真紅と漆黒
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「どういう意味だ」
「通常《白魔術》は天体・動物・鉱物・精霊などの力を借りております。ですが、ナマエの《力》は精霊とは考えにくいのです。むしろ私(悪魔)に近い……しかしながら、悪魔の“匂い”が致しません。ナニを《糧》として仕えているのかすらわかりかねます」
フムッと顎に指をあてながらセバスチャンはナマエを見た。
「貴女の《影》からは《悪意》を感じません。むしろ、貴女を守ろうとする《善意》しか感じない。はて……何故でしょうか」
セバスチャンがナマエをじっと見つめていると、ナマエの《影》が蠢きハッキリとした人型になった。
「は?え??」
「どうやら……おでましの様でございますね」
[我らが主……大切な大切な……主]
ゆらりゆらりと立体的になっていく《影》。
その《影》はゆっくりと時間をかけてハッキリとした姿を露わにしていく。
[お初にお目にかかります、我らが主]
ナマエに向かってかしづく《影》から出てきたモノ。
[我らは主の影に棲まいしモノ……主の《願い》に従うモノ……]
「……そういう……事か」
「ん?どういう意味だ、ナマエ」
「私が“思った”事、それが《影》を通してであれば実現出来ていた理由でございます。人を《消したい》と思えば《消せ》ますし、《武器が欲しい》と思えば《影》から《武器》が出てまいりました。先程の出来事もそうです。私はセバスチャンの様に身体能力が高いわけではございません。屋根に跳び移ることも出来ませんので、強く《願い》ました。シエル様の命に応えたい、と」
琥珀色になっている双眼でシエルを見つめ返せば、視線を逸らすことなく強い意志を宿したオッドアイが現れた。
[《悪魔》がいると思えば……《首輪付き》か]
「そういう貴方は……何モノなのですか?」
クスリと妖笑を浮かべるセバスチャンを凝視する《影》。
[我らは《この世》と《あの世》との境である《影》に棲まうモノ……《名》など久しく呼ばれておらぬ故、忘れてもうたわ]
クックックッと笑う《影》。その《影》は異形の姿をしている。
濡鴉の様な長い黒髪。琥珀色の光を放つ瞳。白く透き通った陶器の様な肌。形の良い唇から覗くのは鋭く尖った犬歯。その身には真っ黒な服を着ている。
「ドラキュラ……?」
[あの様な下賤な輩と一緒にされとうない]
琥珀色の瞳を細め、声を溢したシエルを睨みつける《影》。
「《名》を忘れた、と言ったよね?」
ナマエが《影》に声をかけると、《影》は頷いた。
「なら、貴方は今日から《鵺(ぬえ)》と名乗るといい。掴みどころがなく、正体のはっきりしない貴方にはピッタリの名だしね」
[有り難き幸せ……]
ナマエが名付けてやると鵺は跪き頭を垂れたかと思った瞬間、とぷんという音を響かせナマエの影に消えていった。
「結局、お前は何者なんだ?ナマエ」
オッドアイにジッと見据えられ、ナマエは困ったように笑う。
「元《人間》といったところでしょうか……どうやら――《あの世》から鵺に引きずり戻された様です」
「《あの世》からだと!?そんな事……」
「不可能ではないと思いますよ、坊っちゃん。死神が選定時に《生かすべき》と判断した者が稀におります。様々な条件を満たした場合にのみ、ナマエのように《この世》に戻ってくるのかと……」
「だからといってこんな事!!」
「私の《存在》が異質な事は充分承知しております。シエル様が望むのであれば、直ぐにでもお傍を離れ――」
「そういう事じゃない!そういう事じゃ……」
言葉尻を小さくしながら項垂れる幼き主。
「通常《白魔術》は天体・動物・鉱物・精霊などの力を借りております。ですが、ナマエの《力》は精霊とは考えにくいのです。むしろ私(悪魔)に近い……しかしながら、悪魔の“匂い”が致しません。ナニを《糧》として仕えているのかすらわかりかねます」
フムッと顎に指をあてながらセバスチャンはナマエを見た。
「貴女の《影》からは《悪意》を感じません。むしろ、貴女を守ろうとする《善意》しか感じない。はて……何故でしょうか」
セバスチャンがナマエをじっと見つめていると、ナマエの《影》が蠢きハッキリとした人型になった。
「は?え??」
「どうやら……おでましの様でございますね」
[我らが主……大切な大切な……主]
ゆらりゆらりと立体的になっていく《影》。
その《影》はゆっくりと時間をかけてハッキリとした姿を露わにしていく。
[お初にお目にかかります、我らが主]
ナマエに向かってかしづく《影》から出てきたモノ。
[我らは主の影に棲まいしモノ……主の《願い》に従うモノ……]
「……そういう……事か」
「ん?どういう意味だ、ナマエ」
「私が“思った”事、それが《影》を通してであれば実現出来ていた理由でございます。人を《消したい》と思えば《消せ》ますし、《武器が欲しい》と思えば《影》から《武器》が出てまいりました。先程の出来事もそうです。私はセバスチャンの様に身体能力が高いわけではございません。屋根に跳び移ることも出来ませんので、強く《願い》ました。シエル様の命に応えたい、と」
琥珀色になっている双眼でシエルを見つめ返せば、視線を逸らすことなく強い意志を宿したオッドアイが現れた。
[《悪魔》がいると思えば……《首輪付き》か]
「そういう貴方は……何モノなのですか?」
クスリと妖笑を浮かべるセバスチャンを凝視する《影》。
[我らは《この世》と《あの世》との境である《影》に棲まうモノ……《名》など久しく呼ばれておらぬ故、忘れてもうたわ]
クックックッと笑う《影》。その《影》は異形の姿をしている。
濡鴉の様な長い黒髪。琥珀色の光を放つ瞳。白く透き通った陶器の様な肌。形の良い唇から覗くのは鋭く尖った犬歯。その身には真っ黒な服を着ている。
「ドラキュラ……?」
[あの様な下賤な輩と一緒にされとうない]
琥珀色の瞳を細め、声を溢したシエルを睨みつける《影》。
「《名》を忘れた、と言ったよね?」
ナマエが《影》に声をかけると、《影》は頷いた。
「なら、貴方は今日から《鵺(ぬえ)》と名乗るといい。掴みどころがなく、正体のはっきりしない貴方にはピッタリの名だしね」
[有り難き幸せ……]
ナマエが名付けてやると鵺は跪き頭を垂れたかと思った瞬間、とぷんという音を響かせナマエの影に消えていった。
「結局、お前は何者なんだ?ナマエ」
オッドアイにジッと見据えられ、ナマエは困ったように笑う。
「元《人間》といったところでしょうか……どうやら――《あの世》から鵺に引きずり戻された様です」
「《あの世》からだと!?そんな事……」
「不可能ではないと思いますよ、坊っちゃん。死神が選定時に《生かすべき》と判断した者が稀におります。様々な条件を満たした場合にのみ、ナマエのように《この世》に戻ってくるのかと……」
「だからといってこんな事!!」
「私の《存在》が異質な事は充分承知しております。シエル様が望むのであれば、直ぐにでもお傍を離れ――」
「そういう事じゃない!そういう事じゃ……」
言葉尻を小さくしながら項垂れる幼き主。