奇劇
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「誰があそこまでやれと言った?」
怒りを露わにするシエルとは対照的に、セバスチャンは満足気に答えた。
「申し訳ありません。長い間生きていますが、猫だけは本当に気まぐれで気分が読めませんね……」
「……大体必要以上に目立ってどう……ふ、へくしっっ」
「大丈夫?」
盛大なクシャミをするシエルに、ナマエは声をかけるも彼の機嫌は直るどころか悪化するだけだった。
「大丈夫な訳無いだろう!?お前、僕が猫アレルギーなのを知ってるだろう!離れて歩けッ」
「は」
会場から離れようとする3人。
「あっ!いたいた!ちょっとそこの――燕尾服のあんさん!!」
背後からかけられた大きめの声に、セバスチャンとナマエは振り返った。
「さっきはえろうすんませんでしたなあ」
「いえ。こちらこそ失礼しました」
「ビックリしましたえ。急に虎に近寄っていかはるから。さっき噛まれたトコ大丈夫どすか?」
セバスチャンとナマエが付いてこないことに気付いたシエルが後ろに視線を移すと、ジョーカーと話している2人の姿があった。
それに気付いたシエルは露店の影に素早く隠れた。
「とにかく、ウチに専属のお医者はんがいはるんで診てもろた方がええと思て。どーぞ裏へいらしてください」
ジョーカーの申し出に笑みを浮かべたのはセバスチャンだけではなかった。
チラリと物陰に隠れているシエルに視線を投げるセバスチャン。
シエルが頷いたことを確認すると、笑顔で答えた。
「では遠慮無く。あ、彼女も連れて行っていいですよね?」
傍にいたナマエの腰を抱き寄せながら、ジョーカーに訊いた。
「あんさんの彼女さんどすか?」
「まぁ、そんなところです」
「は?」
「ええどすえ。彼女さんも心配でっしゃろうしな」
セバスチャンの言葉を疑うこと無く、ジョーカーはナマエの同行を快諾した。
「さぁさ、こちらどす。ばっちいトコですんまへんなぁ。足元気ィつけておくれやす」
ジョーカーに連れられて、セバスチャンとナマエは出演者が暮らしているテント群へと足を踏み入れていた。
訝しげな視線を浴びながらも、2人はジョーカーに先導されながらテント群の奥へと進んでいく。
「お、スネーク。先生、救護室にいはる?」
スネークと呼ばれたのは、蛇とのハーフだと紹介されて踊っていた男性だった。
「……」
ジョーカーの言葉に反応したのは、スネークの首に巻き付いている1匹の蛇だった。
その蛇は尾で方向を指し示した。
「ありゃ、出張中かいな。タイミング悪うー」
蛇の示した方へと歩き出した3人。
「あれ、虎に噛まれたぼうやじゃないかい?」
「本当だ。マヌケなぼうやだ」
クスクスと笑いながら、空中ブランコをしていた幼い子供達がセバスチャンを見ながら言った。
そんな2人を無視して進むと、漸くジョーカーが立ち止まった。
「あ、いはった。先生!」
「んお?」
ナイフ投げの青年の足を診ていたくせ毛の男性が、ジョーカーの言葉に振り向いた。
「やぁ、ジョーカー。また腕の調子が悪いのかい?」
振り向いた男性は車椅子に乗っており、にこやかにジョーカーへ言葉をかけた。
「いや、今日はウチやのーて……」
「あ。誰かと思ったら、さっきベティに頭かじられた人じゃん。大丈夫?」
「虎(ベティ)に!?それは大変だ、早く医務室へ!!」
呑気に言うナイフ投げの青年とは反対に、慌ててセバスチャンの手を取る先生と呼ばれている男性。
そのまま医務室へと連れて行かれると、先生は言葉を失ったかのような反応だった。
「……君、本当に虎に噛まれたの?傷が全然見当たらないんだけど……」
「甘噛みでしたから」
「甘……?」
「甘噛み……?」
「この人、異様に丈夫ですから」
「まあ大事無ないならそれに越したことはないんだけどね」
先生は溜息を吐きながら頬をかいた。
怒りを露わにするシエルとは対照的に、セバスチャンは満足気に答えた。
「申し訳ありません。長い間生きていますが、猫だけは本当に気まぐれで気分が読めませんね……」
「……大体必要以上に目立ってどう……ふ、へくしっっ」
「大丈夫?」
盛大なクシャミをするシエルに、ナマエは声をかけるも彼の機嫌は直るどころか悪化するだけだった。
「大丈夫な訳無いだろう!?お前、僕が猫アレルギーなのを知ってるだろう!離れて歩けッ」
「は」
会場から離れようとする3人。
「あっ!いたいた!ちょっとそこの――燕尾服のあんさん!!」
背後からかけられた大きめの声に、セバスチャンとナマエは振り返った。
「さっきはえろうすんませんでしたなあ」
「いえ。こちらこそ失礼しました」
「ビックリしましたえ。急に虎に近寄っていかはるから。さっき噛まれたトコ大丈夫どすか?」
セバスチャンとナマエが付いてこないことに気付いたシエルが後ろに視線を移すと、ジョーカーと話している2人の姿があった。
それに気付いたシエルは露店の影に素早く隠れた。
「とにかく、ウチに専属のお医者はんがいはるんで診てもろた方がええと思て。どーぞ裏へいらしてください」
ジョーカーの申し出に笑みを浮かべたのはセバスチャンだけではなかった。
チラリと物陰に隠れているシエルに視線を投げるセバスチャン。
シエルが頷いたことを確認すると、笑顔で答えた。
「では遠慮無く。あ、彼女も連れて行っていいですよね?」
傍にいたナマエの腰を抱き寄せながら、ジョーカーに訊いた。
「あんさんの彼女さんどすか?」
「まぁ、そんなところです」
「は?」
「ええどすえ。彼女さんも心配でっしゃろうしな」
セバスチャンの言葉を疑うこと無く、ジョーカーはナマエの同行を快諾した。
「さぁさ、こちらどす。ばっちいトコですんまへんなぁ。足元気ィつけておくれやす」
ジョーカーに連れられて、セバスチャンとナマエは出演者が暮らしているテント群へと足を踏み入れていた。
訝しげな視線を浴びながらも、2人はジョーカーに先導されながらテント群の奥へと進んでいく。
「お、スネーク。先生、救護室にいはる?」
スネークと呼ばれたのは、蛇とのハーフだと紹介されて踊っていた男性だった。
「……」
ジョーカーの言葉に反応したのは、スネークの首に巻き付いている1匹の蛇だった。
その蛇は尾で方向を指し示した。
「ありゃ、出張中かいな。タイミング悪うー」
蛇の示した方へと歩き出した3人。
「あれ、虎に噛まれたぼうやじゃないかい?」
「本当だ。マヌケなぼうやだ」
クスクスと笑いながら、空中ブランコをしていた幼い子供達がセバスチャンを見ながら言った。
そんな2人を無視して進むと、漸くジョーカーが立ち止まった。
「あ、いはった。先生!」
「んお?」
ナイフ投げの青年の足を診ていたくせ毛の男性が、ジョーカーの言葉に振り向いた。
「やぁ、ジョーカー。また腕の調子が悪いのかい?」
振り向いた男性は車椅子に乗っており、にこやかにジョーカーへ言葉をかけた。
「いや、今日はウチやのーて……」
「あ。誰かと思ったら、さっきベティに頭かじられた人じゃん。大丈夫?」
「虎(ベティ)に!?それは大変だ、早く医務室へ!!」
呑気に言うナイフ投げの青年とは反対に、慌ててセバスチャンの手を取る先生と呼ばれている男性。
そのまま医務室へと連れて行かれると、先生は言葉を失ったかのような反応だった。
「……君、本当に虎に噛まれたの?傷が全然見当たらないんだけど……」
「甘噛みでしたから」
「甘……?」
「甘噛み……?」
「この人、異様に丈夫ですから」
「まあ大事無ないならそれに越したことはないんだけどね」
先生は溜息を吐きながら頬をかいた。