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ソーマの答えにセバスチャンはナマエを連れて厨房へと戻って来た。
「苦戦している様だな。どうだ調子は?」
「坊っちゃん」
声のした方へと振り向くと、ドアに凭れかかっているシエルと劉がいた。
「いけません。厨房(このような所)へいらしては……」
「大会まであと3日か。せいぜい頑張って研究するんだな。あぁそうだ。今日のおやつはガトーショコラがいい。後で持ってきてくれ」
「……かしこまりました」
シエルの要望に、セバスチャンは恭しく礼をして答えた。
「苦戦してるなら手を貸そうか?」
「いいえ。貴女の手を煩わせたくありません」
「そ。それにしても、シエルも優しいなぁ」
「優しい?坊っちゃんが、ですか?」
不思議そうに問いかけてくるセバスチャンに対して、ナマエはにっこりと微笑んだ。
ナマエの言葉に疑問を抱きながらも、セバスチャンはガトーショコラ作りに取り掛かった。もちろん、同時進行でカリー作りもしている。
「ア゛ーッ、食った食った。キッツー。腹ごなしに運動でもしてくっか」
「僕もお庭に行こっと!王子様も行きましょうよ!」
「うむ。案内しろ」
「ワタシは洗濯の続きですだ!」
使用人達+ソーマが厨房から出ていこうとした所で、セバスチャンが悪魔の一言を放った。
「皆さん。そろそろ次のカリーが仕上がりますよ」
「も、もう入らないですだ~ッ」
「それ位10分で消化なさい」
次々と出され続けるカリーに、タナカ以外は屍と化していた。
「はぁ。一体何が足りないんでしょうか」
ソーマからのOKが出ないため、セバスチャンは様々なカリーを作り続けるも全て駄目だった。
「いけない。明日の準備どころか今日の洗い物さえこんなに。ナマエ、手伝って下さい」
「はいな~」
ナマエに手伝って貰いながら洗い物をしつつ、セバスチャンは足りない“何か”について考えていた。
そしておやつを作っていたボウルに手を伸ばそうとした時にその“何か”に気付いた。
「これは――」
「やっと気付いた?」
「ナマエ……貴女、最初から知ってて――」
「《攻略本》が必要なの?セバスチャン」
「ふふっ……必要ありませんよ、そんなモノ。私が必要としているのは《貴女》ですから、ナマエ」
「はいはい。御託はいいからさっさと終わらせるよー」
セバスチャンの言葉を聞き流し、洗い物を続けるナマエ。
セバスチャンはそんな彼女を優しい眼差しで見ていた。
翌日、セバスチャンは足りない“何か”を入れたカリーを作った。
「――なんだって!?神のカリーが完成した!?たった一晩であのコクを出す方法を見つけたのか!?」
ソーマの言葉に、シエルはピクリと反応を示した。
「あくまで私なりの方法で……ですがね。どうぞご賞味下さい」
セバスチャンの出した新たなカリーを一口食べたソーマは動きが止まった。
「いかがですか?」
「これはアグニの……カリーじゃない。だがインドカリーのスパイスによる複雑な旨みはそのままに、英国人にしかできない味付けで新たな深みを出している。このカリーも神のカリーにふさわしい。美味かったぞ、カーンサマー。でも、たった一晩でどうやって……?」
「これですよ」
「そ、それは」
セバスチャンが燕尾服の内ポケットから取り出した物をみて驚きの声が上がった。
「「「チョコレート!?」」」
そう、板チョコレートを取り出したのである。
「チョコレートに含まれるカカオは元々スパイスとして使われており独特な香ばしい風味を持ちます。そのカカオに油脂・ミルク・砂糖を絶妙にブレンドしたチョコレートはカリーに濃厚なコクを加えます。ましてやファントム社のチョコレートはカカオ純度の高い最高級品。最高のカリーを作る為にこれ程適した調味料はないでしょう。昨日坊っちゃんがリクエストされたガトーショコラの片付けをしている時に気付いたんです。助けられてしまいましたね。ナマエが坊っちゃんを“お優しい”と言った意味がようやくわかりました」
「苦戦している様だな。どうだ調子は?」
「坊っちゃん」
声のした方へと振り向くと、ドアに凭れかかっているシエルと劉がいた。
「いけません。厨房(このような所)へいらしては……」
「大会まであと3日か。せいぜい頑張って研究するんだな。あぁそうだ。今日のおやつはガトーショコラがいい。後で持ってきてくれ」
「……かしこまりました」
シエルの要望に、セバスチャンは恭しく礼をして答えた。
「苦戦してるなら手を貸そうか?」
「いいえ。貴女の手を煩わせたくありません」
「そ。それにしても、シエルも優しいなぁ」
「優しい?坊っちゃんが、ですか?」
不思議そうに問いかけてくるセバスチャンに対して、ナマエはにっこりと微笑んだ。
ナマエの言葉に疑問を抱きながらも、セバスチャンはガトーショコラ作りに取り掛かった。もちろん、同時進行でカリー作りもしている。
「ア゛ーッ、食った食った。キッツー。腹ごなしに運動でもしてくっか」
「僕もお庭に行こっと!王子様も行きましょうよ!」
「うむ。案内しろ」
「ワタシは洗濯の続きですだ!」
使用人達+ソーマが厨房から出ていこうとした所で、セバスチャンが悪魔の一言を放った。
「皆さん。そろそろ次のカリーが仕上がりますよ」
「も、もう入らないですだ~ッ」
「それ位10分で消化なさい」
次々と出され続けるカリーに、タナカ以外は屍と化していた。
「はぁ。一体何が足りないんでしょうか」
ソーマからのOKが出ないため、セバスチャンは様々なカリーを作り続けるも全て駄目だった。
「いけない。明日の準備どころか今日の洗い物さえこんなに。ナマエ、手伝って下さい」
「はいな~」
ナマエに手伝って貰いながら洗い物をしつつ、セバスチャンは足りない“何か”について考えていた。
そしておやつを作っていたボウルに手を伸ばそうとした時にその“何か”に気付いた。
「これは――」
「やっと気付いた?」
「ナマエ……貴女、最初から知ってて――」
「《攻略本》が必要なの?セバスチャン」
「ふふっ……必要ありませんよ、そんなモノ。私が必要としているのは《貴女》ですから、ナマエ」
「はいはい。御託はいいからさっさと終わらせるよー」
セバスチャンの言葉を聞き流し、洗い物を続けるナマエ。
セバスチャンはそんな彼女を優しい眼差しで見ていた。
翌日、セバスチャンは足りない“何か”を入れたカリーを作った。
「――なんだって!?神のカリーが完成した!?たった一晩であのコクを出す方法を見つけたのか!?」
ソーマの言葉に、シエルはピクリと反応を示した。
「あくまで私なりの方法で……ですがね。どうぞご賞味下さい」
セバスチャンの出した新たなカリーを一口食べたソーマは動きが止まった。
「いかがですか?」
「これはアグニの……カリーじゃない。だがインドカリーのスパイスによる複雑な旨みはそのままに、英国人にしかできない味付けで新たな深みを出している。このカリーも神のカリーにふさわしい。美味かったぞ、カーンサマー。でも、たった一晩でどうやって……?」
「これですよ」
「そ、それは」
セバスチャンが燕尾服の内ポケットから取り出した物をみて驚きの声が上がった。
「「「チョコレート!?」」」
そう、板チョコレートを取り出したのである。
「チョコレートに含まれるカカオは元々スパイスとして使われており独特な香ばしい風味を持ちます。そのカカオに油脂・ミルク・砂糖を絶妙にブレンドしたチョコレートはカリーに濃厚なコクを加えます。ましてやファントム社のチョコレートはカカオ純度の高い最高級品。最高のカリーを作る為にこれ程適した調味料はないでしょう。昨日坊っちゃんがリクエストされたガトーショコラの片付けをしている時に気付いたんです。助けられてしまいましたね。ナマエが坊っちゃんを“お優しい”と言った意味がようやくわかりました」