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「坊っちゃん、動きました」
窓の外から逆さ吊りになりながら、セバスチャンはシエルに報告した。
「ねむい……よし後を――」
「待て」
「!」
追跡しようと言おうとしたシエルの言葉に被せて、ドアの外から声がした。
「お前……!」
「俺も連れて行ってくれ。アグニがたまに俺が寝た後、出て行くのは知ってた。あいつが何をしているのか……知りたいんだ」
「……それが君にとって大ダメージになるって事も考えられるんだけど?」
「それでも……俺は知りたい」
「そ。シエル、連れて行こう」
「ナマエ?」
「何かあったら私が責任とる。それでいいでしょ?」
「ったく……仕方がない。時間もないし、行くぞ」
ナマエがソーマの面倒をみるという事で話はまとまり、一行はアグニを尾行した。
「この建物に入ったね」
「!ここは確か……そういうことか。裏が見えてきたぞ」
「どういうことだ?誰の家なんだ、ここは」
「まあまあ、王子様慌てない慌てない。行けば解かるさ。そして嫌でも真実を知ることになる。君も、我も……ね」
「“我も”ってことは、お前も何も知らないんだな?」
「うん☆ここ誰んち?」
「ここは輸入品を手広く扱ってるハロルド・ウエスト=ジェブの屋敷だ。表の仕事で一度会ったことがあるが、肩書き主義でいけ好かない男だ」
「輸入品かぁ。我とは同業者だね」
「何故アグニがそんな奴の家に?」
「主にインドから香辛料(スパイス)や紅茶葉を輸入していて、《ハロルド・トレーディング》という雑貨店と《ハロルド・ウエスト》というヒンドスターニー・コーヒーハウスを経営している」
「ウエスト様はミーナ様の件で調べていた資料にお名前がありました。資料によるとたしか輸入はベンガル地方からがメインで、例の逆さ吊り事件の被害にもあっています……が、代表者のウエスト様は《たまたま》不在だった為被害を免れたそうです」
「怪しいことこの上ないよね~」
クスクスと笑うナマエに溜息を吐きながら、シエルは決断した。
「しかたない……行ってみるか」
「御意」
言うが早いか、セバスチャンはシエルとナマエを抱きかかえて塀を飛び越えた。
「ばっ……」
「この方が早いでしょう。ナマエの《力》を使われても困りますし」
残された劉とソーマは自力で壁をよじ登っている。
「大丈夫?」
劉がなんとかよじ登っているソーマに声をかけていると、庭の奥から数頭のドーベルマン(番犬)がにじり寄ってきた。
「シエル!!」
襲いかかってこようとした番犬だが、セバスチャンがその目を見つめると怯えながら後退りする番犬達。
「なんだ?犬が退いていく……?」
「クスッ、ウエスト様は臆病な番犬を飼っておいでですね」
「……」
「おーい伯爵ー。こっちこっち」
声の方を見ると、劉が鍼に鍵束を掛けて回しながら立っていた。
「「「……」」」
「お前…」
「嫌だなー。殺してないって、眠らせただけだよ。中国四千年の技ってヤツ?」
「まあいい。さっさとあいつを探すぞ」
気を取り直して玄関から中に入ってみるも、中には警備員はいなかった。
「2階から声が聞こえます。行ってみましょう」
音を立てないように静かに階段を上がっていくと、灯りが漏れている部屋があった。
そこまで忍び足で近づき、中の様子を伺う。
「本当に良くやってくれた。そんなに思いつめた顔をするな。シガーでも吸ってリラックスしたらどうだ?英国王室御用達(ロイヤルワラント)のジェイムス・フォックスで買った上等のハバナ・シガーだぞ」
「……」
「まあいいさ。ここまでの計画は完璧だ。あとは1週間後、全てが決まる。そしてこの“神の右手”さえあれば、俺の計画は完遂される!3年も待ったんだ。絶対に成功させてみせるぞ」
「俺が約束通りこの計画をやりとげられたらミーナは……」
“ミーナ”という言葉を聞いて、ソーマは居ても立ってもいられずドアを開いて中に飛び入った。
「ミーナだと!?」
「「!!?」」
「あ~らら、やっぱやっちゃったか」
窓の外から逆さ吊りになりながら、セバスチャンはシエルに報告した。
「ねむい……よし後を――」
「待て」
「!」
追跡しようと言おうとしたシエルの言葉に被せて、ドアの外から声がした。
「お前……!」
「俺も連れて行ってくれ。アグニがたまに俺が寝た後、出て行くのは知ってた。あいつが何をしているのか……知りたいんだ」
「……それが君にとって大ダメージになるって事も考えられるんだけど?」
「それでも……俺は知りたい」
「そ。シエル、連れて行こう」
「ナマエ?」
「何かあったら私が責任とる。それでいいでしょ?」
「ったく……仕方がない。時間もないし、行くぞ」
ナマエがソーマの面倒をみるという事で話はまとまり、一行はアグニを尾行した。
「この建物に入ったね」
「!ここは確か……そういうことか。裏が見えてきたぞ」
「どういうことだ?誰の家なんだ、ここは」
「まあまあ、王子様慌てない慌てない。行けば解かるさ。そして嫌でも真実を知ることになる。君も、我も……ね」
「“我も”ってことは、お前も何も知らないんだな?」
「うん☆ここ誰んち?」
「ここは輸入品を手広く扱ってるハロルド・ウエスト=ジェブの屋敷だ。表の仕事で一度会ったことがあるが、肩書き主義でいけ好かない男だ」
「輸入品かぁ。我とは同業者だね」
「何故アグニがそんな奴の家に?」
「主にインドから香辛料(スパイス)や紅茶葉を輸入していて、《ハロルド・トレーディング》という雑貨店と《ハロルド・ウエスト》というヒンドスターニー・コーヒーハウスを経営している」
「ウエスト様はミーナ様の件で調べていた資料にお名前がありました。資料によるとたしか輸入はベンガル地方からがメインで、例の逆さ吊り事件の被害にもあっています……が、代表者のウエスト様は《たまたま》不在だった為被害を免れたそうです」
「怪しいことこの上ないよね~」
クスクスと笑うナマエに溜息を吐きながら、シエルは決断した。
「しかたない……行ってみるか」
「御意」
言うが早いか、セバスチャンはシエルとナマエを抱きかかえて塀を飛び越えた。
「ばっ……」
「この方が早いでしょう。ナマエの《力》を使われても困りますし」
残された劉とソーマは自力で壁をよじ登っている。
「大丈夫?」
劉がなんとかよじ登っているソーマに声をかけていると、庭の奥から数頭のドーベルマン(番犬)がにじり寄ってきた。
「シエル!!」
襲いかかってこようとした番犬だが、セバスチャンがその目を見つめると怯えながら後退りする番犬達。
「なんだ?犬が退いていく……?」
「クスッ、ウエスト様は臆病な番犬を飼っておいでですね」
「……」
「おーい伯爵ー。こっちこっち」
声の方を見ると、劉が鍼に鍵束を掛けて回しながら立っていた。
「「「……」」」
「お前…」
「嫌だなー。殺してないって、眠らせただけだよ。中国四千年の技ってヤツ?」
「まあいい。さっさとあいつを探すぞ」
気を取り直して玄関から中に入ってみるも、中には警備員はいなかった。
「2階から声が聞こえます。行ってみましょう」
音を立てないように静かに階段を上がっていくと、灯りが漏れている部屋があった。
そこまで忍び足で近づき、中の様子を伺う。
「本当に良くやってくれた。そんなに思いつめた顔をするな。シガーでも吸ってリラックスしたらどうだ?英国王室御用達(ロイヤルワラント)のジェイムス・フォックスで買った上等のハバナ・シガーだぞ」
「……」
「まあいいさ。ここまでの計画は完璧だ。あとは1週間後、全てが決まる。そしてこの“神の右手”さえあれば、俺の計画は完遂される!3年も待ったんだ。絶対に成功させてみせるぞ」
「俺が約束通りこの計画をやりとげられたらミーナは……」
“ミーナ”という言葉を聞いて、ソーマは居ても立ってもいられずドアを開いて中に飛び入った。
「ミーナだと!?」
「「!!?」」
「あ~らら、やっぱやっちゃったか」