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迷う事無く動くその動作は、執事には見えない。
そして出来上がったのがイギリス風ベンガル・チキンカレーだ。
「わあっ、おいしそう!!いいにお~い」
「このカリーならあいつ(アグニ)なんか敵じゃねーぜ!」
出来たカリーを朝食として並べるが、ソーマの反応は酷かった。
「まずいッ!!」
その一言で場の空気が一変した。
「お気に召しませんでしたか?」
「あ゛っ。いっいやいつもインドで食べてるカリーと違いすぎただけでその、これはこれで……その……」
セバスチャンが苦手なソーマは焦った。
「結構ですよ。そのまま続きを」
「まず味がうすいし香りが全然ない。粉っぽくて口あたりが悪いし、こんなのカリーじゃない」
「ふむ。おかしいですね。最高級のカリー粉を使用したのですが……」
「カリー粉?なんだそれは」
アングロ・インディアンが持ち帰ったカリーは英国の食文化にしっかりと根付いていた。しかしスパイスの調合は素人には難しかったため、予めスパイスを挽いて調合・まとめた物をカリー粉と名付けて販売していた。
カリー粉を使用した“カリー”が英国独自の食文化だった。
「そんなのインドで見たことないし、アグニも使ってなかったぞ。たぶん……スパイスは色や辛さを決めるものでもあるが、大切なのは風味だ。挽きたてでないと香りが飛んでしまう。俺の城にはスパイスを挽くためだけの使用人(マサルチ)がいるぞ」
「カリー粉の様にあらかじめスパイスを挽いてから売っている物を使うなど論外という事ですね」
「ああ。それにアグニのカリーは具によってスープの味も色も違ってた。具に合わせて調合していたんだと思う」
「では、まず新鮮で上質なスパイスを集めなければいけない様ですね」
「そうなるとウエストは有利だな。自分の会社で流通を取り仕切っているんだから、上質な品は確保してしまえる」
「時間がありませんね。すぐに何処か貿易商をあたってみて……」
「劉様、お仕事ですね」
「ん?」
にっこりと笑うナマエの言葉で、皆の視線が劉に集まる。
2日後。
「すごい!!俺の国で見たことがあるやつばかりだ!」
「すご~い!!これがカリーの素なんですねーっ」
劉が集めた大量のスパイスがタウンハウスの玄関前にあった。
「どれも香りが素晴らしい。上質なスパイスですね」
スパイスの状態を確認しながら、セバスチャンは満足気だった。
「丸一日で用意しろなんて、まったく伯爵は人使いが荒いんだから。ウチはスパイスは専門外なんだけどなぁ。渡りつけるの大変だったんだからねー?」
「ふん。こういう時くらいはお前も役に立つな」
「まあ、伯爵(ファントムハイヴ)に恩を売っておくのも悪くないか」
劉は息を吐きながらそう言った。
「では早速このスパイスでカリーを作りましょう。ソーマ様」
セバスチャンはスパイスの確認を止め、ソーマを呼んだ。
「アグニさんのカリーをご存知なのは貴方様のみ。味のご指導をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「それはかまわんが、英国人のお前にこれだけの数のスパイスが使いこなせるのか?あっ、いやバカにしてるわけじゃないぞ!!不慣れだと大変だろうと……」
いまだにセバスチャンが怖いソーマは、途中からシエルの後ろに隠れながら言っていた。
「ご心配痛み入ります。少々お時間を頂くと思いますが、地道にやってみましょう。では、完成まで少々お待ち下さい。行きますよ、ナマエ」
「あ~い」
厨房へ移動し、使用人(主にフィニアン)が運んできたスパイスを前に佇むナマエ。
「……で?私に何をしろと?」
「あぁ、貴女は居て下さるだけで結構ですよ」
「……は?」
「ですから、黙ってそこに居て頂くだけで良いと言っているんです」
「それってさ……来た意味なくない?」
「ありますよ。あのまま劉様がいらっしゃる所に貴女を置いておくと……確実にセクハラされます」
「はい?」
「劉様は貴女もご存知の通り女性好きで信用なりません。貴女にナニかされたら、私は何をするかわかりませんから」
にっこりと怖い事を言ってのけるセバスチャン。
「……わかった。わかったからそのどす黒いモノしまって!!」
笑顔のセバスチャンの周りには、どす黒いオーラが漂っている。
身の危険を察知したナマエは、大人しくここにいるからしまえと繰り返した。
そして出来上がったのがイギリス風ベンガル・チキンカレーだ。
「わあっ、おいしそう!!いいにお~い」
「このカリーならあいつ(アグニ)なんか敵じゃねーぜ!」
出来たカリーを朝食として並べるが、ソーマの反応は酷かった。
「まずいッ!!」
その一言で場の空気が一変した。
「お気に召しませんでしたか?」
「あ゛っ。いっいやいつもインドで食べてるカリーと違いすぎただけでその、これはこれで……その……」
セバスチャンが苦手なソーマは焦った。
「結構ですよ。そのまま続きを」
「まず味がうすいし香りが全然ない。粉っぽくて口あたりが悪いし、こんなのカリーじゃない」
「ふむ。おかしいですね。最高級のカリー粉を使用したのですが……」
「カリー粉?なんだそれは」
アングロ・インディアンが持ち帰ったカリーは英国の食文化にしっかりと根付いていた。しかしスパイスの調合は素人には難しかったため、予めスパイスを挽いて調合・まとめた物をカリー粉と名付けて販売していた。
カリー粉を使用した“カリー”が英国独自の食文化だった。
「そんなのインドで見たことないし、アグニも使ってなかったぞ。たぶん……スパイスは色や辛さを決めるものでもあるが、大切なのは風味だ。挽きたてでないと香りが飛んでしまう。俺の城にはスパイスを挽くためだけの使用人(マサルチ)がいるぞ」
「カリー粉の様にあらかじめスパイスを挽いてから売っている物を使うなど論外という事ですね」
「ああ。それにアグニのカリーは具によってスープの味も色も違ってた。具に合わせて調合していたんだと思う」
「では、まず新鮮で上質なスパイスを集めなければいけない様ですね」
「そうなるとウエストは有利だな。自分の会社で流通を取り仕切っているんだから、上質な品は確保してしまえる」
「時間がありませんね。すぐに何処か貿易商をあたってみて……」
「劉様、お仕事ですね」
「ん?」
にっこりと笑うナマエの言葉で、皆の視線が劉に集まる。
2日後。
「すごい!!俺の国で見たことがあるやつばかりだ!」
「すご~い!!これがカリーの素なんですねーっ」
劉が集めた大量のスパイスがタウンハウスの玄関前にあった。
「どれも香りが素晴らしい。上質なスパイスですね」
スパイスの状態を確認しながら、セバスチャンは満足気だった。
「丸一日で用意しろなんて、まったく伯爵は人使いが荒いんだから。ウチはスパイスは専門外なんだけどなぁ。渡りつけるの大変だったんだからねー?」
「ふん。こういう時くらいはお前も役に立つな」
「まあ、伯爵(ファントムハイヴ)に恩を売っておくのも悪くないか」
劉は息を吐きながらそう言った。
「では早速このスパイスでカリーを作りましょう。ソーマ様」
セバスチャンはスパイスの確認を止め、ソーマを呼んだ。
「アグニさんのカリーをご存知なのは貴方様のみ。味のご指導をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「それはかまわんが、英国人のお前にこれだけの数のスパイスが使いこなせるのか?あっ、いやバカにしてるわけじゃないぞ!!不慣れだと大変だろうと……」
いまだにセバスチャンが怖いソーマは、途中からシエルの後ろに隠れながら言っていた。
「ご心配痛み入ります。少々お時間を頂くと思いますが、地道にやってみましょう。では、完成まで少々お待ち下さい。行きますよ、ナマエ」
「あ~い」
厨房へ移動し、使用人(主にフィニアン)が運んできたスパイスを前に佇むナマエ。
「……で?私に何をしろと?」
「あぁ、貴女は居て下さるだけで結構ですよ」
「……は?」
「ですから、黙ってそこに居て頂くだけで良いと言っているんです」
「それってさ……来た意味なくない?」
「ありますよ。あのまま劉様がいらっしゃる所に貴女を置いておくと……確実にセクハラされます」
「はい?」
「劉様は貴女もご存知の通り女性好きで信用なりません。貴女にナニかされたら、私は何をするかわかりませんから」
にっこりと怖い事を言ってのけるセバスチャン。
「……わかった。わかったからそのどす黒いモノしまって!!」
笑顔のセバスチャンの周りには、どす黒いオーラが漂っている。
身の危険を察知したナマエは、大人しくここにいるからしまえと繰り返した。