奇劇
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「オッホン!当サーカスには皆サンを楽しませるショーが目じろ押しどすえ」
ショーの開幕を知らせるセリフを言う片腕が骨のジョーカーと名乗った男。
「さぁさぁ、そんなら火吹き男のドハデな一発で世紀のショーの幕開けどすえ~」
ジョーカーの声を合図に、大柄な男が火を吹いた。
「お次は息ピッタリの空中ブランコ」
小さな子供の行う空中ブランコに場内は歓喜の声に包まれた。
「狙った的は外さない、百発百中のナイフ投げ!」
「演目も特に特別なものはないな……」
「ええ。例の子供達が出演させられている様子もありませんしね」
ショーが行われる中、シエルは楽しむことなくショーの様子を伺っていた。
「そしてお次は――我がサーカスのお姫さんによる決死の綱渡り」
「子供達を見せ物にすることが目的でないなら、サーカスの移動と子供達の失踪はただの偶然なのか?」
「それは調べてみてのお楽しみってトコだよ」
「ナマエ、お前は口出しするな」
「はいはい」
シエルに睨まれ、ナマエは何も言わないことにした。
「今度は世にも珍しい蛇と人間のハーフ、蛇男による華麗なる演舞!」
蛇男が身体に蛇を巻き付けて踊る。
そしてとうとうショーも終盤に差し掛かった。
「そして最後は!サーカスの花形、猛獣使いのお出ましどすえ」
パァンというムチを打つ音とともに、1頭の虎を従えた女性が登場した。
「このショーにはお客はんにも参加してもらいたいんどすが……」
「このショーにも子供達は関係なしか。どうやら観劇は時間の無駄だったようだな」
独りごちるシエルの横で、セバスチャンが静かに立ち上がった。
「?どうした?何か見つけ……」
「おっ!えろうヤル気満々の燕尾服のあんさん!!どーぞ壇上へ!」
「なっ」
「ふふっ」
笑いながら見守るナマエとは正反対に、シエルは不安に思い始めていた。
そんな2人を無視するかのように、ジョーカーはセバスチャンを指差しながら壇上へと導いた。
「さぁこちらへおいでやす!」
「!!」
周りの拍手をよそに、シエルは思考を巡らせこのチャンスを逃すまいとした。
「行ってこい」
「は」
観衆に見守られながら、セバスチャンは無言でステージへと降りていく。
「じゃあ、あんさんはこっちで寝そべってくれはりますか?」
1つの台を指しながら、ジョーカーはセバスチャンを誘導した。
「あ?」
そんなジョーカーの横をすり抜けて、セバスチャンは虎へと一直線に向かっていく。
「嗚呼……何というつぶらな瞳……」
両手で虎の顔を包みながら、セバスチャンは恍惚の表情へと変わっていた。
「!!」
周りのざわめきとは対照的に、ナマエは一人笑いを堪えていた。
「見た事も無い鮮やかな縞模様。柔らかい耳……とても愛らしい。おや?少々爪が伸び過ぎている様ですね。お手入れをしなくては……」
「……」
「くくくっ」
ポカンとする観衆とジョーカー達とは裏腹にシエルは行かせた事を後悔し、ナマエは声を殺して笑っていた。
「肉球もふくよかでとても魅力的ですよ」
満面の笑みでとらの前足を持ち上げるセバスチャン。
「あ」
その直後だった。
虎はセバスチャンの頭に噛み付いたのである。
騒然とする会場内の観客の悲鳴に我に返った猛獣使いの女性は、ムチを振るった。
「ベティ!!そいつを離しな!!」
しかし、そのムチはセバスチャンが後手で掴みとった。
「彼女に罪はありませんよ」
「!?」
「あまりの愛らしさに私が思わず失礼をしてしまっただけ……」
ムチに口付けながら、振り向いたセバスチャンは猛獣使いに向かって言葉を放つ。
「それに――むやみに鞭を振るうだけでは躾は出来ませんよ」
「ッ」
その時だった。無防備になったセバスチャンの背後から、虎がまた後頭部に噛み付いたのだ。
「ベティ!!ペッしな、ペッッッ!!!」
「おやおや、おてんばさんですねぇ♡」
ショーの開幕を知らせるセリフを言う片腕が骨のジョーカーと名乗った男。
「さぁさぁ、そんなら火吹き男のドハデな一発で世紀のショーの幕開けどすえ~」
ジョーカーの声を合図に、大柄な男が火を吹いた。
「お次は息ピッタリの空中ブランコ」
小さな子供の行う空中ブランコに場内は歓喜の声に包まれた。
「狙った的は外さない、百発百中のナイフ投げ!」
「演目も特に特別なものはないな……」
「ええ。例の子供達が出演させられている様子もありませんしね」
ショーが行われる中、シエルは楽しむことなくショーの様子を伺っていた。
「そしてお次は――我がサーカスのお姫さんによる決死の綱渡り」
「子供達を見せ物にすることが目的でないなら、サーカスの移動と子供達の失踪はただの偶然なのか?」
「それは調べてみてのお楽しみってトコだよ」
「ナマエ、お前は口出しするな」
「はいはい」
シエルに睨まれ、ナマエは何も言わないことにした。
「今度は世にも珍しい蛇と人間のハーフ、蛇男による華麗なる演舞!」
蛇男が身体に蛇を巻き付けて踊る。
そしてとうとうショーも終盤に差し掛かった。
「そして最後は!サーカスの花形、猛獣使いのお出ましどすえ」
パァンというムチを打つ音とともに、1頭の虎を従えた女性が登場した。
「このショーにはお客はんにも参加してもらいたいんどすが……」
「このショーにも子供達は関係なしか。どうやら観劇は時間の無駄だったようだな」
独りごちるシエルの横で、セバスチャンが静かに立ち上がった。
「?どうした?何か見つけ……」
「おっ!えろうヤル気満々の燕尾服のあんさん!!どーぞ壇上へ!」
「なっ」
「ふふっ」
笑いながら見守るナマエとは正反対に、シエルは不安に思い始めていた。
そんな2人を無視するかのように、ジョーカーはセバスチャンを指差しながら壇上へと導いた。
「さぁこちらへおいでやす!」
「!!」
周りの拍手をよそに、シエルは思考を巡らせこのチャンスを逃すまいとした。
「行ってこい」
「は」
観衆に見守られながら、セバスチャンは無言でステージへと降りていく。
「じゃあ、あんさんはこっちで寝そべってくれはりますか?」
1つの台を指しながら、ジョーカーはセバスチャンを誘導した。
「あ?」
そんなジョーカーの横をすり抜けて、セバスチャンは虎へと一直線に向かっていく。
「嗚呼……何というつぶらな瞳……」
両手で虎の顔を包みながら、セバスチャンは恍惚の表情へと変わっていた。
「!!」
周りのざわめきとは対照的に、ナマエは一人笑いを堪えていた。
「見た事も無い鮮やかな縞模様。柔らかい耳……とても愛らしい。おや?少々爪が伸び過ぎている様ですね。お手入れをしなくては……」
「……」
「くくくっ」
ポカンとする観衆とジョーカー達とは裏腹にシエルは行かせた事を後悔し、ナマエは声を殺して笑っていた。
「肉球もふくよかでとても魅力的ですよ」
満面の笑みでとらの前足を持ち上げるセバスチャン。
「あ」
その直後だった。
虎はセバスチャンの頭に噛み付いたのである。
騒然とする会場内の観客の悲鳴に我に返った猛獣使いの女性は、ムチを振るった。
「ベティ!!そいつを離しな!!」
しかし、そのムチはセバスチャンが後手で掴みとった。
「彼女に罪はありませんよ」
「!?」
「あまりの愛らしさに私が思わず失礼をしてしまっただけ……」
ムチに口付けながら、振り向いたセバスチャンは猛獣使いに向かって言葉を放つ。
「それに――むやみに鞭を振るうだけでは躾は出来ませんよ」
「ッ」
その時だった。無防備になったセバスチャンの背後から、虎がまた後頭部に噛み付いたのだ。
「ベティ!!ペッしな、ペッッッ!!!」
「おやおや、おてんばさんですねぇ♡」