嵐と平穏
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「僕に……っ触るな……っ」
シエルの寝室の外で待機していたナマエは、幼き主の異様な声に慌てて室内へと駆け込んだ。
「シエル様!?」
ナマエの目に飛び込んできたのは、銃をセバスチャンに突きつけるシエルの姿。
「如何なさいましたか!?シエル様!!」
何かに怯えたかの様に息を荒くしている主に駆け寄ると、執事であるセバスチャンは何事もなかったかのように紅茶を淹れ始めている。
「本日の目覚めの紅茶(アーリーモーニングティー)は、アッサムをたっぷりのミルクで淹れたミルクティーをご用意致しました」
紅茶を淹れているセバスチャンを見ながらも、シエルは銃を持った両手を胸の前で抱きかかえるようにして息を荒くしている。
「牛乳(ミルク)にはリラックス効果がございます。落ち着かれますよ」
「はぁっ……はぁ」
「特に悪い夢の後などは……」
淹れ終わった紅茶を差し出された所で、漸くシエルは銃を降ろし息を吐いた。
紅茶を受け取ったシエルの枕元にセバスチャンが視線を移すと、そこには一冊の本が置いてあった。
「クスッ。お休み前にポーなどお読みになるからですよ」
「僕の勝手だ。今日の予定は?」
「本日は本社から届いた書類のチェックを。午後はミッドフォード候爵夫人(マーショネス・オブ・ミッドフォード)とエリザベス様がお見えになります」
毎朝恒例のスケジュール確認をしていると、いきなり慌て出すシエル。
「しまった!!」
「そして坊っちゃんの――」
「支度しろ、早く!」
「?そんなに慌てて支度なさらずとも、婦人は午後から……」
「馬鹿。《あの》フランシス叔母様だぞ!!僕は着替える!ナマエは出ていろ!!」
「御意」
恭しく頭を垂れ、ナマエは静かに寝室から出た。
寝室からはわたわたと着替えるシエルの声が漏れ聞こえている。
そんな状況にクスリと声を漏らすと、屋敷の外に馬車が止まる音が聞こえてきた。と同時に、寝室から大慌てて駈け出してくる小さな主:シエル。
「お前も急げ!ナマエ」
シエルに促され、早足で主の後を追うナマエ。
玄関ホールに着くなり、シエルはヨレッとした状態でお客様をお迎えする。
「お久しぶりにお目にかかります。ミッドフォード候爵夫人。今日もまた予定よりお早いご到着で……」
「堅苦しい挨拶は結構。今起きたという顔ですね、ファントムハイヴ伯爵(アール・オブ・ファントムハイヴ)?」
「いえ、そのような……」
「やーんっ、寝起きのシエルもかわいーっ♡」
「ぐえっ」
遠慮無く抱きついてくるエリザベスの力に、シエルは青ざめた。
「エリザベス!」
ミッドフォード候爵夫人の言葉に、抱きついているエリザベスの動きが止まった。
「挨拶もなしに無礼なマネはよしなさい。この母の実家といえど、レディたるもの礼節をわきまえろといつも……」
「ごめんなさいお母様!!」
《あの》エリザベスが恐れをなす程の気迫を出す候爵夫人。
やがてその視線は娘:エリザベスからシエルの傍に控えている二人へと移された。
「お久しぶりにお目にかかります。候爵夫人、エリザベス様。ようこそいらっしゃいました。本日は遠方より――……?……あの……えっと……私の顔に何か……」
候爵夫人がジーっとセバスチャンの顔を凝視するため、流石のセバスチャンも状況を理解出来ずにいた。
「いやらしい顔だな、お前は!相変わらず」
「生まれつきこの顔でして……」
「それに!執事(おまえ)も主(シエル)も男のクセにダラダラと前髪を伸ばしおってうっとおしい!タナカを見習え!!」
「ヒッ!!」
ガッとセバスチャンの前髪を引っ張る候爵夫人。どうやらセバスチャンもこの方は苦手なようだった。
「おっおばさま!?お待ち下さっ……ちょっああああ」
暫くして出来上がったのは、七三分けのシエルとオールバックのセバスチャン。
「お手数おかけして申し訳ありません……叔母様……」
「全くだ。フンッ」
「あんまりかわいくない……」
あまりの変貌ぶりにナマエがクスクス笑い声を漏らしていると、候爵夫人の視線がナマエへと移った。
「お前か?エリザベスが言っていた新しい家庭教師というのは」
シエルの寝室の外で待機していたナマエは、幼き主の異様な声に慌てて室内へと駆け込んだ。
「シエル様!?」
ナマエの目に飛び込んできたのは、銃をセバスチャンに突きつけるシエルの姿。
「如何なさいましたか!?シエル様!!」
何かに怯えたかの様に息を荒くしている主に駆け寄ると、執事であるセバスチャンは何事もなかったかのように紅茶を淹れ始めている。
「本日の目覚めの紅茶(アーリーモーニングティー)は、アッサムをたっぷりのミルクで淹れたミルクティーをご用意致しました」
紅茶を淹れているセバスチャンを見ながらも、シエルは銃を持った両手を胸の前で抱きかかえるようにして息を荒くしている。
「牛乳(ミルク)にはリラックス効果がございます。落ち着かれますよ」
「はぁっ……はぁ」
「特に悪い夢の後などは……」
淹れ終わった紅茶を差し出された所で、漸くシエルは銃を降ろし息を吐いた。
紅茶を受け取ったシエルの枕元にセバスチャンが視線を移すと、そこには一冊の本が置いてあった。
「クスッ。お休み前にポーなどお読みになるからですよ」
「僕の勝手だ。今日の予定は?」
「本日は本社から届いた書類のチェックを。午後はミッドフォード候爵夫人(マーショネス・オブ・ミッドフォード)とエリザベス様がお見えになります」
毎朝恒例のスケジュール確認をしていると、いきなり慌て出すシエル。
「しまった!!」
「そして坊っちゃんの――」
「支度しろ、早く!」
「?そんなに慌てて支度なさらずとも、婦人は午後から……」
「馬鹿。《あの》フランシス叔母様だぞ!!僕は着替える!ナマエは出ていろ!!」
「御意」
恭しく頭を垂れ、ナマエは静かに寝室から出た。
寝室からはわたわたと着替えるシエルの声が漏れ聞こえている。
そんな状況にクスリと声を漏らすと、屋敷の外に馬車が止まる音が聞こえてきた。と同時に、寝室から大慌てて駈け出してくる小さな主:シエル。
「お前も急げ!ナマエ」
シエルに促され、早足で主の後を追うナマエ。
玄関ホールに着くなり、シエルはヨレッとした状態でお客様をお迎えする。
「お久しぶりにお目にかかります。ミッドフォード候爵夫人。今日もまた予定よりお早いご到着で……」
「堅苦しい挨拶は結構。今起きたという顔ですね、ファントムハイヴ伯爵(アール・オブ・ファントムハイヴ)?」
「いえ、そのような……」
「やーんっ、寝起きのシエルもかわいーっ♡」
「ぐえっ」
遠慮無く抱きついてくるエリザベスの力に、シエルは青ざめた。
「エリザベス!」
ミッドフォード候爵夫人の言葉に、抱きついているエリザベスの動きが止まった。
「挨拶もなしに無礼なマネはよしなさい。この母の実家といえど、レディたるもの礼節をわきまえろといつも……」
「ごめんなさいお母様!!」
《あの》エリザベスが恐れをなす程の気迫を出す候爵夫人。
やがてその視線は娘:エリザベスからシエルの傍に控えている二人へと移された。
「お久しぶりにお目にかかります。候爵夫人、エリザベス様。ようこそいらっしゃいました。本日は遠方より――……?……あの……えっと……私の顔に何か……」
候爵夫人がジーっとセバスチャンの顔を凝視するため、流石のセバスチャンも状況を理解出来ずにいた。
「いやらしい顔だな、お前は!相変わらず」
「生まれつきこの顔でして……」
「それに!執事(おまえ)も主(シエル)も男のクセにダラダラと前髪を伸ばしおってうっとおしい!タナカを見習え!!」
「ヒッ!!」
ガッとセバスチャンの前髪を引っ張る候爵夫人。どうやらセバスチャンもこの方は苦手なようだった。
「おっおばさま!?お待ち下さっ……ちょっああああ」
暫くして出来上がったのは、七三分けのシエルとオールバックのセバスチャン。
「お手数おかけして申し訳ありません……叔母様……」
「全くだ。フンッ」
「あんまりかわいくない……」
あまりの変貌ぶりにナマエがクスクス笑い声を漏らしていると、候爵夫人の視線がナマエへと移った。
「お前か?エリザベスが言っていた新しい家庭教師というのは」