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「さて!寒い中お疲れ様でございました。すぐにお茶に致しましょう」
気を取り直したセバスチャンが、いつもの執事の顔に戻って言った。
「はぁ、そうだな」
「イギリス式よりチャイの方が良いな」
「そうだな」
「「「え?」」」
「なっ」
「我が城より大分せまいな」
「なっ、なんでお前がココに!?」
ビックリして叫ぶシエルと呆然とするセバスチャン。
「何故って、さっき知り合っただろう。もう忘れたのか?」
「知り合ったって……」
突然の来訪者に、使用人達は騒ぎ出す。
「それに助けてもやった」
「助……!?どこが!?」
「インドでは恩人は家に招いてもてなすのが常識だ。“家宝を売ってでも客人をもてなせ”という言葉もある。おい、ベッドはどこだ?」
さも同然という顔で言うソーマは、辺りを見回した。
「なんでベッドなんだい?」
「我が国では客人はベッドに通して団欒するものだぞ」
「王ー子ー!ソーマ様ー!!こちらにありましたよー!!」
「うむ」
いつの間にか家探ししていたアグニがベッドを見つけたと階段で喜んでいた。
「おいッ!!人の話を聞けッ!!」
「まぁいい。多少手狭ではあるが、しばらく世話になるとするか」
シエルの言葉を聞かず、マイペースに階段を上っていくソーマ。
「ちょっと待て!!何故僕がお前らの面倒を見なきゃならないんだ!?」
「こちらです」
「おお」
アグニが見つけた部屋に入るなり、ソーマはベッドへ一直線だった。
「他に泊まる宿も考えていないし、英国人は寒空の下恩人を放り出すのが一般的なのか?」
「~っ。大体っ、お前は何者なんだ!」
「俺か?俺は王子だ」
「王子……?」
「このお方はベンガル藩王国国王は第26子、ソーマ・アスマン・カダール王子にあらせられます」
「しばらく世話になるぞ、チビ」
ベッドに寝転びながら、ソーマはシエルに向き直って傲慢に言い放った。
その言葉に、シエルは青筋を立てて固まっている。
「では王子!お近づきの印に、このアグニめがチャイを淹れて参ります!寒い日はしょうがタップリのチャイが一番です。台所お借りします!」
「あっ、お待ち下さい。お茶なら私が……」
鼻歌を歌いながら部屋を出て行くアグニの背中を、セバスチャンは慌てて追った。
「さて……どうしたもんかねぇ……」
一連の騒動を、ナマエは目を細め形の良い唇の端を持ち上げながら眺めていた。
使用人三人はシエルを放置し、王子であるソーマに興味津々。質問攻めにしている。
「やあ伯爵、にぎやかな滞在になりそうだねぇ。はっはっはっ」
他人事だからと愉しそうに笑う劉。そんな彼等の姿を見て、ついに我らが主はキレた。
「……~っ、出てけ―っ」
肩で息をしている主人であるシエルを宥め、寝かしつけようと思ったナマエ。
「……とりあえず寝ましょう、シエル様」
「……ああ、そうする」
力なく項垂れる主を支えながら、ナマエはシエルを寝室へと誘導した。
「おや……」
「あぁ、セバスチャン。シエル様はもうお休みになられますので、後はよろしく」
面倒事は頼んだとばかりにナマエはセバスチャンに目配せすると、不機嫌なシエルを連れて寝室へと消えていった。
「ナマエ」
「何でございましょう?シエル様」
シエルを着替えさせ、ベッドに寝かしつけていると不意に名を呼ばれた。
「お前は……この事件の《結末》も知っているのか?」
「……はい。存じております」
「……わかった」
「お知りになりたいですか?」
「ん?」
「《結末》、お知りになりたいですか?」
「いや。それより……僕に合わせて無理なしゃべり方はしなくてもいい」
シエルの意図がわからず、ナマエは首を傾げて主の隻眼を見つめた。
「お前の口の悪さは知っている」
「それは……“ご命令”でしょうか?」
気を取り直したセバスチャンが、いつもの執事の顔に戻って言った。
「はぁ、そうだな」
「イギリス式よりチャイの方が良いな」
「そうだな」
「「「え?」」」
「なっ」
「我が城より大分せまいな」
「なっ、なんでお前がココに!?」
ビックリして叫ぶシエルと呆然とするセバスチャン。
「何故って、さっき知り合っただろう。もう忘れたのか?」
「知り合ったって……」
突然の来訪者に、使用人達は騒ぎ出す。
「それに助けてもやった」
「助……!?どこが!?」
「インドでは恩人は家に招いてもてなすのが常識だ。“家宝を売ってでも客人をもてなせ”という言葉もある。おい、ベッドはどこだ?」
さも同然という顔で言うソーマは、辺りを見回した。
「なんでベッドなんだい?」
「我が国では客人はベッドに通して団欒するものだぞ」
「王ー子ー!ソーマ様ー!!こちらにありましたよー!!」
「うむ」
いつの間にか家探ししていたアグニがベッドを見つけたと階段で喜んでいた。
「おいッ!!人の話を聞けッ!!」
「まぁいい。多少手狭ではあるが、しばらく世話になるとするか」
シエルの言葉を聞かず、マイペースに階段を上っていくソーマ。
「ちょっと待て!!何故僕がお前らの面倒を見なきゃならないんだ!?」
「こちらです」
「おお」
アグニが見つけた部屋に入るなり、ソーマはベッドへ一直線だった。
「他に泊まる宿も考えていないし、英国人は寒空の下恩人を放り出すのが一般的なのか?」
「~っ。大体っ、お前は何者なんだ!」
「俺か?俺は王子だ」
「王子……?」
「このお方はベンガル藩王国国王は第26子、ソーマ・アスマン・カダール王子にあらせられます」
「しばらく世話になるぞ、チビ」
ベッドに寝転びながら、ソーマはシエルに向き直って傲慢に言い放った。
その言葉に、シエルは青筋を立てて固まっている。
「では王子!お近づきの印に、このアグニめがチャイを淹れて参ります!寒い日はしょうがタップリのチャイが一番です。台所お借りします!」
「あっ、お待ち下さい。お茶なら私が……」
鼻歌を歌いながら部屋を出て行くアグニの背中を、セバスチャンは慌てて追った。
「さて……どうしたもんかねぇ……」
一連の騒動を、ナマエは目を細め形の良い唇の端を持ち上げながら眺めていた。
使用人三人はシエルを放置し、王子であるソーマに興味津々。質問攻めにしている。
「やあ伯爵、にぎやかな滞在になりそうだねぇ。はっはっはっ」
他人事だからと愉しそうに笑う劉。そんな彼等の姿を見て、ついに我らが主はキレた。
「……~っ、出てけ―っ」
肩で息をしている主人であるシエルを宥め、寝かしつけようと思ったナマエ。
「……とりあえず寝ましょう、シエル様」
「……ああ、そうする」
力なく項垂れる主を支えながら、ナマエはシエルを寝室へと誘導した。
「おや……」
「あぁ、セバスチャン。シエル様はもうお休みになられますので、後はよろしく」
面倒事は頼んだとばかりにナマエはセバスチャンに目配せすると、不機嫌なシエルを連れて寝室へと消えていった。
「ナマエ」
「何でございましょう?シエル様」
シエルを着替えさせ、ベッドに寝かしつけていると不意に名を呼ばれた。
「お前は……この事件の《結末》も知っているのか?」
「……はい。存じております」
「……わかった」
「お知りになりたいですか?」
「ん?」
「《結末》、お知りになりたいですか?」
「いや。それより……僕に合わせて無理なしゃべり方はしなくてもいい」
シエルの意図がわからず、ナマエは首を傾げて主の隻眼を見つめた。
「お前の口の悪さは知っている」
「それは……“ご命令”でしょうか?」