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アグニは右手で素早い攻撃を繰り広げるも、それはどれもセバスチャンに躱される。
「俺達も、いるぜぇ」
背後からナイフを持った男が突進し、前からはアグニが攻撃を仕掛けてくる。それを屈んで避けるセバスチャン。
屈んだことによって、アグニの拳がナイフを持った男の顔面にめり込んだ。
「すまない同胞!後で手当するから!」
攻撃を避けたセバスチャンは、シエルを抱えてそのまま走りだしていた。
「待ち……」
進行方向にいたインド人を蹴り、尚も走るセバスチャン。
そこへ飛び上がったアグニが追いつき攻撃してくる。
その全ての攻撃を左腕のみで防ぐセバスチャンだが、何度か攻防を繰り返しているとアグニが距離を取った。
「先程から何度も急所(マルマン)を突いている。普通なら腕が麻痺しているはずだ。お前、何故動ける?」
そこでようやく我に返ったシエルは、セバスチャンの腕の中でジタバタともがき始めた。
「おい!おろせ!僕らはただココを通ったのをインド人(そいつら)に絡まれただけだ!インド人は英国人とみれば見境なく襲う野蛮人なのか!?」
「なに?」
シエルが状況説明をすると、インド人の少年はピクリと反応した。
「お前達!理由もなくそこのチビ共を襲ったのか?」
「あ?理由って……」
「それはいかん!理由なき戦いはしかけた方が愚かなのだ。アグニ!今回は我が同胞達が悪い!チビ共の味方をしろ!」
「はっ」
少年の言葉に、ナマエを除いてシエル達を含めたその場に人間の動きが止まった。
呆気にとられているうちに、アグニによってチンピラは一人残らず伸されてしまった。
「終わりました、ソーマ様!」
「よし!おいお前ら、ケガはないか?」
「は、はあ……」
流石のセバスチャンでも、この状況は理解出来ない様だった。
「それにチビ。子供がこんな所をウロウロしてると危ないぞ」
バスっと音を立てさせながら、ソーマと呼ばれた少年はシエルに落ちていた帽子を被せた。
「!?」
「では俺は人捜しの途中だからもう行く。ではな」
「ソーマ様、良い事をなさいましたねー」
「神の子として当然だ」
まるで台風一過の様に去って行ったソーマとアグニ。
「やー、すごかったねあの二人」
呆然としていると、建物の屋上から劉が顔を覗かせた。
「今まで何をしてたんだ、お前は」
「やだなー、機を見て助けに入ろうとしてたんだよ?」
不機嫌になったシエルに、劉はあくまで脳天気に返した。
「それにしてもあの二人、一体何者だ?」
「ここいら(イーストエンド)の住人じゃないのは確かだね。やたら身なりもよかったし。英語の発音もキレイだったし」
何事もなかったかのように屋上から飛び降りてくる劉。
「何はともあれ、まずはこの方達をシティヤードへ届けるのが最初の仕事になりそうですね」
積み上げられたチンピラ達を見ながら、セバスチャンは呆れ半分で告げた。
タウンハウスへ帰宅出来たのは、日がどっぷりと暮れてからだった。
「くたびれ損だった……」
「あの中に犯人がいるかもしれません。ランドル様からのご連絡をお待ちしましょう」
「ったく!こんな下らん事件でいちいちロンドンに呼び出されていてはキリがない!!」
「ははっ。女王に害がおよぶ可能性があれば吠えなきゃならない。番犬の辛いトコだね、伯爵。我は君と遊べるから歓迎だけどねー」
プンスカ怒っているシエルに苦笑していると、扉の向こうから三人の使用人が顔を出した。
「坊っちゃん!」
「お帰りなさーい!!」
「今回はナマエだけじゃなく、使用人も連れて来たのかい?」
「ええ。屋敷に置いておくと後々厄介ですので」
「ふーん?」
劉の問い掛けに、セバスチャンの顔が凍りついた。
「俺達も、いるぜぇ」
背後からナイフを持った男が突進し、前からはアグニが攻撃を仕掛けてくる。それを屈んで避けるセバスチャン。
屈んだことによって、アグニの拳がナイフを持った男の顔面にめり込んだ。
「すまない同胞!後で手当するから!」
攻撃を避けたセバスチャンは、シエルを抱えてそのまま走りだしていた。
「待ち……」
進行方向にいたインド人を蹴り、尚も走るセバスチャン。
そこへ飛び上がったアグニが追いつき攻撃してくる。
その全ての攻撃を左腕のみで防ぐセバスチャンだが、何度か攻防を繰り返しているとアグニが距離を取った。
「先程から何度も急所(マルマン)を突いている。普通なら腕が麻痺しているはずだ。お前、何故動ける?」
そこでようやく我に返ったシエルは、セバスチャンの腕の中でジタバタともがき始めた。
「おい!おろせ!僕らはただココを通ったのをインド人(そいつら)に絡まれただけだ!インド人は英国人とみれば見境なく襲う野蛮人なのか!?」
「なに?」
シエルが状況説明をすると、インド人の少年はピクリと反応した。
「お前達!理由もなくそこのチビ共を襲ったのか?」
「あ?理由って……」
「それはいかん!理由なき戦いはしかけた方が愚かなのだ。アグニ!今回は我が同胞達が悪い!チビ共の味方をしろ!」
「はっ」
少年の言葉に、ナマエを除いてシエル達を含めたその場に人間の動きが止まった。
呆気にとられているうちに、アグニによってチンピラは一人残らず伸されてしまった。
「終わりました、ソーマ様!」
「よし!おいお前ら、ケガはないか?」
「は、はあ……」
流石のセバスチャンでも、この状況は理解出来ない様だった。
「それにチビ。子供がこんな所をウロウロしてると危ないぞ」
バスっと音を立てさせながら、ソーマと呼ばれた少年はシエルに落ちていた帽子を被せた。
「!?」
「では俺は人捜しの途中だからもう行く。ではな」
「ソーマ様、良い事をなさいましたねー」
「神の子として当然だ」
まるで台風一過の様に去って行ったソーマとアグニ。
「やー、すごかったねあの二人」
呆然としていると、建物の屋上から劉が顔を覗かせた。
「今まで何をしてたんだ、お前は」
「やだなー、機を見て助けに入ろうとしてたんだよ?」
不機嫌になったシエルに、劉はあくまで脳天気に返した。
「それにしてもあの二人、一体何者だ?」
「ここいら(イーストエンド)の住人じゃないのは確かだね。やたら身なりもよかったし。英語の発音もキレイだったし」
何事もなかったかのように屋上から飛び降りてくる劉。
「何はともあれ、まずはこの方達をシティヤードへ届けるのが最初の仕事になりそうですね」
積み上げられたチンピラ達を見ながら、セバスチャンは呆れ半分で告げた。
タウンハウスへ帰宅出来たのは、日がどっぷりと暮れてからだった。
「くたびれ損だった……」
「あの中に犯人がいるかもしれません。ランドル様からのご連絡をお待ちしましょう」
「ったく!こんな下らん事件でいちいちロンドンに呼び出されていてはキリがない!!」
「ははっ。女王に害がおよぶ可能性があれば吠えなきゃならない。番犬の辛いトコだね、伯爵。我は君と遊べるから歓迎だけどねー」
プンスカ怒っているシエルに苦笑していると、扉の向こうから三人の使用人が顔を出した。
「坊っちゃん!」
「お帰りなさーい!!」
「今回はナマエだけじゃなく、使用人も連れて来たのかい?」
「ええ。屋敷に置いておくと後々厄介ですので」
「ふーん?」
劉の問い掛けに、セバスチャンの顔が凍りついた。