奇劇
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両手で6本のナイフを投げつけるダガーと呼ばれたナイフ投げの青年だが、そのナイフをセバスチャンは何事も無く両手で受け止めてしまった。
「ウソぉッ!?」
「♫ー」
「全く……」
「チッ、調子に乗るんじゃないよッ」
呆れ果てるナマエだが、決して止めようとはしなかった。
ビーストはセバスチャンの行動が気に触り、鞭を鳴らすとロープの上にいるままの彼にそのまま振るった。
その鞭がセバスチャンに届く前に、ジョーカーが持っていた杖でソレを受け止めた。
その時の視線の鋭さを、ナマエは見逃さなかった。
「ほい♡」
ぽむっ!と音を出しながら、ジョーカーは杖の先から花を出してビーストに見せた。
「はいはーい、ここまでや」
「えーっ、先輩」
「うわーん、なんでもっと早く止めないんだよ君はぁっっ」
「だってアイツが……」
「まーまー。こんなキレイな足なんやし、触りとうなる気持ちもわからんでもないで。お花やるから機嫌直しい」
ジョーカーの言葉に、ビーストは頬を染めていた。
「これ、お返しします」
ロープから綺麗に降り立ったセバスチャンは、そのままダガーの所へ行き、受け取ったナイフを返した。
「や~~、それにしてもあんさん偉い運動神経どすな。ウチにスカウトしたいくらいどすわ」
「本当ですか?」
「え?」
ジョーカーの言葉にピクリと反応したセバスチャンは、彼の顔に思い切り自身の顔を近づけながら訊いた。
「実は今お仕えしている主人がそれはもう我が侭で、ほとほと呆れていたところなんです」
セバスチャンは言いながら深い溜息を吐いた。
「お仕えって……あんさん、どっかのお屋敷の使用人?ええ身なりしてはるから、どっかの紳士やと思っとったんどすけど」
「私が紳士?おこがましい。私はあくまで執事ですから。それで、先程のスカウトして頂けるというお話は本当ですか?本当なら是非入団させて頂きたいのですが」
「……セバスチャン?」
「あんさん本気で言うてはる?」
「私はいつでも本気ですが?」
「プッ――あっはっは、あんさんオモロイな!気に入った!!」
両手でセバスチャンの肩を叩きながら、ジョーカーは声を出して笑った。
「あんさんさえええんやったら、ウチはいつ来てもろてもかまへんえ」
「ちょっとジョーカー!?何勝手に決めてんのさ!!」
「まーまー、かなりの逸材どすえ」
怒るビーストを宥めながら、ジョーカーは笑い続けた。
「あの――実はもう一人ご紹介させて頂きたい方がいるのですが」
「あんさんみたいなお人が他にいるならええどすが――ここは一つ、入団テストさしてもらいましょか」
ジョーカーの返答に、セバスチャンは形の良い唇を釣り上げた。
「分かりました。では明日、その方と一緒に改めてこちらにお邪魔致します。本日はお世話になりました」
綺麗にお辞儀をすると、セバスチャンはテントから出ようとした。
「お見送りは結構ですよ。さ、行きますよナマエ」
テントから出てすぐ、セバスチャンの顔つきが変わった。
「……さて、どう思います?ナマエ」
「どうも何も……」
テント群の中を歩きながら、セバスチャンはナマエにその考えを訊いた。
「《攻略本》は必要ないんでしょ?」
「この結末も知っている、と?」
「……知ってるよ」
「そうですか……」
テント群の奥へと進んでいく2人。
「ここから先は立入禁止だ――ってワイルドが言ってる……」
「……」
いつの間にか背後にいたスネークに、セバスチャンはチラリと視線を送った。
「出口はあっち――ってゲーテが言ってる」
「ご親切にどうも」
「……さよなら――ってゲーテが言ってる……」
これ以上奥に進むことは不可能だと瞬時に判断し、2人は帰路に着いた。
「はぁ?なんでそういう流れになるんだ」
「何で、と言いますと」
「だか――」
「シエルー!!遅かったなー!今日の予定は終わったか!?」
「おかえりなさいませ」
「今日はチェスとやらを教えてくれ」
「ウソぉッ!?」
「♫ー」
「全く……」
「チッ、調子に乗るんじゃないよッ」
呆れ果てるナマエだが、決して止めようとはしなかった。
ビーストはセバスチャンの行動が気に触り、鞭を鳴らすとロープの上にいるままの彼にそのまま振るった。
その鞭がセバスチャンに届く前に、ジョーカーが持っていた杖でソレを受け止めた。
その時の視線の鋭さを、ナマエは見逃さなかった。
「ほい♡」
ぽむっ!と音を出しながら、ジョーカーは杖の先から花を出してビーストに見せた。
「はいはーい、ここまでや」
「えーっ、先輩」
「うわーん、なんでもっと早く止めないんだよ君はぁっっ」
「だってアイツが……」
「まーまー。こんなキレイな足なんやし、触りとうなる気持ちもわからんでもないで。お花やるから機嫌直しい」
ジョーカーの言葉に、ビーストは頬を染めていた。
「これ、お返しします」
ロープから綺麗に降り立ったセバスチャンは、そのままダガーの所へ行き、受け取ったナイフを返した。
「や~~、それにしてもあんさん偉い運動神経どすな。ウチにスカウトしたいくらいどすわ」
「本当ですか?」
「え?」
ジョーカーの言葉にピクリと反応したセバスチャンは、彼の顔に思い切り自身の顔を近づけながら訊いた。
「実は今お仕えしている主人がそれはもう我が侭で、ほとほと呆れていたところなんです」
セバスチャンは言いながら深い溜息を吐いた。
「お仕えって……あんさん、どっかのお屋敷の使用人?ええ身なりしてはるから、どっかの紳士やと思っとったんどすけど」
「私が紳士?おこがましい。私はあくまで執事ですから。それで、先程のスカウトして頂けるというお話は本当ですか?本当なら是非入団させて頂きたいのですが」
「……セバスチャン?」
「あんさん本気で言うてはる?」
「私はいつでも本気ですが?」
「プッ――あっはっは、あんさんオモロイな!気に入った!!」
両手でセバスチャンの肩を叩きながら、ジョーカーは声を出して笑った。
「あんさんさえええんやったら、ウチはいつ来てもろてもかまへんえ」
「ちょっとジョーカー!?何勝手に決めてんのさ!!」
「まーまー、かなりの逸材どすえ」
怒るビーストを宥めながら、ジョーカーは笑い続けた。
「あの――実はもう一人ご紹介させて頂きたい方がいるのですが」
「あんさんみたいなお人が他にいるならええどすが――ここは一つ、入団テストさしてもらいましょか」
ジョーカーの返答に、セバスチャンは形の良い唇を釣り上げた。
「分かりました。では明日、その方と一緒に改めてこちらにお邪魔致します。本日はお世話になりました」
綺麗にお辞儀をすると、セバスチャンはテントから出ようとした。
「お見送りは結構ですよ。さ、行きますよナマエ」
テントから出てすぐ、セバスチャンの顔つきが変わった。
「……さて、どう思います?ナマエ」
「どうも何も……」
テント群の中を歩きながら、セバスチャンはナマエにその考えを訊いた。
「《攻略本》は必要ないんでしょ?」
「この結末も知っている、と?」
「……知ってるよ」
「そうですか……」
テント群の奥へと進んでいく2人。
「ここから先は立入禁止だ――ってワイルドが言ってる……」
「……」
いつの間にか背後にいたスネークに、セバスチャンはチラリと視線を送った。
「出口はあっち――ってゲーテが言ってる」
「ご親切にどうも」
「……さよなら――ってゲーテが言ってる……」
これ以上奥に進むことは不可能だと瞬時に判断し、2人は帰路に着いた。
「はぁ?なんでそういう流れになるんだ」
「何で、と言いますと」
「だか――」
「シエルー!!遅かったなー!今日の予定は終わったか!?」
「おかえりなさいませ」
「今日はチェスとやらを教えてくれ」