嵐と平穏
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「いかがでしょうか、候爵夫人。主人の愛馬にと見事な青駒の毛並みの馬を迎えまして。以前より候爵夫人にご覧に入れたいと思っておりました」
馬の顔を候爵夫人に見せるように鼻先を手で軽く押さえるセバスチャン。
「ほう……たしかに良い馬だ。腰もしっかりして面がまえも良い」
ひとしきり馬を見た所で、候爵夫人は唐突に提案を出した。
「そうだ。シエル、これから私と狩り(ハンティング)に出ないか?」
「!?叔母様とですか?」
「娘の夫になる男がどれ程の男か見る良い機会だ。それとも、少女の様に華奢なファントムハイヴ伯爵には“狩猟”はキツすぎるか?」
わざと挑発しながら言う候爵夫人に、シエルはまんまとハマった。
「いいでしょう。セバスチャン、ナマエ、準備を」
「勝負だ、シエル!」
屋敷に戻りハンティング用の服に着替えるシエルと侯爵夫人。
ナマエは候爵夫人の手伝いをするようにとの命を下されたため、今は候爵夫人と同じ部屋にいる。
気まずい。エリザベスがいるとはいえ、雰囲気が重い。
「……ナマエ、といったか」
「は……い」
(いかん……この人、苦手かもしれんわ)
「そう硬くなるな。私はお前に聞きたい事があるだけだ」
「聞きたい事……でございますか?」
「そうだ。マダム・レッドの訃報を聞いた時は私も驚いた。それと同時に心配になったのだ」
「心配、でございますか?」
「ああ。シエルは気位が高いとはいえまだまだ子供だ。身内の死はさぞ堪えたことであろうな」
「そう……ですね。それでも――《女王の番犬》としての責務は果たされているかと」
凛とした瞳で候爵夫人を見返すと、彼女はフッと微笑んだ。
「エリザベスが“姉”と慕う理由が解った。お前が傍にいるのであれば、シエルも大丈夫だろうな」
お互いの準備が終わり、それぞれ馬に乗って狩場を目指す。
セバスチャンが引く馬にはシエルとエリザベスが、ナマエが引く馬には候爵夫人が乗っていた。
「セバスチャン」
「は」
森の中を移動する事数分。シエルの言葉にセバスチャンが辺りの臭いを確認した。
「……坊っちゃん、こちらです」
「お前の執事は犬も兼用か?」
嫌味混じりに言われても、シエルは動じなかった。
「そのようなものですよ。《あれ》は」
少し移動した所でセバスチャンの足が止まった。
「ではこのあたりで始めさせて頂きます。ルールは左右25メートル以内のお互いのテリトリーを守る事と、規定の高さ以下の鳥は撃たない事……でよろしいですね?」
「ああ」
「では只今よりゲームをスタート致します。制限時間は3時間です」
懐中時計で時間を確認を確認したセバスチャンの声に、先に動いたのは候爵夫人だった。
「ではまたな、シエル!」
馬を操り走り去った候爵夫人を見て、シエルも動こうとした。
「リジー、お前も降りろ。これじゃ狩りができん」
「えーっ。せっかく一緒に来たのにぃ~」
エリザベスがシエルと離れたくないと駄々をこねていると、遠くから一発の銃声が聞こえてきた。
「1-0」
「!」
「さすが候爵夫人。早速1羽仕留められた様です。どうやら、坊っちゃんでも手強い相手となりそうですね?」
からかい混じりに言うセバスチャンに、シエルの機嫌は明らかに悪くなった。
いきなり猟銃を構え撃ちだすシエル。
「きゃあっ!?」
銃声の直後に、1羽のキジが落ちてきた。
「叔母様には悪いが、僕はゲームと名のつくもので負ける気はしないな。リジー、危ないからそこでセバスチャン達と一緒にいろ。いいな」
馬の顔を候爵夫人に見せるように鼻先を手で軽く押さえるセバスチャン。
「ほう……たしかに良い馬だ。腰もしっかりして面がまえも良い」
ひとしきり馬を見た所で、候爵夫人は唐突に提案を出した。
「そうだ。シエル、これから私と狩り(ハンティング)に出ないか?」
「!?叔母様とですか?」
「娘の夫になる男がどれ程の男か見る良い機会だ。それとも、少女の様に華奢なファントムハイヴ伯爵には“狩猟”はキツすぎるか?」
わざと挑発しながら言う候爵夫人に、シエルはまんまとハマった。
「いいでしょう。セバスチャン、ナマエ、準備を」
「勝負だ、シエル!」
屋敷に戻りハンティング用の服に着替えるシエルと侯爵夫人。
ナマエは候爵夫人の手伝いをするようにとの命を下されたため、今は候爵夫人と同じ部屋にいる。
気まずい。エリザベスがいるとはいえ、雰囲気が重い。
「……ナマエ、といったか」
「は……い」
(いかん……この人、苦手かもしれんわ)
「そう硬くなるな。私はお前に聞きたい事があるだけだ」
「聞きたい事……でございますか?」
「そうだ。マダム・レッドの訃報を聞いた時は私も驚いた。それと同時に心配になったのだ」
「心配、でございますか?」
「ああ。シエルは気位が高いとはいえまだまだ子供だ。身内の死はさぞ堪えたことであろうな」
「そう……ですね。それでも――《女王の番犬》としての責務は果たされているかと」
凛とした瞳で候爵夫人を見返すと、彼女はフッと微笑んだ。
「エリザベスが“姉”と慕う理由が解った。お前が傍にいるのであれば、シエルも大丈夫だろうな」
お互いの準備が終わり、それぞれ馬に乗って狩場を目指す。
セバスチャンが引く馬にはシエルとエリザベスが、ナマエが引く馬には候爵夫人が乗っていた。
「セバスチャン」
「は」
森の中を移動する事数分。シエルの言葉にセバスチャンが辺りの臭いを確認した。
「……坊っちゃん、こちらです」
「お前の執事は犬も兼用か?」
嫌味混じりに言われても、シエルは動じなかった。
「そのようなものですよ。《あれ》は」
少し移動した所でセバスチャンの足が止まった。
「ではこのあたりで始めさせて頂きます。ルールは左右25メートル以内のお互いのテリトリーを守る事と、規定の高さ以下の鳥は撃たない事……でよろしいですね?」
「ああ」
「では只今よりゲームをスタート致します。制限時間は3時間です」
懐中時計で時間を確認を確認したセバスチャンの声に、先に動いたのは候爵夫人だった。
「ではまたな、シエル!」
馬を操り走り去った候爵夫人を見て、シエルも動こうとした。
「リジー、お前も降りろ。これじゃ狩りができん」
「えーっ。せっかく一緒に来たのにぃ~」
エリザベスがシエルと離れたくないと駄々をこねていると、遠くから一発の銃声が聞こえてきた。
「1-0」
「!」
「さすが候爵夫人。早速1羽仕留められた様です。どうやら、坊っちゃんでも手強い相手となりそうですね?」
からかい混じりに言うセバスチャンに、シエルの機嫌は明らかに悪くなった。
いきなり猟銃を構え撃ちだすシエル。
「きゃあっ!?」
銃声の直後に、1羽のキジが落ちてきた。
「叔母様には悪いが、僕はゲームと名のつくもので負ける気はしないな。リジー、危ないからそこでセバスチャン達と一緒にいろ。いいな」