狗
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「申し訳ありません。ドアが開いておりましたので……」
「立て付けが悪いなら、すぐに修理しておけ」
「は」
アグニの存在に気づいていないシエルの言葉に返答するセバスチャンだが、閉めた扉を押さえつつアグニとの押し問答をまたしていた。
そんなセバスチャンをよそに、ナマエはシエル達を先導して歩く。
「いやぁ……しかし豪華な回廊ですね。絵がたくさん……」
「フンッ。こんな陰気な絵ばかり飾りおって!!まさに悪霊の巣だな!」
悪態づくランドルを無視するかの様に、アバーラインは1枚の絵画に目を留めた。
「ハムレットのオフィーリアじゃないですか!作家は……ミレイでしょうか?」
「正解だ。ラファエル前派は好きか?」
「はい!抑えた色に雰囲気があって……」
シエルがアバーラインと絵画について話していると、セバスチャンが窓に張り付いているアグニを見つけた。
「!?」
まさかここまでするとは思っていなかったセバスチャンは慌ててカーテンを閉める。
「そちらは話がわかるようだな。世代交代も真剣に考えた方が良いのでは?」
回廊に面した窓のカーテンを次々と閉めていくセバスチャン。もはやアグニとの鬼ごっこの様だった。
「絵なんかわかっても刑事として半人前もいいところだ!」
「すいません……」
「これは手厳しい」
そうこうしているうちに食堂へ通じる扉にたどり着く。
「皆様、こちらでございます。食卓はすでに整ってございます」
セバスチャンが案内した時、今度は2階からソーマが出てきた。
「おーいシエルー、あの箱は飽きた!一緒にカードゲー――」
ソーマが叫んだ瞬間、セバスチャンは2階まで飛び上がりソーマの口を塞いでいた。
ソーマに言い聞かせて一安心していると、別の扉からアグニが入ってこようとしていた。
『《鵺》、明かりを……』
[……御意]
ナマエの呟きに応え、《鵺》がシャンデリアに灯っていた火を消した。
「なんだ!?どうした!?」
「あわわわわ、真っ暗です。ッ怖いよーッ」
「貴様、刑事として恥ずかしくないのか!?」
事態が把握できずに3人が戸惑っていると、燭台を片手にセバスチャンが現れた。
「申し訳ありません。火が消えてしまった様です」
「風か何かか?セバスチャン」
「ええ。風ではない何かか……と」
セバスチャンの答えに疑問を抱くシエル。
「食堂はあちらです。参りましょう」
セバスチャンに先を促されたため、その疑問を口にすることはなかった。
「……さて、腰を落ちつけた処で本題に入ろうじゃないか」
食堂で席に着くなり、シエルは話を切り出した。
「そうだな。私もこんな不気味な犬小屋にいつまでもいたくない」
ランドルはそう言うと、上着から1通の封書を取り出しセバスチャンに渡した。
その封書を受け取ったシエルは中を確認すると当たり前のように呟いた。
「……ま、あの程度の事件だしこんなものか」
シエルが受け取った物を見て、アバーラインは驚いた。
「それは!?」
「後継者殿はまだご存知なかったか?警視総監は代々女王のお使い役でね。わざわざ犬小屋までエサを運んでくれる。ファントムハイヴは一般的には秘密の特務執行機関。それゆえ、活動資金や報酬は国家予算に組み込まれていない。法的根拠がない。国民にも名言できない……そんな高額費用を我々に工面してくれるのは他でもない。君達ヤードだ。名目上は《ごほうび》かな。警察犬(バナービイ)と同じだ」
「そんな!!それじゃまるで裏金では――」
「まるでじゃない。正真正銘裏金だ。代々の風習だ……さあ、今日は事件の解決を記念してとびきりのシャンパンを用意した。一緒に祝おうじゃないか」
シエルの言葉を合図に、セバスチャンがシャンパンの用意を始める。
「しかし犯人はまだ逮捕されて――」
「もういいアバーライン」
立ち上がろうとしたアバーラインを、ランドルが言葉で制した。
「立て付けが悪いなら、すぐに修理しておけ」
「は」
アグニの存在に気づいていないシエルの言葉に返答するセバスチャンだが、閉めた扉を押さえつつアグニとの押し問答をまたしていた。
そんなセバスチャンをよそに、ナマエはシエル達を先導して歩く。
「いやぁ……しかし豪華な回廊ですね。絵がたくさん……」
「フンッ。こんな陰気な絵ばかり飾りおって!!まさに悪霊の巣だな!」
悪態づくランドルを無視するかの様に、アバーラインは1枚の絵画に目を留めた。
「ハムレットのオフィーリアじゃないですか!作家は……ミレイでしょうか?」
「正解だ。ラファエル前派は好きか?」
「はい!抑えた色に雰囲気があって……」
シエルがアバーラインと絵画について話していると、セバスチャンが窓に張り付いているアグニを見つけた。
「!?」
まさかここまでするとは思っていなかったセバスチャンは慌ててカーテンを閉める。
「そちらは話がわかるようだな。世代交代も真剣に考えた方が良いのでは?」
回廊に面した窓のカーテンを次々と閉めていくセバスチャン。もはやアグニとの鬼ごっこの様だった。
「絵なんかわかっても刑事として半人前もいいところだ!」
「すいません……」
「これは手厳しい」
そうこうしているうちに食堂へ通じる扉にたどり着く。
「皆様、こちらでございます。食卓はすでに整ってございます」
セバスチャンが案内した時、今度は2階からソーマが出てきた。
「おーいシエルー、あの箱は飽きた!一緒にカードゲー――」
ソーマが叫んだ瞬間、セバスチャンは2階まで飛び上がりソーマの口を塞いでいた。
ソーマに言い聞かせて一安心していると、別の扉からアグニが入ってこようとしていた。
『《鵺》、明かりを……』
[……御意]
ナマエの呟きに応え、《鵺》がシャンデリアに灯っていた火を消した。
「なんだ!?どうした!?」
「あわわわわ、真っ暗です。ッ怖いよーッ」
「貴様、刑事として恥ずかしくないのか!?」
事態が把握できずに3人が戸惑っていると、燭台を片手にセバスチャンが現れた。
「申し訳ありません。火が消えてしまった様です」
「風か何かか?セバスチャン」
「ええ。風ではない何かか……と」
セバスチャンの答えに疑問を抱くシエル。
「食堂はあちらです。参りましょう」
セバスチャンに先を促されたため、その疑問を口にすることはなかった。
「……さて、腰を落ちつけた処で本題に入ろうじゃないか」
食堂で席に着くなり、シエルは話を切り出した。
「そうだな。私もこんな不気味な犬小屋にいつまでもいたくない」
ランドルはそう言うと、上着から1通の封書を取り出しセバスチャンに渡した。
その封書を受け取ったシエルは中を確認すると当たり前のように呟いた。
「……ま、あの程度の事件だしこんなものか」
シエルが受け取った物を見て、アバーラインは驚いた。
「それは!?」
「後継者殿はまだご存知なかったか?警視総監は代々女王のお使い役でね。わざわざ犬小屋までエサを運んでくれる。ファントムハイヴは一般的には秘密の特務執行機関。それゆえ、活動資金や報酬は国家予算に組み込まれていない。法的根拠がない。国民にも名言できない……そんな高額費用を我々に工面してくれるのは他でもない。君達ヤードだ。名目上は《ごほうび》かな。警察犬(バナービイ)と同じだ」
「そんな!!それじゃまるで裏金では――」
「まるでじゃない。正真正銘裏金だ。代々の風習だ……さあ、今日は事件の解決を記念してとびきりのシャンパンを用意した。一緒に祝おうじゃないか」
シエルの言葉を合図に、セバスチャンがシャンパンの用意を始める。
「しかし犯人はまだ逮捕されて――」
「もういいアバーライン」
立ち上がろうとしたアバーラインを、ランドルが言葉で制した。