真紅と漆黒
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そんな主の姿を見て、ナマエはなんとも言えない表情を作るしかなかった。
「……今日はもう休む。二人共下がれ」
「おやすみなさいませ、坊っちゃん」
「仰せのままに」
シエルに部屋から出るよう命じられ、静かに室外へ出た二人。
「さて……明日の準備をしながら、少しお話をお伺いできますか?ナマエ」
「……わかった」
朝食の準備をするためキッチンへ向かう二人。
窓からは大きな月が二人の姿を照らしていた。
「先程《あの世から引きずり戻された》、と仰いましたよね?」
銀食器を磨く手を止めることなく、セバスチャンはナマエに問うた。
「うん……最も、《この世界》ではないところから引っ張られて来たと思うけどね」
「どういう意味です?」
「私は――最初から切り裂きジャックの正体を知っていた」
ナマエの答えに、セバスチャンの手がピタリと止まった。
「私が生きていた《世界》では、《この世界》の事が綴られている本があった。ソレを読んでいたから……こうなる事を知っていた」
「ならば……何故止めなかったのですか?マダム・レッドを」
紅茶色の瞳を細めながら、セバスチャンはナマエの瞳を覗き込んだ。
「止めちゃ駄目な気がしたんだ……そもそも、なんで《この世界》にいるのかすら解らない。なんで自分が……なんで私が鵺に引きずり戻されたのか解かんないんだよ」
薄っすらと瞳に涙を滲ませていると、セバスチャンがナマエの頬に手を寄せた。
「以前にも言いましたが……《貴女》は《貴女》です。一度死んでいようが、《今ここに存在している》んです。結末が解っているからといって、何か問題でもあるのでしょうか?」
「……《攻略本》は必要ない、そうシエル様に言われた」
「それで?」
「私の存在価値なんて、皆無でしょ?」
「はぁ……何を仰るのかと思えば、そんな事ですか……」
ナマエの口から紡がれた小さな言葉に、セバスチャンは溜息を漏らした。
「確かに坊っちゃんは《攻略本》を必要としていらっしゃいません。ですが、《貴女》の事は必要としていらっしゃいますよ。不要であれば、とうの昔に私が貴女を消し去っていますからね」
「でも――んっ」
「それ以上は口にしない事です。でなければ……」
「わかった!わかったからとにかく離れろ!!」
いきなり唇にキスをされ、吐息のかかる距離で言葉を紡ぐセバスチャンを制止するナマエ。
「何故です?“お仕置き”はこれからですよ」
「そんな“お仕置き”は謹んでお断りします!!」
「貴女に断る権利はありませんよ?ナマエ」
有無を言わせぬ笑顔で迫り来るセバスチャンに、ナマエは強く目を瞑った。
「……え?」
“襲われる”と思っていたにも関わらず、セバスチャンはナマエの瞼にキスをして離れていった。
「言ったでしょう?《本気で手に入れたくなった》と。嫌がる貴女に無理強いをするつもりはありませんよ」
クスクスと笑う彼に、ナマエはキョトンとした。
「そんな顔をしていると、本当に“食べて”しまいますよ?」
「嫌!それだけは絶対に嫌だ!!」
「では、さっさと片付けてしまいましょう。貴女は私と違って睡眠をとらなければならないのですから」
ふんわりと優しい顔になったセバスチャンに、ナマエは安堵感を覚えた。
(そっか……シエルに必要とされてるのか……良かったぁ)
「……今日はもう休む。二人共下がれ」
「おやすみなさいませ、坊っちゃん」
「仰せのままに」
シエルに部屋から出るよう命じられ、静かに室外へ出た二人。
「さて……明日の準備をしながら、少しお話をお伺いできますか?ナマエ」
「……わかった」
朝食の準備をするためキッチンへ向かう二人。
窓からは大きな月が二人の姿を照らしていた。
「先程《あの世から引きずり戻された》、と仰いましたよね?」
銀食器を磨く手を止めることなく、セバスチャンはナマエに問うた。
「うん……最も、《この世界》ではないところから引っ張られて来たと思うけどね」
「どういう意味です?」
「私は――最初から切り裂きジャックの正体を知っていた」
ナマエの答えに、セバスチャンの手がピタリと止まった。
「私が生きていた《世界》では、《この世界》の事が綴られている本があった。ソレを読んでいたから……こうなる事を知っていた」
「ならば……何故止めなかったのですか?マダム・レッドを」
紅茶色の瞳を細めながら、セバスチャンはナマエの瞳を覗き込んだ。
「止めちゃ駄目な気がしたんだ……そもそも、なんで《この世界》にいるのかすら解らない。なんで自分が……なんで私が鵺に引きずり戻されたのか解かんないんだよ」
薄っすらと瞳に涙を滲ませていると、セバスチャンがナマエの頬に手を寄せた。
「以前にも言いましたが……《貴女》は《貴女》です。一度死んでいようが、《今ここに存在している》んです。結末が解っているからといって、何か問題でもあるのでしょうか?」
「……《攻略本》は必要ない、そうシエル様に言われた」
「それで?」
「私の存在価値なんて、皆無でしょ?」
「はぁ……何を仰るのかと思えば、そんな事ですか……」
ナマエの口から紡がれた小さな言葉に、セバスチャンは溜息を漏らした。
「確かに坊っちゃんは《攻略本》を必要としていらっしゃいません。ですが、《貴女》の事は必要としていらっしゃいますよ。不要であれば、とうの昔に私が貴女を消し去っていますからね」
「でも――んっ」
「それ以上は口にしない事です。でなければ……」
「わかった!わかったからとにかく離れろ!!」
いきなり唇にキスをされ、吐息のかかる距離で言葉を紡ぐセバスチャンを制止するナマエ。
「何故です?“お仕置き”はこれからですよ」
「そんな“お仕置き”は謹んでお断りします!!」
「貴女に断る権利はありませんよ?ナマエ」
有無を言わせぬ笑顔で迫り来るセバスチャンに、ナマエは強く目を瞑った。
「……え?」
“襲われる”と思っていたにも関わらず、セバスチャンはナマエの瞼にキスをして離れていった。
「言ったでしょう?《本気で手に入れたくなった》と。嫌がる貴女に無理強いをするつもりはありませんよ」
クスクスと笑う彼に、ナマエはキョトンとした。
「そんな顔をしていると、本当に“食べて”しまいますよ?」
「嫌!それだけは絶対に嫌だ!!」
「では、さっさと片付けてしまいましょう。貴女は私と違って睡眠をとらなければならないのですから」
ふんわりと優しい顔になったセバスチャンに、ナマエは安堵感を覚えた。
(そっか……シエルに必要とされてるのか……良かったぁ)