く感じられた。
「ここからあの的に当てるんどすえ」
「!!」
ジョーカーに指し示された的はかなりの距離があった。
「……」
周りがザワつく中、セバスチャンとナマエだけが冷静な視線でその様を見守っていた。
「あーあー、先輩も意地悪っスねぇ。あんな細腕じゃ届きもしないッスよ」
「意地悪おへんよ。近かったらショーにならへんやろ」
「…………」
シエルは目標を見据えると、ナイフを投げた。
「あー、やっぱり……」
目標の一歩手前で降下していくナイフを見て、ダガーとジョーカーは微笑ましく見ていた。
「「!?」」
そのまま落ちるかと思われたナイフは、着地前に角度を変えて的に当たった。
「うそォ!?」
何が起こっているのか解っているのはシエルとナマエのみ。シエルは当たり前とでも言いたげにニヤリと笑った。
何回やっても、ナイフは降下した後に上昇し的に当たっていく。
もちろん、それはセバスチャンがナイフの柄に小石を当ててコントロールしているからだった。
「もういいですか?」
「コントロール力はあるようどすな」
「何で?何で?」
心底不思議そうにするダガーをよそに、ジョーカーはナイフ投げを止めた。
「それじゃあ次はコレ!綱渡りどす!!」
かなりの高さで張られているロープの前に立たされたシエル。
「ドール~、しっかり命綱繋いでくれやす~。初心者やし、落ちたら危ないから~」
「ほ、他の演目でテストしてくれませんか?」