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シエルに仕えるようになって数週間が経った頃、ナマエはセバスチャンに呼び出された。
「何かしでかしましたか?もしかして……」
不安気に瞳を曇らせるナマエに対し、セバスチャンはクスリと笑った。
「いいえ」
「では……何か御用でしょうか?」
「ええ。これから坊っちゃんと外出しますので、貴女にもご同行頂ければと思いまして」
「外……出?」
訝しげな顔になったナマエ。しかし、セバスチャンはすかさず言葉を続けた。
「貴女の記憶が戻るキッカケがあるかもしれませんからね」
「それは……命令ですか?」
眉をひそめるナマエを見て、ニッコリと笑みを浮かべるセバスチャン。
「……分かりました。着替えてきます」
グッタリと項垂れながら、ナマエはあてがわれている私室へと向かい急いで着替える。
あまり主人を待たせてはいけない。そう思いながら出来る限り迅速に着替えを済ませ、玄関へと走る。
玄関に着いた頃には、すでに馬車の用意が済んでおりナマエ待ちの状態だった。
「遅いぞ、ナマエ」
「申し訳ありません、シエル様……」
(こっちはなるはやで着替えて走ってきたってのに……このクソガキ!)
頭を垂れて謝罪するナマエを鼻で笑い、シエルは早々に馬車へ乗り込んだ。
(いつか絶対に赤っ恥かかせてやる!)
拳を握りしめながら、ナマエは心にそう誓った。
馬車に揺られながら赴いたのはロンドンにある一軒の杖屋。
ドアベルを鳴らしながら、シエルとセバスチャンの後を追う様に店に入るナマエ。
「いらっしゃい《ボク》。お父さんのお使いかい?」
「……」
店主の言葉に、シエルは明らかに不機嫌になった。
そんなシエルを制したのは他でもなくセバスチャンだった。
「失礼。《主人》の杖(ステッキ)を受け取りに参りました」
「ああ、この杖の人か」
セバスチャンの差し出した紙を見ながら、店主は1本の杖を手渡した。
「こんな短い杖、一体どんな人が使うのかと思ったらまさかこんな子供――」
店主が厭味ったらしい口調で言葉を続けようとしたその時、セバスチャンは受け取った杖を真っ直ぐに店主の鼻先へと突きつけた。
「歪みもなく、素晴らしい杖ですね」
『お客様へより良いサービスを提供するのが店の勤めだろうが……例え子供相手でもサービス精神が見られないなんて、最悪な店だな。クソジジイ』
冷ややかに店主を見ながら言い放ったナマエの言葉はシエルには聞こえていなかった。いや、聞こえていたとしても理解出来なかったであろう。
『女性がそんな口調で話すのは感心しませんよ』
『別にどう思われようが構いませんので』
ツンとセバスチャンから顔を背け、シエルの後を追うナマエ。
そんなナマエに苦笑しながらも、セバスチャンは店主に代金を支払った。
「お釣りは結構ですよ」
にこやかに笑っているが、彼も内心いい気がしていないであろう事はナマエにも分かっていた。
店を出て暫く歩いていると、ふとシエルが愚痴を溢した。
「ったく……フィニの馬鹿力にも困ったものだな。おかげで杖を新調するハメになった」
「そうですね。身長が伸びたわけでもないのにお手間をとらせました」
慇懃無礼に言うセバスチャンにシエルはムッとしていた。
その後もシエルはブツブツと文句を垂れながら歩いていたが、ナマエがある店の前で立ち止まった。
「見てママ!!《ファントム》のビターラビット!新しいやつだ!」
「もう……さっきお菓子買ってあげたばかりでしょ?」
ナマエの視線の先には、はしゃぐ子供と少し困った様に宥める母親の姿があった。
そして子供の視線はシエルが支配者となっているファントム社のぬいぐるみ:ビターラビットに釘付けである。
「欲しいのか?」
羨望の眼差しで母子を見つめるナマエに気付き、シエルが鼻で笑いながら問いかけてきた。
「別に……羨ましいだけです」
「羨ましい?何がだ?」
「……シエル様には関係ない事です」
急に暗い表情になったナマエを見て、セバスチャンがシエルを促し歩き出した。
「さあ坊っちゃん、早く屋敷に戻りましょう。いつも楽しみになさっている番組が始まってしまいますよ」
「何かしでかしましたか?もしかして……」
不安気に瞳を曇らせるナマエに対し、セバスチャンはクスリと笑った。
「いいえ」
「では……何か御用でしょうか?」
「ええ。これから坊っちゃんと外出しますので、貴女にもご同行頂ければと思いまして」
「外……出?」
訝しげな顔になったナマエ。しかし、セバスチャンはすかさず言葉を続けた。
「貴女の記憶が戻るキッカケがあるかもしれませんからね」
「それは……命令ですか?」
眉をひそめるナマエを見て、ニッコリと笑みを浮かべるセバスチャン。
「……分かりました。着替えてきます」
グッタリと項垂れながら、ナマエはあてがわれている私室へと向かい急いで着替える。
あまり主人を待たせてはいけない。そう思いながら出来る限り迅速に着替えを済ませ、玄関へと走る。
玄関に着いた頃には、すでに馬車の用意が済んでおりナマエ待ちの状態だった。
「遅いぞ、ナマエ」
「申し訳ありません、シエル様……」
(こっちはなるはやで着替えて走ってきたってのに……このクソガキ!)
頭を垂れて謝罪するナマエを鼻で笑い、シエルは早々に馬車へ乗り込んだ。
(いつか絶対に赤っ恥かかせてやる!)
拳を握りしめながら、ナマエは心にそう誓った。
馬車に揺られながら赴いたのはロンドンにある一軒の杖屋。
ドアベルを鳴らしながら、シエルとセバスチャンの後を追う様に店に入るナマエ。
「いらっしゃい《ボク》。お父さんのお使いかい?」
「……」
店主の言葉に、シエルは明らかに不機嫌になった。
そんなシエルを制したのは他でもなくセバスチャンだった。
「失礼。《主人》の杖(ステッキ)を受け取りに参りました」
「ああ、この杖の人か」
セバスチャンの差し出した紙を見ながら、店主は1本の杖を手渡した。
「こんな短い杖、一体どんな人が使うのかと思ったらまさかこんな子供――」
店主が厭味ったらしい口調で言葉を続けようとしたその時、セバスチャンは受け取った杖を真っ直ぐに店主の鼻先へと突きつけた。
「歪みもなく、素晴らしい杖ですね」
『お客様へより良いサービスを提供するのが店の勤めだろうが……例え子供相手でもサービス精神が見られないなんて、最悪な店だな。クソジジイ』
冷ややかに店主を見ながら言い放ったナマエの言葉はシエルには聞こえていなかった。いや、聞こえていたとしても理解出来なかったであろう。
『女性がそんな口調で話すのは感心しませんよ』
『別にどう思われようが構いませんので』
ツンとセバスチャンから顔を背け、シエルの後を追うナマエ。
そんなナマエに苦笑しながらも、セバスチャンは店主に代金を支払った。
「お釣りは結構ですよ」
にこやかに笑っているが、彼も内心いい気がしていないであろう事はナマエにも分かっていた。
店を出て暫く歩いていると、ふとシエルが愚痴を溢した。
「ったく……フィニの馬鹿力にも困ったものだな。おかげで杖を新調するハメになった」
「そうですね。身長が伸びたわけでもないのにお手間をとらせました」
慇懃無礼に言うセバスチャンにシエルはムッとしていた。
その後もシエルはブツブツと文句を垂れながら歩いていたが、ナマエがある店の前で立ち止まった。
「見てママ!!《ファントム》のビターラビット!新しいやつだ!」
「もう……さっきお菓子買ってあげたばかりでしょ?」
ナマエの視線の先には、はしゃぐ子供と少し困った様に宥める母親の姿があった。
そして子供の視線はシエルが支配者となっているファントム社のぬいぐるみ:ビターラビットに釘付けである。
「欲しいのか?」
羨望の眼差しで母子を見つめるナマエに気付き、シエルが鼻で笑いながら問いかけてきた。
「別に……羨ましいだけです」
「羨ましい?何がだ?」
「……シエル様には関係ない事です」
急に暗い表情になったナマエを見て、セバスチャンがシエルを促し歩き出した。
「さあ坊っちゃん、早く屋敷に戻りましょう。いつも楽しみになさっている番組が始まってしまいますよ」