嵐と平穏
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エリザベスを馬から降ろすと、シエルは歳相応の表情を作って馬を走らせた。
「――よかった。シエル、少し元気出たみたい。アン叔母様が一番可愛がってたのシエルだったから、心配してたの。私、シエルにはもう辛い想いをして欲しくない。いつも私なりのやり方で励まそうとするんだけど、全然うまくいかないの。いつもやり過ぎて怒られちゃうし。この前もお姉様に怒られちゃったし……ね?」
そう言いながらエリザベスは可愛い笑顔を浮かべながらナマエを仰ぎ見た。
「お姉様……?」
「そっ、お姉様になってもらったの!」
嬉しそうに抱きついてくるエリザベスを無碍に扱うことも出来ず、ナマエは苦笑しつつも彼女の髪を撫でた。
「そういう事だよ、セバスチャン」
「そうでしたか……貴女様のそのお優しいお心遣い、きっと主人も感じていらっしゃると思いますよ」
跪いてエリザベスに視線を合わせると、優しい声音で言うセバスチャン。
「えへへっ、ありがとう。優しいのね、セバスチャン」
遠くから銃声が響き渡る。
「5-4。どうやらゲームは白熱している様です。私達もお二人を応援致しましょう」
ゲーム開始からきっかり3時間後。二人がそれぞれ狩った獲物を持って戻って来た。
「候爵夫人はキジ10羽、キツネ2匹、ウサギ3羽の計15匹。坊っちゃんはキジ11羽、キツネ3匹、ウサギ1羽、計15匹……同点引き分け、という事でよろしいですか?」
開けた森の中には似つかわしくないテーブルと椅子、そして料理(ステーキアンドキドニーパイとサーモンサンドウィッチ)が並んでいる。
それぞれ席に着き、セバスチャンとナマエは給仕していた。
「気にくわん!私はハッキリしないのは好きじゃない」
「奇遇ですね叔母様。僕も同じ意見です」
候爵夫人とシエルの間には激しい火花が散っている。
「では、勝敗は午後の部で……という事で」
「いいだろう」
「問題ない。しかし狩場を荒らしすぎたな。午後は場所を変える」
候爵夫人がそう言うと、セバスチャンはまた鼻を鳴らしながら辺りの臭いを嗅いだ。
「ああ……大丈夫ですよ、候爵夫人。まだまだ大物が隠れております」
「じゃあルールも決まったことだし、食べましょっ。すっごくいい匂い……」
エリザベスが空気を変えようとしていると、彼女を覆う影が現れた。
「え?」
その影に振り向くと、大きな熊が木々の間から出てきた。
「き……っ」
「リ……ッ」
「きゃあああっ」
「リジー!!」
エリザベスの叫び声にシエルが身を乗り出し、覆い被るように彼女を庇った。
シエルが来るであろう衝撃に目を瞑っていると、大きな銃声がし熊は後ろへと倒れた。
「フーッ」
銃声の元を見やると、候爵夫人がテーブルに片足を乗せた状態で猟銃を構えていた。
「叔母様……っ」
「……」
シエルとエリザベスの直ぐ側に倒れている熊。それを見て、シエルはフッと笑った。
「16-15。どうやらゲームは僕の負けの様です、叔母様」
「フン。私に勝つなど10年早い……だが、その身を挺して我が娘を守った度胸だけは誉めてやる。そして、恩にきる」
「!!」
「――よかった。シエル、少し元気出たみたい。アン叔母様が一番可愛がってたのシエルだったから、心配してたの。私、シエルにはもう辛い想いをして欲しくない。いつも私なりのやり方で励まそうとするんだけど、全然うまくいかないの。いつもやり過ぎて怒られちゃうし。この前もお姉様に怒られちゃったし……ね?」
そう言いながらエリザベスは可愛い笑顔を浮かべながらナマエを仰ぎ見た。
「お姉様……?」
「そっ、お姉様になってもらったの!」
嬉しそうに抱きついてくるエリザベスを無碍に扱うことも出来ず、ナマエは苦笑しつつも彼女の髪を撫でた。
「そういう事だよ、セバスチャン」
「そうでしたか……貴女様のそのお優しいお心遣い、きっと主人も感じていらっしゃると思いますよ」
跪いてエリザベスに視線を合わせると、優しい声音で言うセバスチャン。
「えへへっ、ありがとう。優しいのね、セバスチャン」
遠くから銃声が響き渡る。
「5-4。どうやらゲームは白熱している様です。私達もお二人を応援致しましょう」
ゲーム開始からきっかり3時間後。二人がそれぞれ狩った獲物を持って戻って来た。
「候爵夫人はキジ10羽、キツネ2匹、ウサギ3羽の計15匹。坊っちゃんはキジ11羽、キツネ3匹、ウサギ1羽、計15匹……同点引き分け、という事でよろしいですか?」
開けた森の中には似つかわしくないテーブルと椅子、そして料理(ステーキアンドキドニーパイとサーモンサンドウィッチ)が並んでいる。
それぞれ席に着き、セバスチャンとナマエは給仕していた。
「気にくわん!私はハッキリしないのは好きじゃない」
「奇遇ですね叔母様。僕も同じ意見です」
候爵夫人とシエルの間には激しい火花が散っている。
「では、勝敗は午後の部で……という事で」
「いいだろう」
「問題ない。しかし狩場を荒らしすぎたな。午後は場所を変える」
候爵夫人がそう言うと、セバスチャンはまた鼻を鳴らしながら辺りの臭いを嗅いだ。
「ああ……大丈夫ですよ、候爵夫人。まだまだ大物が隠れております」
「じゃあルールも決まったことだし、食べましょっ。すっごくいい匂い……」
エリザベスが空気を変えようとしていると、彼女を覆う影が現れた。
「え?」
その影に振り向くと、大きな熊が木々の間から出てきた。
「き……っ」
「リ……ッ」
「きゃあああっ」
「リジー!!」
エリザベスの叫び声にシエルが身を乗り出し、覆い被るように彼女を庇った。
シエルが来るであろう衝撃に目を瞑っていると、大きな銃声がし熊は後ろへと倒れた。
「フーッ」
銃声の元を見やると、候爵夫人がテーブルに片足を乗せた状態で猟銃を構えていた。
「叔母様……っ」
「……」
シエルとエリザベスの直ぐ側に倒れている熊。それを見て、シエルはフッと笑った。
「16-15。どうやらゲームは僕の負けの様です、叔母様」
「フン。私に勝つなど10年早い……だが、その身を挺して我が娘を守った度胸だけは誉めてやる。そして、恩にきる」
「!!」