灰色
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ソーマの手を取り、アグニは止めどなく涙を流していた。
「どうやら一件落着の様ですね。よかったわね、ぼうや」
「へっ陛下、その呼び方はおやめくださいといつも……」
あのシエルが慌てふためいていた。
「あらあら、そうだったかしら?でもぼうやは私にとってはずっと可愛いぼうやだわ」
「陛下ッ」
ざわつく使用人達を黙らせ、シエルは気を取り直した。
「陛下、今回は何故このような所へ?」
「今日は聖ソフィア学園の聖歌隊コンサートを見に行くところだったの。だけど、ぼうやの会社がカリー品評会に出るというからぼうやに会いに来たのよ。いつも《お手紙》ばかりであまり会えないものね」
「……《僕のような》者があまり陛下にお目にかかる訳には……」
「そんな言い方なさらないで。ぼうやは小さいのにお父上(ヴィンセント)の様に立派にお勤めを果たしているわ」
「……」
女王の言葉にシエルは何も言えずに、無言で頭を撫でられていた。
「それにしても水晶宮(クリスタルパレス)に来るのは本当に久しぶり。アルバートと一緒に迎えた万博の開会式が昨日のことのよう……アルバートォォォ~。今日も一緒に来たかったああ~」
いきなり泣き崩れる女王とそれを慰めるジョン。
「いけない、そろそろ出発しなくては……今度、侍従事務所にロイヤルワラントの認定書を送らせるわね。王宮のサロンでカリーパンを頂くのを楽しみにしています。ありがとうジョン」
ジョンは女王が馬に乗る手伝いをした。
「ぼうやも《お遊び》は程々にね」
「……」
「……お前はいいのか?」
「陛下お待ちを!」
シエルに言われて、ジョンが急いで女王の後を追い立ち去った。
「あいかわらずだな、あの方も……」
「シエル!勝ってくれてありがとう。礼を言う」
「別にお前のためじゃない。僕のためだ。だが、結果お前の子守も戻ってきて一石二鳥だったな」
あくまでも自分のために動いたに過ぎない。そうソーマに伝えたシエル。
「シエル。俺はもし英国に来てなかったら、いろんな真実を知らないままだったかもしれない。世間知らずで我が侭な俺のままだった、シエルに会わなければ。これからはもっとたくさんのことを見て知っていきたい。それでいつか、誰にも負けないくらいいい男になってみせるぞ!」
そう言ったソーマの顔に迷いはなく、純粋な笑顔があった。
「よく言った、少年!そうこなくっちゃ面白くない!」
「な!?」
「言うだけなら誰でもできるしな」
「なるったらなるんだ!!」
「あーハイハイ」
ナマエとシエルに軽く弄られているソーマ。そこにセバスチャンがトロフィー片手に現れた。
「おやおや、賑やかですね」
「「「セバスチャン」さんっ」」
「おめでとうございます!」
「でかしたぜ!!今日は祝勝会だな」
わっと湧く使用人達。
「セバスチャン殿」
そんなところにアグニは妙な面持ちでやって来た。
「この度のこと、なんとお詫び申し上げたらいいか……」
跪いて謝罪をするアグニ。セバスチャンはそんなアグニに膝を折って答えた。
「アグニさん、そんな事をなさる必要はありませんよ。どうか顔を上げて下さい」
「私は最初、王子を英国にお連れしたことを後悔していました……でも、今は本当に良かったと思える。私も王子も貴方がたから沢山のことを教えて頂いた。なんとお礼を言ったらいいか」
「先程から何度も申し上げているでしょう。私は私の、貴方は貴方の事情で戦った。ただそれだけの事。お礼を言われる事は何もありませんよ。貴方がたの信じるカーリー女神も、カーリー女神とシヴァ神双方の痛みで以って過ちに気づく事ができた……今の貴方がたの様に……嗚呼、もう日が暮れて来ましたね。帰りましょう」
一行は揃ってタウンハウスを目指し歩き出した。
「それに、痛みを伴わない経験は身にならないと申しますしね」
「我が国の教えを英国の方に教わるとは……お恥ずかしい限りです」
「どうやら一件落着の様ですね。よかったわね、ぼうや」
「へっ陛下、その呼び方はおやめくださいといつも……」
あのシエルが慌てふためいていた。
「あらあら、そうだったかしら?でもぼうやは私にとってはずっと可愛いぼうやだわ」
「陛下ッ」
ざわつく使用人達を黙らせ、シエルは気を取り直した。
「陛下、今回は何故このような所へ?」
「今日は聖ソフィア学園の聖歌隊コンサートを見に行くところだったの。だけど、ぼうやの会社がカリー品評会に出るというからぼうやに会いに来たのよ。いつも《お手紙》ばかりであまり会えないものね」
「……《僕のような》者があまり陛下にお目にかかる訳には……」
「そんな言い方なさらないで。ぼうやは小さいのにお父上(ヴィンセント)の様に立派にお勤めを果たしているわ」
「……」
女王の言葉にシエルは何も言えずに、無言で頭を撫でられていた。
「それにしても水晶宮(クリスタルパレス)に来るのは本当に久しぶり。アルバートと一緒に迎えた万博の開会式が昨日のことのよう……アルバートォォォ~。今日も一緒に来たかったああ~」
いきなり泣き崩れる女王とそれを慰めるジョン。
「いけない、そろそろ出発しなくては……今度、侍従事務所にロイヤルワラントの認定書を送らせるわね。王宮のサロンでカリーパンを頂くのを楽しみにしています。ありがとうジョン」
ジョンは女王が馬に乗る手伝いをした。
「ぼうやも《お遊び》は程々にね」
「……」
「……お前はいいのか?」
「陛下お待ちを!」
シエルに言われて、ジョンが急いで女王の後を追い立ち去った。
「あいかわらずだな、あの方も……」
「シエル!勝ってくれてありがとう。礼を言う」
「別にお前のためじゃない。僕のためだ。だが、結果お前の子守も戻ってきて一石二鳥だったな」
あくまでも自分のために動いたに過ぎない。そうソーマに伝えたシエル。
「シエル。俺はもし英国に来てなかったら、いろんな真実を知らないままだったかもしれない。世間知らずで我が侭な俺のままだった、シエルに会わなければ。これからはもっとたくさんのことを見て知っていきたい。それでいつか、誰にも負けないくらいいい男になってみせるぞ!」
そう言ったソーマの顔に迷いはなく、純粋な笑顔があった。
「よく言った、少年!そうこなくっちゃ面白くない!」
「な!?」
「言うだけなら誰でもできるしな」
「なるったらなるんだ!!」
「あーハイハイ」
ナマエとシエルに軽く弄られているソーマ。そこにセバスチャンがトロフィー片手に現れた。
「おやおや、賑やかですね」
「「「セバスチャン」さんっ」」
「おめでとうございます!」
「でかしたぜ!!今日は祝勝会だな」
わっと湧く使用人達。
「セバスチャン殿」
そんなところにアグニは妙な面持ちでやって来た。
「この度のこと、なんとお詫び申し上げたらいいか……」
跪いて謝罪をするアグニ。セバスチャンはそんなアグニに膝を折って答えた。
「アグニさん、そんな事をなさる必要はありませんよ。どうか顔を上げて下さい」
「私は最初、王子を英国にお連れしたことを後悔していました……でも、今は本当に良かったと思える。私も王子も貴方がたから沢山のことを教えて頂いた。なんとお礼を言ったらいいか」
「先程から何度も申し上げているでしょう。私は私の、貴方は貴方の事情で戦った。ただそれだけの事。お礼を言われる事は何もありませんよ。貴方がたの信じるカーリー女神も、カーリー女神とシヴァ神双方の痛みで以って過ちに気づく事ができた……今の貴方がたの様に……嗚呼、もう日が暮れて来ましたね。帰りましょう」
一行は揃ってタウンハウスを目指し歩き出した。
「それに、痛みを伴わない経験は身にならないと申しますしね」
「我が国の教えを英国の方に教わるとは……お恥ずかしい限りです」