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「ロイヤルワラントを頂くのですから、陛下には是非観客の前で我が社自慢のカリーを味わって頂きたいのですが」
「……」
「おっと、長話が過ぎましたね。ではまた後程!」
懐中時計を確認し、ウエストは上機嫌でその場を去った。
「“ロイヤルワラントを頂くのですから”……か」
「完全に優勝する気になっていますね」
「そういう奴が負けた時どんな顔をするか楽しみだ」
「御意。では私もそろそろ出場者の控え室へ行って参ります」
「あ、セバスチャン!」
「?」
「赤っ恥かかせてやって!」
「言われなくともそのつもりですよ、ナマエ」
クスッと笑みを浮かべ、セバスチャンは控え室へと歩き出した。
「さあさあ、この“帝国におけるインド文化とその繁栄展”メインイベント、ロンドン味自慢カリー店によるカリー品評会のお時間です!本日は特別に観客の皆様にもカリーのサービスがございます。お楽しみにお待ちくださいませ!」
司会者の言葉に会場が沸き立った。
「さて、本日の審査員は、味に妥協を許さない宮廷料理人ハイアム料理長。徴税官としてインドへ赴任されていたカーター様。そして――芸術と美と食を愛するドルイット子爵!」
会場に黄色い声が響き渡った。そしてシエルには鳥肌が立った。
「!!?」
「アレ、彼ヤードに捕まったんじゃなかったっけ?」
「金で出てきたんだろうな。腐ってる……思い出したくもない……」
「そして本日の出場店はコチラ!パーション・タブ社ターピンシェフ。ドミトリー・ビル社ラッシュシェフ。ダリア社リックマンシェフ。ウォレストン・シリン社リプリーシェフ。ハロルド・ウエスト社アグニシェフ。そしてファントム社執事セバスチャン……って、執事?」
「ええ。私はシェフではありません。あくまで執事ですから」
ファントム社が出場するという事で会場がざわついた。
「と……とにかく個性的な面々が出揃いました!これは味も期待できそうです!では料理始め!!」
合図とともに、各々が調理に取り掛かった。
「こうなるとカリーができるまでヒマだよねー」
「おとなしく見てろ」
「おい、あれを見ろ!」
客の声に指差されている方を見てみると、右手を開放したアグニの姿。
「あのインド人、右手が別の生き物のようだ」
「それになんていい香り……」
アグニの動きをウエストが当たり前だと思っていると、違うざわめきが起こった。
「ファントム社もすごいぞ!!」
「香りも負けてない」
「チッ、今回も簡単には負けそうもないな」
「あはは、いじめっ子ー」
シエルが愚痴を零すと、劉がそれをからかった。
「ま、セバスチャンが負けるわけがないんだけどね」
「「?」」
ナマエはセバスチャンをまっすぐに見据えながら目を細めていた。
「オイ、あれは一体何をしているんだ!?」
「!?」
「カリーの鍋に何か黒い物を!」
「あれはまさか」
「チョコレート!?」
「カリーにチョコレート!?」
「気持ち悪い……」
「何考えてんだ?」
「ママー!チョコレート食べたいっ」
様々な声が上がる中、一際耳障りなのはウエストの笑い声だった。
「ハハハハッ、さすがファントム社(お菓子メーカー)!宣伝の仕方が斬新だ」
「……」
そんなウエストの発言に対しても、シエルはただ黙って成り行きを見守っていた。
「な、なんだアレ」
「青い、海老!?」
「あれは……青い貴婦人(オマール・ブルー)じゃないか」
アグニの取り出したオマール・ブルーを見てドルイット子爵が立ち上がり、オマール・ブルーについて解説し始めた。
「見たか!希少価値の高い具材とアグニの神の右手。これこそがカリーの最高級ブランドだ!」
ウエストが勝ちを悟ったように笑う。
その頃、セバスチャンはカリーではなく別の“ナニか”を作り始めていた。
「しまった!この勝負、俺達は負ける」
「!?」
「……」
「おっと、長話が過ぎましたね。ではまた後程!」
懐中時計を確認し、ウエストは上機嫌でその場を去った。
「“ロイヤルワラントを頂くのですから”……か」
「完全に優勝する気になっていますね」
「そういう奴が負けた時どんな顔をするか楽しみだ」
「御意。では私もそろそろ出場者の控え室へ行って参ります」
「あ、セバスチャン!」
「?」
「赤っ恥かかせてやって!」
「言われなくともそのつもりですよ、ナマエ」
クスッと笑みを浮かべ、セバスチャンは控え室へと歩き出した。
「さあさあ、この“帝国におけるインド文化とその繁栄展”メインイベント、ロンドン味自慢カリー店によるカリー品評会のお時間です!本日は特別に観客の皆様にもカリーのサービスがございます。お楽しみにお待ちくださいませ!」
司会者の言葉に会場が沸き立った。
「さて、本日の審査員は、味に妥協を許さない宮廷料理人ハイアム料理長。徴税官としてインドへ赴任されていたカーター様。そして――芸術と美と食を愛するドルイット子爵!」
会場に黄色い声が響き渡った。そしてシエルには鳥肌が立った。
「!!?」
「アレ、彼ヤードに捕まったんじゃなかったっけ?」
「金で出てきたんだろうな。腐ってる……思い出したくもない……」
「そして本日の出場店はコチラ!パーション・タブ社ターピンシェフ。ドミトリー・ビル社ラッシュシェフ。ダリア社リックマンシェフ。ウォレストン・シリン社リプリーシェフ。ハロルド・ウエスト社アグニシェフ。そしてファントム社執事セバスチャン……って、執事?」
「ええ。私はシェフではありません。あくまで執事ですから」
ファントム社が出場するという事で会場がざわついた。
「と……とにかく個性的な面々が出揃いました!これは味も期待できそうです!では料理始め!!」
合図とともに、各々が調理に取り掛かった。
「こうなるとカリーができるまでヒマだよねー」
「おとなしく見てろ」
「おい、あれを見ろ!」
客の声に指差されている方を見てみると、右手を開放したアグニの姿。
「あのインド人、右手が別の生き物のようだ」
「それになんていい香り……」
アグニの動きをウエストが当たり前だと思っていると、違うざわめきが起こった。
「ファントム社もすごいぞ!!」
「香りも負けてない」
「チッ、今回も簡単には負けそうもないな」
「あはは、いじめっ子ー」
シエルが愚痴を零すと、劉がそれをからかった。
「ま、セバスチャンが負けるわけがないんだけどね」
「「?」」
ナマエはセバスチャンをまっすぐに見据えながら目を細めていた。
「オイ、あれは一体何をしているんだ!?」
「!?」
「カリーの鍋に何か黒い物を!」
「あれはまさか」
「チョコレート!?」
「カリーにチョコレート!?」
「気持ち悪い……」
「何考えてんだ?」
「ママー!チョコレート食べたいっ」
様々な声が上がる中、一際耳障りなのはウエストの笑い声だった。
「ハハハハッ、さすがファントム社(お菓子メーカー)!宣伝の仕方が斬新だ」
「……」
そんなウエストの発言に対しても、シエルはただ黙って成り行きを見守っていた。
「な、なんだアレ」
「青い、海老!?」
「あれは……青い貴婦人(オマール・ブルー)じゃないか」
アグニの取り出したオマール・ブルーを見てドルイット子爵が立ち上がり、オマール・ブルーについて解説し始めた。
「見たか!希少価値の高い具材とアグニの神の右手。これこそがカリーの最高級ブランドだ!」
ウエストが勝ちを悟ったように笑う。
その頃、セバスチャンはカリーではなく別の“ナニか”を作り始めていた。
「しまった!この勝負、俺達は負ける」
「!?」