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「シエルにはね、絶対青が似合うと思うの。今日シエルに持って来た服は、ロンドンでお買い物してた時に一目惚れしたのよ」
ナマエが向かった別室では、楽しそうに笑うエリザベスと着替えを手伝っているメイリンがいた。
「あっそうだ☆あなた達もパーティーに出席したら?あたしがかわいくしてあげるわ!まずメガネを外しましょうよ」
「でっですだが……ワッワタシすんげぇ遠視で眼鏡(コレ)ないと何も見えないですだよ!」
「遠くが見えてればいいじゃない!あなたもそう思うでしょ?」
いきなり話を振られたナマエは、メイリンを助けるべきか否かを迷った。押しが強いこのお嬢様を強制的に黙らせていいものか、たかが使用人のナマエには判断に迷うものだった。
「そのくらいにしてやれ」
その時、背後から我が主:シエルの声が聞こえてきた。
「シエルッ。やっぱりかわいーっ♡あたしの目にまちがいはなかったわあっ」
シエルをグルングルンと回しながら、エリザベスはとても嬉しそうに笑った。
「見て見て!みんなもかわいくなったでしょっ。みんなもパーティーに出席してもらうの♡」
シエルの視線の先には、少女趣味で着飾られた使用人の男性陣がいた。
「でもやっぱりシエルが一番……アラ?シエル!あたしが用意した指輪は!?お洋服に合わせたかわいーのがあったでしょ?」
シエルの親指に嵌められている指輪を見て、一気に不機嫌になるエリザベス。
「はぁ?指輪?」
握られている手を離すと、シエルは言い放った。
「指輪はコレでいいんだ」
その様子にますます不機嫌になるエリザベス。
「イヤよ!!せっかく全部かわいくしたのに!指輪だけ全然かわいくないっ!!あたしが持って来たヤツはしたくないって言うのねっ、シエル!!」
酷いと言いながら泣き出すエリザベス。
(ガキの癖に鳴きマネ、か……ガキでも女って事か……)
泣きじゃくるフリをしていると解っているナマエは小さく溜息を吐き出した。
「そうじゃない。この指輪は……」
同じく溜息を漏らしたシエルが指輪の事を話そうとした時だった。
「なんちゃって♡」
「!!リ……」
「取ーった♡やっぱり指輪(コレ)、スゴクブカブカじゃない!あたしが選んだのはサイズもピッタリ……」
喜び勇むエリザベスとは対照的に、怒気を含んだ声が響いた。
「返せッ」
「「……」」
「それを返せ……エリザベス!」
今までの雰囲気が一変し、緊張感に満ちた空気が溢れかえる。
その様子をセバスチャンとナマエは黙って見ていた。
「なっ……なんでそんな怒るの?あたし……せっかく」
今度は本当に涙を浮かべるエリザベスだが、ナマエは決して助け舟を出そうとはしなかった。
「……っなによ……あたし、かわいくしてあげようとしただけじゃない!なのになんでそんなに怒るの!?ひどいっ。こんな指輪なんかっキライ!!」
エリザベスは豹変したシエルの態度に対抗するが如く、指輪を床に叩きつけた。
叩きつけられた指輪は、カシャンと音を立てて砕け散る。
砕け散った指輪を見て、シエルの中でナニカが弾けた。
そして反射的に手を振り上げると、エリザベスはビクリとしながら目を瞑った。
「坊っちゃん」
シエルの手を止めたのはセバスチャンだった。
「坊っちゃん。せっかく新調した杖をお忘れですよ」
シエルに杖を握らせながら、あくまで優しく語りかけるセバスチャン。
シエルが落ち着いた事を確認し、ナマエは動いた。
泣きじゃくるエリザベスに近寄ったかと思うと、乾いた音が響き渡った。
「エリザベス様、人には行って《良い事》と《悪い事》があります。貴女の行った事は……《悪い事》です」
毅然とした態度で泣いているエリザベスと対峙するナマエ。そこにセバスチャンは割って入った。
「申し訳ありません、ミス・エリザベス。あの指輪は我が主にとってとても大切なもの。ファントムハイヴ家当主が代々受け継いでいる、世界でたった一つの指輪だったのです。主人、そして一介の使用人風情がした無礼をお許し下さい」
動揺を見せない2人に対し、エリザベスは驚きを隠せなかった。
ナマエが向かった別室では、楽しそうに笑うエリザベスと着替えを手伝っているメイリンがいた。
「あっそうだ☆あなた達もパーティーに出席したら?あたしがかわいくしてあげるわ!まずメガネを外しましょうよ」
「でっですだが……ワッワタシすんげぇ遠視で眼鏡(コレ)ないと何も見えないですだよ!」
「遠くが見えてればいいじゃない!あなたもそう思うでしょ?」
いきなり話を振られたナマエは、メイリンを助けるべきか否かを迷った。押しが強いこのお嬢様を強制的に黙らせていいものか、たかが使用人のナマエには判断に迷うものだった。
「そのくらいにしてやれ」
その時、背後から我が主:シエルの声が聞こえてきた。
「シエルッ。やっぱりかわいーっ♡あたしの目にまちがいはなかったわあっ」
シエルをグルングルンと回しながら、エリザベスはとても嬉しそうに笑った。
「見て見て!みんなもかわいくなったでしょっ。みんなもパーティーに出席してもらうの♡」
シエルの視線の先には、少女趣味で着飾られた使用人の男性陣がいた。
「でもやっぱりシエルが一番……アラ?シエル!あたしが用意した指輪は!?お洋服に合わせたかわいーのがあったでしょ?」
シエルの親指に嵌められている指輪を見て、一気に不機嫌になるエリザベス。
「はぁ?指輪?」
握られている手を離すと、シエルは言い放った。
「指輪はコレでいいんだ」
その様子にますます不機嫌になるエリザベス。
「イヤよ!!せっかく全部かわいくしたのに!指輪だけ全然かわいくないっ!!あたしが持って来たヤツはしたくないって言うのねっ、シエル!!」
酷いと言いながら泣き出すエリザベス。
(ガキの癖に鳴きマネ、か……ガキでも女って事か……)
泣きじゃくるフリをしていると解っているナマエは小さく溜息を吐き出した。
「そうじゃない。この指輪は……」
同じく溜息を漏らしたシエルが指輪の事を話そうとした時だった。
「なんちゃって♡」
「!!リ……」
「取ーった♡やっぱり指輪(コレ)、スゴクブカブカじゃない!あたしが選んだのはサイズもピッタリ……」
喜び勇むエリザベスとは対照的に、怒気を含んだ声が響いた。
「返せッ」
「「……」」
「それを返せ……エリザベス!」
今までの雰囲気が一変し、緊張感に満ちた空気が溢れかえる。
その様子をセバスチャンとナマエは黙って見ていた。
「なっ……なんでそんな怒るの?あたし……せっかく」
今度は本当に涙を浮かべるエリザベスだが、ナマエは決して助け舟を出そうとはしなかった。
「……っなによ……あたし、かわいくしてあげようとしただけじゃない!なのになんでそんなに怒るの!?ひどいっ。こんな指輪なんかっキライ!!」
エリザベスは豹変したシエルの態度に対抗するが如く、指輪を床に叩きつけた。
叩きつけられた指輪は、カシャンと音を立てて砕け散る。
砕け散った指輪を見て、シエルの中でナニカが弾けた。
そして反射的に手を振り上げると、エリザベスはビクリとしながら目を瞑った。
「坊っちゃん」
シエルの手を止めたのはセバスチャンだった。
「坊っちゃん。せっかく新調した杖をお忘れですよ」
シエルに杖を握らせながら、あくまで優しく語りかけるセバスチャン。
シエルが落ち着いた事を確認し、ナマエは動いた。
泣きじゃくるエリザベスに近寄ったかと思うと、乾いた音が響き渡った。
「エリザベス様、人には行って《良い事》と《悪い事》があります。貴女の行った事は……《悪い事》です」
毅然とした態度で泣いているエリザベスと対峙するナマエ。そこにセバスチャンは割って入った。
「申し訳ありません、ミス・エリザベス。あの指輪は我が主にとってとても大切なもの。ファントムハイヴ家当主が代々受け継いでいる、世界でたった一つの指輪だったのです。主人、そして一介の使用人風情がした無礼をお許し下さい」
動揺を見せない2人に対し、エリザベスは驚きを隠せなかった。