奇劇
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「……それにしても、ランドル卿が不在で好都合だったな」
「もう勘弁してくださいよ!こんなことが総督に知れたら……」
「知られなければいい話だ」
「そうそう。バレなきゃ問題ないって」
「大体っ、一体どうやって3階(資料室)に入ったんです!?」
ロンドンに着くなり、シエル達はシティヤードの資料室へ向かった。必要な捜査資料を漁っているところで、アバーラインと出会したのだ。
「どうだ?セバスチャン」
「捜索願いが出されている子供達の中から、死体は上がっていないようです」
資料を写しながら、セバスチャンは淡々と答えた。
「写し終えたら行くぞ。写真は拝借しておくか」
「は」
「りょーかい」
黙々と資料を写しているセバスチャンの横で、ナマエは行方不明になっている子供の写真を集めた。
「困ります!!」
「バレたら僕が持って行ったと伝えておけ」
「余計怒られます!!」
「君……えーと、アンダーライン君?」
「《アバーライン》です」
「今日は助かった。ご協力感謝する」
シエルがそう言いながら手を振ると、資料を写し終えたセバスチャンがアバーラインの手を握った。
「……?」
何事かと思っているとセバスチャンが手を放し、自身の手の平に数枚のコインが乗っていることを見て驚くアバーライン。
「こんなものいりません!!自分は《どんな方法であれ》一刻も早い事件解決になればと思っただけで、こんな……!!」
アバーラインはセバスチャンの手を強く握り返し、コインの受け取りを拒否した。
「どんな方法であれ……か。柔軟さに将来性があるな。早く出世したまえ、《アバーライン》君」
用は済んだと背を向けて歩き出すシエルに、セバスチャンとナマエはアバーラインにお辞儀をしてから続いた。
「まだ全員が行方不明という扱いの様ですね」
「表の世界ではそうかもしれんが、裏の世界ではすでに……という可能性もある」
馬車に乗り込み、シエルが杖で天井を軽く叩くと馬車は動き出した。
無言になった中で、シエルは女王からの手紙を読み返す。
内容としては、今度ロンドンにくる移動サーカスが訪れた街で何人もの子供が行方不明になっている、子供達はハーメルンの笛吹に連れ去られたかのように真夜中にいなくなっているというものだった。
「坊っちゃん、裏をあたるという事は今回も《彼》の所へ?」
静寂を破るかの様に、セバスチャンは切り出した。
「本当なら避けたいが…………一刻も早く本邸(マナーハウス)に戻りたい。行くぞ」
「はぁ……」
シエルの頭の中では、一時間前に別れたばかりのソーマとアグニの姿が浮かんでいた。
気乗りはしないが、行くしかないという表情になっていたシエル。
やがて馬車が目的地に着いて止まった。
着いたのは切り裂きジャック事件の時に赴いた葬儀屋。
「――いるか?葬儀屋(アンダーテイカー)」
「……ヒッヒ。よぅ~こそ伯爵~」
声が聞こえたかと思っていると、後ろから頭蓋骨が勢い良く転がってきた。
「やっと小生特製の棺に入ってくれる気になったのか~い?ストラーイク♪」
「お前……」
振り向くと、そこには片手で器用に頭蓋骨を弄ぶアンダーテイカーがいた。
「まぁ、お座りよ。丁度クッキーが焼けたところさ」
促されるままアンダーテイカーの定位置である机近くの棺に腰掛けるシエル。
セバスチャンとナマエは座ることなく立って話を聞くことにした。
「――子供の死体ねぇ……」
「表の世界では行方不明扱いで遺体等は発見されていないそうです」
「何か知っているのであれば、教えて頂けませんか?」
「裏の世界じゃ子供の死体なんか日常茶飯事だからねぇ……伯爵もよ~く知ってるだろ?」
「……資料は持って来た。その中にお前が《片付けた》子供はいるか?」
シエルの言葉に続き、セバスチャンはシティヤードの資料室で写した書類に写真を添えてアンダーテイカーへ渡した。
「もう勘弁してくださいよ!こんなことが総督に知れたら……」
「知られなければいい話だ」
「そうそう。バレなきゃ問題ないって」
「大体っ、一体どうやって3階(資料室)に入ったんです!?」
ロンドンに着くなり、シエル達はシティヤードの資料室へ向かった。必要な捜査資料を漁っているところで、アバーラインと出会したのだ。
「どうだ?セバスチャン」
「捜索願いが出されている子供達の中から、死体は上がっていないようです」
資料を写しながら、セバスチャンは淡々と答えた。
「写し終えたら行くぞ。写真は拝借しておくか」
「は」
「りょーかい」
黙々と資料を写しているセバスチャンの横で、ナマエは行方不明になっている子供の写真を集めた。
「困ります!!」
「バレたら僕が持って行ったと伝えておけ」
「余計怒られます!!」
「君……えーと、アンダーライン君?」
「《アバーライン》です」
「今日は助かった。ご協力感謝する」
シエルがそう言いながら手を振ると、資料を写し終えたセバスチャンがアバーラインの手を握った。
「……?」
何事かと思っているとセバスチャンが手を放し、自身の手の平に数枚のコインが乗っていることを見て驚くアバーライン。
「こんなものいりません!!自分は《どんな方法であれ》一刻も早い事件解決になればと思っただけで、こんな……!!」
アバーラインはセバスチャンの手を強く握り返し、コインの受け取りを拒否した。
「どんな方法であれ……か。柔軟さに将来性があるな。早く出世したまえ、《アバーライン》君」
用は済んだと背を向けて歩き出すシエルに、セバスチャンとナマエはアバーラインにお辞儀をしてから続いた。
「まだ全員が行方不明という扱いの様ですね」
「表の世界ではそうかもしれんが、裏の世界ではすでに……という可能性もある」
馬車に乗り込み、シエルが杖で天井を軽く叩くと馬車は動き出した。
無言になった中で、シエルは女王からの手紙を読み返す。
内容としては、今度ロンドンにくる移動サーカスが訪れた街で何人もの子供が行方不明になっている、子供達はハーメルンの笛吹に連れ去られたかのように真夜中にいなくなっているというものだった。
「坊っちゃん、裏をあたるという事は今回も《彼》の所へ?」
静寂を破るかの様に、セバスチャンは切り出した。
「本当なら避けたいが…………一刻も早く本邸(マナーハウス)に戻りたい。行くぞ」
「はぁ……」
シエルの頭の中では、一時間前に別れたばかりのソーマとアグニの姿が浮かんでいた。
気乗りはしないが、行くしかないという表情になっていたシエル。
やがて馬車が目的地に着いて止まった。
着いたのは切り裂きジャック事件の時に赴いた葬儀屋。
「――いるか?葬儀屋(アンダーテイカー)」
「……ヒッヒ。よぅ~こそ伯爵~」
声が聞こえたかと思っていると、後ろから頭蓋骨が勢い良く転がってきた。
「やっと小生特製の棺に入ってくれる気になったのか~い?ストラーイク♪」
「お前……」
振り向くと、そこには片手で器用に頭蓋骨を弄ぶアンダーテイカーがいた。
「まぁ、お座りよ。丁度クッキーが焼けたところさ」
促されるままアンダーテイカーの定位置である机近くの棺に腰掛けるシエル。
セバスチャンとナマエは座ることなく立って話を聞くことにした。
「――子供の死体ねぇ……」
「表の世界では行方不明扱いで遺体等は発見されていないそうです」
「何か知っているのであれば、教えて頂けませんか?」
「裏の世界じゃ子供の死体なんか日常茶飯事だからねぇ……伯爵もよ~く知ってるだろ?」
「……資料は持って来た。その中にお前が《片付けた》子供はいるか?」
シエルの言葉に続き、セバスチャンはシティヤードの資料室で写した書類に写真を添えてアンダーテイカーへ渡した。