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「ナマエはレシピを渡しても《無意味》ですから、私の指示通りに調理して下さい」
「《無意味》って傷つくなぁ……セバスチャンが活字体で書いてくれて、なおかつ辞書があれば――」
「そんなんじゃ時間がかかり過ぎます」
「~ッ……なら、せめて和食にしてよ!」
「……」
冷ややかな視線で見つめてくるセバスチャンに、ナマエは不機嫌になった。
「なんだよ、その目は!?これでも自炊してたんだからね?!」
「いや……貴女に坊っちゃんにお出し出来るレベルの料理が出来るとは……」
「そこ!?ねぇ、問題はそこなの??」
「当たり前じゃないですか」
先程とはうって変わって、セバスチャンはクスリと笑った。
「坊っちゃんに最高のお食事をお出しする。それも私の役目ですから」
「う~……」
「さ、始めますよ」
頭をポンポンと叩かれ、ナマエは仕方がなくセバスチャンの指示通りに調理にかかった。
キリの良い所で手を止め、セバスチャンと共にアグニの様子を見に行くことにしたナマエ。
「どうですか、アグニさん。出来そうですか?」
「はい!なんとか大丈夫です」
「あっ、セバスチャンさーん!!見てください。パイのお芋、僕が潰したんですよ!!」
キッチンでは《あの》使用人達もわいわいと作業をしていた。
「オレなんかなー、玉葱のみじん切りして今はつけ合わせ(温野菜)作ってんだぜ!なんつっても料理長だからな!」
「食器も準備ができてるですだ!磨いておきましただ」
「みなさんのおかげで、とっても美味しくできそうです」
この光景には流石のセバスチャンも驚きを隠せずにいた。
「セバスチャン殿?」
「いえ……あの方達を《手伝わせる》事ができるなんて凄いですよ」
「みなさん、とてもよく働いてくれる良い人達です!」
「まぁ悪い人じゃありませんが……」
「扱い方がお上手なことで……」
セバスチャンとナマエはアグニのコントロール方法に唖然とした。
(こうなるのは知ってたけど……知ってたけどさぁ……マジでやるなんて凄すぎるって……)
「人にはそれぞれ生まれ持った才能があります。神が示してくださった道と使命があるのです。我ら人間(神の子)はそれに従って、自然にゆっくりと出来ることをしていけば良いのです」
「……何というか……アグニさんは本当に《出来た》方ですね。こんな人間(ひと)、本当にいるんですね」
「とんでもない!!」
セバスチャンが改めて感心していると、アグニは全力で否定した。
「……私は王子に出会う前はとんでもない愚か者(パーガル)だったのです。一生かかっても返しきれないご恩です……私の一族は司祭階級(ブラーフマナ)という、神に仕えることができる最上級カーストでした。ですが……司祭(ブラーフマナ)とは名ばかりの欲と俗物にまみれた父の姿をみて育った私は、とても神を信仰する気になれなかったのです」
「……」
「その身分をかさにきて、毎日私は罪を犯し続けました。人を傷つけ、神を冒涜し続け罪を重ねた私に……とうとうその罪を裁かれる日が訪れたのです――この世にさした未練もなく神すら信じていなかった私に、全てを棄てた私に――神が現れたのです。そして気づかせてくれたのです。神はこの御方の中におわすのだと――その日確かに私は王子の中に至高の光を放つ神の姿を見たのです!!かのラーマクリシュナのように!!」
「アグニさん、鍋ふいてますよ」
熱弁するアグニを放置し、セバスチャンは鍋を火から下ろしていた。
「それ以来私は王子にお仕えしています。王子は私の王であり神なのです」
「神……」
「すみません。ですから私は新しい命を与えてくださった王子を命に代えてもお守りし、できうる限り望みを叶えて差し上げたいのです」
「まァ、実際の神なんて結構ロクデナシばかりですけどね」
「グレルとかグレルとかグレルとか……」
「え?今何か」
ボソッと呟いたセバスチャンとナマエの言葉は、微かにアグニの耳に届いていた。
「「いえ何でも」」
「《無意味》って傷つくなぁ……セバスチャンが活字体で書いてくれて、なおかつ辞書があれば――」
「そんなんじゃ時間がかかり過ぎます」
「~ッ……なら、せめて和食にしてよ!」
「……」
冷ややかな視線で見つめてくるセバスチャンに、ナマエは不機嫌になった。
「なんだよ、その目は!?これでも自炊してたんだからね?!」
「いや……貴女に坊っちゃんにお出し出来るレベルの料理が出来るとは……」
「そこ!?ねぇ、問題はそこなの??」
「当たり前じゃないですか」
先程とはうって変わって、セバスチャンはクスリと笑った。
「坊っちゃんに最高のお食事をお出しする。それも私の役目ですから」
「う~……」
「さ、始めますよ」
頭をポンポンと叩かれ、ナマエは仕方がなくセバスチャンの指示通りに調理にかかった。
キリの良い所で手を止め、セバスチャンと共にアグニの様子を見に行くことにしたナマエ。
「どうですか、アグニさん。出来そうですか?」
「はい!なんとか大丈夫です」
「あっ、セバスチャンさーん!!見てください。パイのお芋、僕が潰したんですよ!!」
キッチンでは《あの》使用人達もわいわいと作業をしていた。
「オレなんかなー、玉葱のみじん切りして今はつけ合わせ(温野菜)作ってんだぜ!なんつっても料理長だからな!」
「食器も準備ができてるですだ!磨いておきましただ」
「みなさんのおかげで、とっても美味しくできそうです」
この光景には流石のセバスチャンも驚きを隠せずにいた。
「セバスチャン殿?」
「いえ……あの方達を《手伝わせる》事ができるなんて凄いですよ」
「みなさん、とてもよく働いてくれる良い人達です!」
「まぁ悪い人じゃありませんが……」
「扱い方がお上手なことで……」
セバスチャンとナマエはアグニのコントロール方法に唖然とした。
(こうなるのは知ってたけど……知ってたけどさぁ……マジでやるなんて凄すぎるって……)
「人にはそれぞれ生まれ持った才能があります。神が示してくださった道と使命があるのです。我ら人間(神の子)はそれに従って、自然にゆっくりと出来ることをしていけば良いのです」
「……何というか……アグニさんは本当に《出来た》方ですね。こんな人間(ひと)、本当にいるんですね」
「とんでもない!!」
セバスチャンが改めて感心していると、アグニは全力で否定した。
「……私は王子に出会う前はとんでもない愚か者(パーガル)だったのです。一生かかっても返しきれないご恩です……私の一族は司祭階級(ブラーフマナ)という、神に仕えることができる最上級カーストでした。ですが……司祭(ブラーフマナ)とは名ばかりの欲と俗物にまみれた父の姿をみて育った私は、とても神を信仰する気になれなかったのです」
「……」
「その身分をかさにきて、毎日私は罪を犯し続けました。人を傷つけ、神を冒涜し続け罪を重ねた私に……とうとうその罪を裁かれる日が訪れたのです――この世にさした未練もなく神すら信じていなかった私に、全てを棄てた私に――神が現れたのです。そして気づかせてくれたのです。神はこの御方の中におわすのだと――その日確かに私は王子の中に至高の光を放つ神の姿を見たのです!!かのラーマクリシュナのように!!」
「アグニさん、鍋ふいてますよ」
熱弁するアグニを放置し、セバスチャンは鍋を火から下ろしていた。
「それ以来私は王子にお仕えしています。王子は私の王であり神なのです」
「神……」
「すみません。ですから私は新しい命を与えてくださった王子を命に代えてもお守りし、できうる限り望みを叶えて差し上げたいのです」
「まァ、実際の神なんて結構ロクデナシばかりですけどね」
「グレルとかグレルとかグレルとか……」
「え?今何か」
ボソッと呟いたセバスチャンとナマエの言葉は、微かにアグニの耳に届いていた。
「「いえ何でも」」