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「“命令”?お前は僕の“下僕(イヌ)”じゃない――“お願い”だ」
「“お願い”、ですか……」
「そうだ」
「はぁ……わかった。だけど、気分悪くしても知らんからね?」
「ふっ。じゃあ僕はもう寝る。お前も早く寝ろ」
満足したのか、シエルはゴロンと横になりナマエに背を向けてしまった。
「はいはい。とっととやる事済ませて寝ますわ。おやすみ、シエル」
静かにドアを閉めて寝室を出たナマエはそっと溜息を吐き出した。
(友達にでもなって欲しいんかね?シエルは……)
口には出さずに、深々と降る雪をぼんやりと眺めた。
「失礼します」
「シエル、入るよー」
ドアをノックし室内に入ったセバスチャンとナマエが目にしたモノは、アグニに抱き抱えられているシエルの姿。
「坊……」
「さあ、早くしないと冷めてしまいます!早く参りましょう!」
「ちょっと待て!なんなんだ一体。いいから降ろせえっ」
目の前の状況にポカンとしているセバスチャン。
そんな光景がおかしく、つい笑い声を漏らしてしまったナマエ。
「貴女……こうなる事を《知って》いましたね?」
「うん、そうだよ。くくくっ」
「おや、朝からにぎやかだねぇ」
「「「セバスチャンさーん!!」」」
「三人共、お客様の前ですよ。どうしました?また何か……」
慌てて走ってくる使用人達に、セバスチャンは嫌な予感がした。
「おかしいんだ」
「おかしいんです」
「おかしんんですだ」
騒ぐ使用人達の後ろでは、いまだにシエルがアグニと格闘していたる。
自分達の仕事である食事の用意・庭の手入れ・洗濯物がそれぞれなされているという事で使用人達は騒いでいた。
その光景を目の当たりにすると、セバスチャンも言葉を失った。
「これは一体……」
「あっ、勝手ながら私がやらせて頂きました!」
アグニの声に慌てるセバスチャン。
「そんな!お客様なのですから楽になさって下さい」
「とんでもない!王子はともかく、私は一介の執事ですから。セバスチャン殿のお手伝いをしなくてはと思いまして」
そういうアグニには後光がさしていた。
「アグニさん……」
そんなアグニにセバスチャンは感動し、使用人達に向かってにっこりと言い放った。
「貴方がたは土下座でもして、アグニさんの爪の垢でも譲って頂いたらどうです?少しはマシになるかもしれませんよ」
その言葉に、使用人達はアグニに群がった。
「随分と不機嫌だねぇ、セバスチャン」
「何故そう思われるのです?」
「ここ、皺が寄ってる」
ナマエは自分の眉間をトントンと叩きながら苦笑した。
「ああ……そうでしたか、気が付きませんでした」
「何かあった?」
「いえ、特には。さあ、テーブルセッティングを致しましょう」
いつもの表情に戻り、キッチンへと向かうことにした二人。
アグニはまだ使用人達にもみくちゃにされていた。
「……で?お前らはいつまでいる気だ?」
朝食(えびカリーとしょうが入りフレンチトースト)を前に、シエルは不機嫌に尋ねた。
「用事が済んだら出て行く」
「それは――」
「例の人捜しってヤツかい?」
「だからなんでお前までココに泊まっ――」
「そうだ。女を捜している。この女だ」
ゴソゴソと取り出した似顔絵を取り出し見せてくるソーマ。
「名をミーナといって、俺の宮殿で召使いをしていた」
「これは……」
どう見ても子供の落書き。人捜しに使う似顔絵なんてもんじゃない。
(これでも一国の王子なんだもんなぁ……美術に関しての教育なかったんか??)
「俺が描いた。本人を見ればすぐわかる程良く描けた!美人だろう」
「セバスチャン、これで捜せるか……?」
「私でもこれはさすがに……努力しましょう」
「うーん、我もこんな美人にはお目にかかったことないなぁ~。ははっ」
(誰も本心は言わないね、やっぱ。《一応》はお客様だから?……いや、面倒事を避けてる感が強いな、この場合は)
「“お願い”、ですか……」
「そうだ」
「はぁ……わかった。だけど、気分悪くしても知らんからね?」
「ふっ。じゃあ僕はもう寝る。お前も早く寝ろ」
満足したのか、シエルはゴロンと横になりナマエに背を向けてしまった。
「はいはい。とっととやる事済ませて寝ますわ。おやすみ、シエル」
静かにドアを閉めて寝室を出たナマエはそっと溜息を吐き出した。
(友達にでもなって欲しいんかね?シエルは……)
口には出さずに、深々と降る雪をぼんやりと眺めた。
「失礼します」
「シエル、入るよー」
ドアをノックし室内に入ったセバスチャンとナマエが目にしたモノは、アグニに抱き抱えられているシエルの姿。
「坊……」
「さあ、早くしないと冷めてしまいます!早く参りましょう!」
「ちょっと待て!なんなんだ一体。いいから降ろせえっ」
目の前の状況にポカンとしているセバスチャン。
そんな光景がおかしく、つい笑い声を漏らしてしまったナマエ。
「貴女……こうなる事を《知って》いましたね?」
「うん、そうだよ。くくくっ」
「おや、朝からにぎやかだねぇ」
「「「セバスチャンさーん!!」」」
「三人共、お客様の前ですよ。どうしました?また何か……」
慌てて走ってくる使用人達に、セバスチャンは嫌な予感がした。
「おかしいんだ」
「おかしいんです」
「おかしんんですだ」
騒ぐ使用人達の後ろでは、いまだにシエルがアグニと格闘していたる。
自分達の仕事である食事の用意・庭の手入れ・洗濯物がそれぞれなされているという事で使用人達は騒いでいた。
その光景を目の当たりにすると、セバスチャンも言葉を失った。
「これは一体……」
「あっ、勝手ながら私がやらせて頂きました!」
アグニの声に慌てるセバスチャン。
「そんな!お客様なのですから楽になさって下さい」
「とんでもない!王子はともかく、私は一介の執事ですから。セバスチャン殿のお手伝いをしなくてはと思いまして」
そういうアグニには後光がさしていた。
「アグニさん……」
そんなアグニにセバスチャンは感動し、使用人達に向かってにっこりと言い放った。
「貴方がたは土下座でもして、アグニさんの爪の垢でも譲って頂いたらどうです?少しはマシになるかもしれませんよ」
その言葉に、使用人達はアグニに群がった。
「随分と不機嫌だねぇ、セバスチャン」
「何故そう思われるのです?」
「ここ、皺が寄ってる」
ナマエは自分の眉間をトントンと叩きながら苦笑した。
「ああ……そうでしたか、気が付きませんでした」
「何かあった?」
「いえ、特には。さあ、テーブルセッティングを致しましょう」
いつもの表情に戻り、キッチンへと向かうことにした二人。
アグニはまだ使用人達にもみくちゃにされていた。
「……で?お前らはいつまでいる気だ?」
朝食(えびカリーとしょうが入りフレンチトースト)を前に、シエルは不機嫌に尋ねた。
「用事が済んだら出て行く」
「それは――」
「例の人捜しってヤツかい?」
「だからなんでお前までココに泊まっ――」
「そうだ。女を捜している。この女だ」
ゴソゴソと取り出した似顔絵を取り出し見せてくるソーマ。
「名をミーナといって、俺の宮殿で召使いをしていた」
「これは……」
どう見ても子供の落書き。人捜しに使う似顔絵なんてもんじゃない。
(これでも一国の王子なんだもんなぁ……美術に関しての教育なかったんか??)
「俺が描いた。本人を見ればすぐわかる程良く描けた!美人だろう」
「セバスチャン、これで捜せるか……?」
「私でもこれはさすがに……努力しましょう」
「うーん、我もこんな美人にはお目にかかったことないなぁ~。ははっ」
(誰も本心は言わないね、やっぱ。《一応》はお客様だから?……いや、面倒事を避けてる感が強いな、この場合は)