奇劇
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悪怯れる様子もなく、セバスチャンは淡々と続けた。
「好きな女性が他の男性とキスしているのを見て、黙っていられるほど私はお人好しではありません。ですので――貴女が私以外とそういうコトをしたのであれば、ソレ以上の事をするまでです」
「それってさ……単に嫉妬してるだけでしょ」
「嫉妬……そうかもしれませんね。私は坊っちゃんの魂もそうですが、貴女の事もこの手に入れたいと思っています。それが嫉妬というのであれば、そうなんでしょうね」
「ふ~ん……なら、嫌われるような事はしない方がいいんじゃないの?」
「この程度で貴女が私の事を嫌いになるとは思っていませんので」
自信有りげに言い切るセバスチャンを見て、ナマエは溜息を漏らした。
「その自信はどこから出て来るのやら……」
呆れ返るナマエを見ても、セバスチャンは優雅に微笑むだけだった。
やがて日も沈み、月が辺りを照らしだした頃。葬儀屋の中から小さな笑い声が漏れ聞こえ、扉が音を立てて開いた。
「ふぐっ……いやぁ……《あの》ファントムハイヴ伯爵が《あそこまで》するなんてね~。ブフォッ……」
扉の中を覗き込むと、満足そうに笑っているアンダーテイカーと息を切らせているシエルの姿があった。
「一体何をしたんです?おぐしが……」
「聞くな」
「ぐふふ。ヒッヒッ」
乱れたシエルの髪を直しながら、セバスチャンは言い放った。
「しかし、女王の為なら芸もこなしてみせるとは――本当に犬ですね」
「五月蝿い。黙れ」
服を整え、上着を着ながらシエルの視線はアンダーテイカーへと向けられた。
「さあ、報酬は払ったぞ。子供達について教えろ」
「いないよ」
「「は?」」
アンダーテイカーからの回答に、シエルだけではなくセバスチャンも呆気にとられた。
「小生のお客さんにこの子供達はいないし、裏社会での噂も聞かないねぇ」
「つまりこの事件については何もしらない?」
「そんなことないさ。“知らない”ということを知ってるよ」
「騙したのか?」
「騙してないさ。立派な情報だろう?」
「だから私がやるって言ったのに……」
ポツリと呟いたナマエの言葉は誰にも届かなかった。
「確かに、貴方が知らないという事は、子供達が裏社会で殺された事実がないという事」
「表でも裏でも死体が上がっていないとなれば、子供達は生きてる確率が高いな。となれば……例のサーカス団を直接調べるしか道はないということか――そうと決まれば行くぞセバスチャン、ナマエ。アンダーテイカー、何か情報が入ったら連絡をくれ」
アンダーテイカーに背を向け、扉に向かってシエルは歩き出した。
「伯爵」
そんなシエルに向かって、アンダーテイカーは声を掛けた。
「魂は一人ひとつ。大事におしよ」
「そんなことわかってる」
「ほ~んとかなぁ~ヒッヒッ」
意味ありげなアンダーテイカーの言葉を聞き流し、シエル達はその場を去った。
「ここか」
シエルを共に訪れたのは、例のサーカス団が開演している会場だった。
大盛況の様で、辺りはサーカスを見に来た人々で賑わっている。
そんな観客達を無視するかの様に、シエルはまっすぐに入り口へと向かった。
「見たところ、なんの変哲もないないように見えるが……」
空いている席に腰を掛けながら、シエルは辺りを見回した。
そんなシエルを挟むように座るナマエとセバスチャン。
しばらく様子を見ていると、辺りを照らしていた灯りが消え、壇上にライトが当てられた。
「レディス エンド ジェントルメーン。お嬢(トー)さん アンド 旦那はーん!本日はノアの方舟サーカスにようおこしやした。ウチは道化師(ジョーカー)と申しまんねん。どないぞお見知り……あてっ」
ボールでジャグリングをしながら自己紹介をしていた男だが、途中で失敗し宙を舞っていたボールがその頭に落ちてくる。そんな様子に観客達は沸いた。
「好きな女性が他の男性とキスしているのを見て、黙っていられるほど私はお人好しではありません。ですので――貴女が私以外とそういうコトをしたのであれば、ソレ以上の事をするまでです」
「それってさ……単に嫉妬してるだけでしょ」
「嫉妬……そうかもしれませんね。私は坊っちゃんの魂もそうですが、貴女の事もこの手に入れたいと思っています。それが嫉妬というのであれば、そうなんでしょうね」
「ふ~ん……なら、嫌われるような事はしない方がいいんじゃないの?」
「この程度で貴女が私の事を嫌いになるとは思っていませんので」
自信有りげに言い切るセバスチャンを見て、ナマエは溜息を漏らした。
「その自信はどこから出て来るのやら……」
呆れ返るナマエを見ても、セバスチャンは優雅に微笑むだけだった。
やがて日も沈み、月が辺りを照らしだした頃。葬儀屋の中から小さな笑い声が漏れ聞こえ、扉が音を立てて開いた。
「ふぐっ……いやぁ……《あの》ファントムハイヴ伯爵が《あそこまで》するなんてね~。ブフォッ……」
扉の中を覗き込むと、満足そうに笑っているアンダーテイカーと息を切らせているシエルの姿があった。
「一体何をしたんです?おぐしが……」
「聞くな」
「ぐふふ。ヒッヒッ」
乱れたシエルの髪を直しながら、セバスチャンは言い放った。
「しかし、女王の為なら芸もこなしてみせるとは――本当に犬ですね」
「五月蝿い。黙れ」
服を整え、上着を着ながらシエルの視線はアンダーテイカーへと向けられた。
「さあ、報酬は払ったぞ。子供達について教えろ」
「いないよ」
「「は?」」
アンダーテイカーからの回答に、シエルだけではなくセバスチャンも呆気にとられた。
「小生のお客さんにこの子供達はいないし、裏社会での噂も聞かないねぇ」
「つまりこの事件については何もしらない?」
「そんなことないさ。“知らない”ということを知ってるよ」
「騙したのか?」
「騙してないさ。立派な情報だろう?」
「だから私がやるって言ったのに……」
ポツリと呟いたナマエの言葉は誰にも届かなかった。
「確かに、貴方が知らないという事は、子供達が裏社会で殺された事実がないという事」
「表でも裏でも死体が上がっていないとなれば、子供達は生きてる確率が高いな。となれば……例のサーカス団を直接調べるしか道はないということか――そうと決まれば行くぞセバスチャン、ナマエ。アンダーテイカー、何か情報が入ったら連絡をくれ」
アンダーテイカーに背を向け、扉に向かってシエルは歩き出した。
「伯爵」
そんなシエルに向かって、アンダーテイカーは声を掛けた。
「魂は一人ひとつ。大事におしよ」
「そんなことわかってる」
「ほ~んとかなぁ~ヒッヒッ」
意味ありげなアンダーテイカーの言葉を聞き流し、シエル達はその場を去った。
「ここか」
シエルを共に訪れたのは、例のサーカス団が開演している会場だった。
大盛況の様で、辺りはサーカスを見に来た人々で賑わっている。
そんな観客達を無視するかの様に、シエルはまっすぐに入り口へと向かった。
「見たところ、なんの変哲もないないように見えるが……」
空いている席に腰を掛けながら、シエルは辺りを見回した。
そんなシエルを挟むように座るナマエとセバスチャン。
しばらく様子を見ていると、辺りを照らしていた灯りが消え、壇上にライトが当てられた。
「レディス エンド ジェントルメーン。お嬢(トー)さん アンド 旦那はーん!本日はノアの方舟サーカスにようおこしやした。ウチは道化師(ジョーカー)と申しまんねん。どないぞお見知り……あてっ」
ボールでジャグリングをしながら自己紹介をしていた男だが、途中で失敗し宙を舞っていたボールがその頭に落ちてくる。そんな様子に観客達は沸いた。