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「何も言わずに出て来たのなら叔母様も心配されてるだろう。セバスチャン連絡――」
「シエルー♡こっち来て―♡見て見て!広間(サルーン)も可愛くなったでしょ♡♡」
豪華なレースやフリルで飾り付けられた広間。
「あっ、そうだ☆ねえシエル。せっかくこんなステキな広間になったんだから、今日はダンスパーティーをしましょうよ!!」
「!?」
「婚約者(フィアンセ)のエスコートでダンスをするの!キャー♡」
「なっ」
エリザベスの提案にシエルは珍しく固まった。
「ダンス……ですか」
「あたしの選んだ服を着てね、シエルッ」
「ちょ……」
「絶対かわいいと思うの~っ♡」
「おい、誰がいいと……」
「あたしの選んだ服を着たシエルと踊れるなんて夢みたいっ。あたしもめいっぱいおしゃれしなくちゃ~♡」
「人の話を……おい!?エリザベス!?」
「諦めが肝心ですよ、シエル様」
クツクツと笑うナマエと、黙って首を横に振りながらシエルを制止するセバスチャン。
「人の話を聞けえぇえッ」
そんなシエルを無視し、エリザベスは自分の世界に浸ってしまった。
私室に戻るなり、シエルはグッタリとデスクに突っ伏した。
「エリザベス様は前当主の妹君であるフランシス様が嫁がれたミッドフォード侯爵家のご令嬢……婚約者を無碍に追い返す事もできませんし、仕方ありませんね。爵位も上位ですし。資産は別として」
紅茶を淹れながら、セバスチャンはシエルに言い聞かせた。
「別になりたくて《なった》訳じゃない。《された》んだ」
「――ですが、今日の処は大人しく彼女に従ってお引き取り願った方が得策でしょう」
「そうそう。男は諦めが肝心でございますよ、シエル様」
ニンマリと笑顔を浮かべるナマエとは対照的に、セバスチャンは真剣な面持ちだった。
「まだこの間のゲームも終わっていない事ですしね」
「まったくだ。さっさと夕食でもなんでも口に詰めて追い返せ。少女趣味に付き合ってる暇はない」
「ですがエリザベス様はダンスをご所望の様ですが……」
セバスチャンの言葉にシエルはピクリと反応した。
「……坊っちゃん」
「なんだ」
「私は拝見した事はございませんが……ダンスの教養はおありで?」
「……」
シエルはセバスチャンの問い掛けに無言で椅子を回転させ返答しなかった。
「ハァ……どうりで……パーティーにお呼ばれしても壁の華を決め込む訳ですね」
おやつのケーキを切り分けながら、セバスチャンは溜息を吐いた。
「僕は仕事が忙しい。そんなお遊戯にかまけている暇など……」
「お言葉ですが坊っちゃん。“社交ダンス”とはよく言ったものでして、夜会や晩餐会場では当然必要になってくる嗜みでございます」
無理矢理椅子をこちらに回し、切り分けたケーキをシエルの鼻先に指しだすセバスチャン。
「上流階級の紳士ともなればダンスは出来て当然の事。もし取引先のご令嬢のダンスのお誘いをお断りでもすれば、社交界での坊っちゃんの株はガタ落ちに……」
「――~わかった!やればいいんだろう。誰か家庭教師を呼べ!ブライト婦人とかロドキン婦人とか」
「今から家庭教師(マダム)をお呼びする時間はありません。今日の処は付け焼き刃で結構ですから、一曲だけ基礎と言われるワルツをマスター致しましょう」
「じゃあ僕は誰に教わるんだ?この家の連中はどう見ても……」
「ご安心下さい」
パチンと懐中時計の蓋を閉めながら、セバスチャンはニッコリと笑った。
「僭越ながら私めがダンスのご指導を」
「馬鹿を言うな!!お前みたいなデカい男相手に踊れるか!」
鳥肌を立てながら、シエルはケーキを食べる手を止めた。
「大体《お前》がワルツなど踊れる……」
言葉を続けようとするシエルの眼前に指を差し出し、セバスチャンは言葉を遮った。
「ウィンナワルツならおまかせ下さい。シェーンブルン宮殿にはよくお邪魔しておりました」
「なら、ナマエ相手でも指導出来るだろ!?」
「いいえ。ナマエさんにはエリザベス様のお相手をして頂きます。よろしいですね?ナマエさん」
有無を言わせぬ笑顔で指示を出すセバスチャンに、ナマエは無言で頷いた。
「一曲お相手願えますか?ご主人様(マイロード)」
「シエルー♡こっち来て―♡見て見て!広間(サルーン)も可愛くなったでしょ♡♡」
豪華なレースやフリルで飾り付けられた広間。
「あっ、そうだ☆ねえシエル。せっかくこんなステキな広間になったんだから、今日はダンスパーティーをしましょうよ!!」
「!?」
「婚約者(フィアンセ)のエスコートでダンスをするの!キャー♡」
「なっ」
エリザベスの提案にシエルは珍しく固まった。
「ダンス……ですか」
「あたしの選んだ服を着てね、シエルッ」
「ちょ……」
「絶対かわいいと思うの~っ♡」
「おい、誰がいいと……」
「あたしの選んだ服を着たシエルと踊れるなんて夢みたいっ。あたしもめいっぱいおしゃれしなくちゃ~♡」
「人の話を……おい!?エリザベス!?」
「諦めが肝心ですよ、シエル様」
クツクツと笑うナマエと、黙って首を横に振りながらシエルを制止するセバスチャン。
「人の話を聞けえぇえッ」
そんなシエルを無視し、エリザベスは自分の世界に浸ってしまった。
私室に戻るなり、シエルはグッタリとデスクに突っ伏した。
「エリザベス様は前当主の妹君であるフランシス様が嫁がれたミッドフォード侯爵家のご令嬢……婚約者を無碍に追い返す事もできませんし、仕方ありませんね。爵位も上位ですし。資産は別として」
紅茶を淹れながら、セバスチャンはシエルに言い聞かせた。
「別になりたくて《なった》訳じゃない。《された》んだ」
「――ですが、今日の処は大人しく彼女に従ってお引き取り願った方が得策でしょう」
「そうそう。男は諦めが肝心でございますよ、シエル様」
ニンマリと笑顔を浮かべるナマエとは対照的に、セバスチャンは真剣な面持ちだった。
「まだこの間のゲームも終わっていない事ですしね」
「まったくだ。さっさと夕食でもなんでも口に詰めて追い返せ。少女趣味に付き合ってる暇はない」
「ですがエリザベス様はダンスをご所望の様ですが……」
セバスチャンの言葉にシエルはピクリと反応した。
「……坊っちゃん」
「なんだ」
「私は拝見した事はございませんが……ダンスの教養はおありで?」
「……」
シエルはセバスチャンの問い掛けに無言で椅子を回転させ返答しなかった。
「ハァ……どうりで……パーティーにお呼ばれしても壁の華を決め込む訳ですね」
おやつのケーキを切り分けながら、セバスチャンは溜息を吐いた。
「僕は仕事が忙しい。そんなお遊戯にかまけている暇など……」
「お言葉ですが坊っちゃん。“社交ダンス”とはよく言ったものでして、夜会や晩餐会場では当然必要になってくる嗜みでございます」
無理矢理椅子をこちらに回し、切り分けたケーキをシエルの鼻先に指しだすセバスチャン。
「上流階級の紳士ともなればダンスは出来て当然の事。もし取引先のご令嬢のダンスのお誘いをお断りでもすれば、社交界での坊っちゃんの株はガタ落ちに……」
「――~わかった!やればいいんだろう。誰か家庭教師を呼べ!ブライト婦人とかロドキン婦人とか」
「今から家庭教師(マダム)をお呼びする時間はありません。今日の処は付け焼き刃で結構ですから、一曲だけ基礎と言われるワルツをマスター致しましょう」
「じゃあ僕は誰に教わるんだ?この家の連中はどう見ても……」
「ご安心下さい」
パチンと懐中時計の蓋を閉めながら、セバスチャンはニッコリと笑った。
「僭越ながら私めがダンスのご指導を」
「馬鹿を言うな!!お前みたいなデカい男相手に踊れるか!」
鳥肌を立てながら、シエルはケーキを食べる手を止めた。
「大体《お前》がワルツなど踊れる……」
言葉を続けようとするシエルの眼前に指を差し出し、セバスチャンは言葉を遮った。
「ウィンナワルツならおまかせ下さい。シェーンブルン宮殿にはよくお邪魔しておりました」
「なら、ナマエ相手でも指導出来るだろ!?」
「いいえ。ナマエさんにはエリザベス様のお相手をして頂きます。よろしいですね?ナマエさん」
有無を言わせぬ笑顔で指示を出すセバスチャンに、ナマエは無言で頷いた。
「一曲お相手願えますか?ご主人様(マイロード)」