真紅と漆黒
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クイッと眼鏡を上げるウィリアムに対し、セバスチャンはクスッと笑った。
「否定はしませんが」
「首輪がついた飼い犬な分、節操のない狂犬共より幾分かマシな様ですがね」
チラリとシエルを見ると、ウィリアムはナマエに視線を寄越した。
「貴女も貴女です。何故《魔女》が人間に付き従っているのです?死神(私達)と同じ様に中立の立場であるはずの貴女が」
「?」
状況が飲み込めずにキョトンとしているナマエをよそに、ウィリアムは続ける。
「古来より《魔女》とは《人間》と《神》との橋渡し役。どちらか一方に《肩入れ》するのは《協定違反》です」
「グレルにも言われましたけど……《協定》が何?そんな事《知りません》し、私には《関係ない》んですが?」
冷めた眼でつらつらと説教じみた事を言うウィリアムに、ナマエは溜息混じりに答えた。
「私は只々《主》の命に従うのみです」
「……そうですか、残念です。貴女の様な方を敵に回したくはありません。今日はここで失礼させて頂きます……さ、帰りますよグレル・サトクリフ」
グレルの髪を引っ張り、引き摺りながら歩き出すウィリアム。
「全く……ただでさえ人手不足なのに、今日も定時で上がれないじゃないですか」
ブツブツ文句を垂れながら歩いているウィリアムに向かって、セバスチャンは持っていたグレルのデスサイズを投げつけた。
背後から投げられたソレを、ビシっと音を立てながら二本の指で受け止めたウィリアム。
「……」
「……お忘れ物ですよ」
「――どうも。では、失礼致します」
ニコッと笑いながら言ったセバスチャンに、眼鏡をクイッと上げながら礼を言うウィリアムは、そのまま路地の暗闇へと消えていった。
死神が消えた事を確認し、セバスチャンとナマエは深く息を吐いた。
「申し訳ありません。もう一匹を取り逃がしました」
「……いい。もう……いい」
虚ろな目をしながら座ってマダム・レッドの遺体を見つめているシエル。
跪きシエルの頬に手を当てたセバスチャン。
「とても冷えておいでだ。早くタウンハウスへ戻りましょう。お約束通りホットミルクをお淹れしましょうね」
「……そうだな」
漸く立ち上がったと思ったシエルだが、立つと同時に蹌踉めいた。
「坊っちゃん!」
「シエル様!?」
慌ててセバスチャンが受け止めようとするが、シエルはその腕を払い除けた。
「坊っ……」
「いい。大丈夫だ。一人で立てる」
「「……」」
「ただ……少し……疲れただけだ……」
タウンハウスに戻り、ホットミルクを飲みながらシエルは側に控えているナマエを見つめた。
「……で、お前が《魔女》だというのはどういうことだ?」
「さあ……わかりかねます」
「“わからない”?自分のことなのにか??」
「……シエル様が覚えていらっしゃるかはわかりかねますが……私はシエル様の敷地内に倒れていた《理由》すらわからないのです」
(そう……【黒執事】の世界に迷い込んだ《理由》が解らない。何故なら――私はあの時《死んだ》ハズなのだから)
「セバスチャン」
「なんでしょう?坊っちゃん」
「《魔女》とは僕の《知っている》知識の《魔女》と同じなのか?」
「……いいえ、違います」
「なら……どういう《存在》なのか説明しろ」
射抜くような視線でセバスチャンを見据えたシエルは、ナマエという《存在》の意味を知りたかった。
「あの死神が言っていたように、本来《魔女》とは《神》と《人間》との橋渡しを主に行っている《存在》です。坊っちゃんが私と契約したのは《黒魔術》によるモノ。しかし、多くの《魔女》は《白魔術》を使います。ナマエの様にグレーゾーンの《魔女》には私も今まで会ったことがございません」
「否定はしませんが」
「首輪がついた飼い犬な分、節操のない狂犬共より幾分かマシな様ですがね」
チラリとシエルを見ると、ウィリアムはナマエに視線を寄越した。
「貴女も貴女です。何故《魔女》が人間に付き従っているのです?死神(私達)と同じ様に中立の立場であるはずの貴女が」
「?」
状況が飲み込めずにキョトンとしているナマエをよそに、ウィリアムは続ける。
「古来より《魔女》とは《人間》と《神》との橋渡し役。どちらか一方に《肩入れ》するのは《協定違反》です」
「グレルにも言われましたけど……《協定》が何?そんな事《知りません》し、私には《関係ない》んですが?」
冷めた眼でつらつらと説教じみた事を言うウィリアムに、ナマエは溜息混じりに答えた。
「私は只々《主》の命に従うのみです」
「……そうですか、残念です。貴女の様な方を敵に回したくはありません。今日はここで失礼させて頂きます……さ、帰りますよグレル・サトクリフ」
グレルの髪を引っ張り、引き摺りながら歩き出すウィリアム。
「全く……ただでさえ人手不足なのに、今日も定時で上がれないじゃないですか」
ブツブツ文句を垂れながら歩いているウィリアムに向かって、セバスチャンは持っていたグレルのデスサイズを投げつけた。
背後から投げられたソレを、ビシっと音を立てながら二本の指で受け止めたウィリアム。
「……」
「……お忘れ物ですよ」
「――どうも。では、失礼致します」
ニコッと笑いながら言ったセバスチャンに、眼鏡をクイッと上げながら礼を言うウィリアムは、そのまま路地の暗闇へと消えていった。
死神が消えた事を確認し、セバスチャンとナマエは深く息を吐いた。
「申し訳ありません。もう一匹を取り逃がしました」
「……いい。もう……いい」
虚ろな目をしながら座ってマダム・レッドの遺体を見つめているシエル。
跪きシエルの頬に手を当てたセバスチャン。
「とても冷えておいでだ。早くタウンハウスへ戻りましょう。お約束通りホットミルクをお淹れしましょうね」
「……そうだな」
漸く立ち上がったと思ったシエルだが、立つと同時に蹌踉めいた。
「坊っちゃん!」
「シエル様!?」
慌ててセバスチャンが受け止めようとするが、シエルはその腕を払い除けた。
「坊っ……」
「いい。大丈夫だ。一人で立てる」
「「……」」
「ただ……少し……疲れただけだ……」
タウンハウスに戻り、ホットミルクを飲みながらシエルは側に控えているナマエを見つめた。
「……で、お前が《魔女》だというのはどういうことだ?」
「さあ……わかりかねます」
「“わからない”?自分のことなのにか??」
「……シエル様が覚えていらっしゃるかはわかりかねますが……私はシエル様の敷地内に倒れていた《理由》すらわからないのです」
(そう……【黒執事】の世界に迷い込んだ《理由》が解らない。何故なら――私はあの時《死んだ》ハズなのだから)
「セバスチャン」
「なんでしょう?坊っちゃん」
「《魔女》とは僕の《知っている》知識の《魔女》と同じなのか?」
「……いいえ、違います」
「なら……どういう《存在》なのか説明しろ」
射抜くような視線でセバスチャンを見据えたシエルは、ナマエという《存在》の意味を知りたかった。
「あの死神が言っていたように、本来《魔女》とは《神》と《人間》との橋渡しを主に行っている《存在》です。坊っちゃんが私と契約したのは《黒魔術》によるモノ。しかし、多くの《魔女》は《白魔術》を使います。ナマエの様にグレーゾーンの《魔女》には私も今まで会ったことがございません」