聚合
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ゴトンと音をたてながら、セバスチャンはクラウスとナマエの前に丼を置いた。
「てっきり京懐石か何かかと」
「クラウス様、ご存知でしたか……?丼とは古来日本から労働者を労うご馳走として用いられてきたものなのです。一仕事終えた功労者に感謝と労いの意を込めて振る舞われた料理……それが丼という食べ物なのです!!」
セバスチャンの気迫に、ナマエを含めた3人は固まった。
「かつては庶民が憧れた宮廷料理《芳飯》というものが丼の元祖と言われております。それに……凝りに凝った料理にクラウス様の舌は飽いていらっしゃるかと思いまして、最高級の肉をシンプルに味わって頂くためにこのような趣向を凝らしてみました」
長々と説明された内容を呆然と聞いていたクラウスは、いきなり笑い出した。
「はっはっは。シエル!!最高だよ。君はいつでも私を驚かせてくれる!この業界にはユーモアに欠ける連中が多くてね。だが君とならこれからも楽しくやれそうだ」
「それは光栄だな」
「日本の丼がそんなに奥深い料理だったとはな。君は実に知識人だ」
「恐れ入ります」
クラウスの言葉に恭しく礼をするセバスチャン。
「正に君らの言う通り、イタリアの濃い料理に飽き飽きしていたところだ。頂くよ」
「レディもどうぞお召し上がり下さい」
セバスチャンに促され、ナマエは箸を手に取った。
「おや……私の言っている言葉が解るようになったのですか?」
「なんとなく……会話は出来るようになったみたいです」
不思議そうに自身を見つめるセバスチャンに、ナマエは自信なさげに答えた。
「そうですか……それは良う御座いました」
ニコリと微笑むと、セバスチャンは言葉を続けた。
「ワインの方はお口に合わせまして、イタリア産の物をご用意致しました」
セバスチャンがワインの説明をするが、そのワインはグラスに注がれる様子はなかった。
「HASHIというのはムズカシイなー」
クラウスが箸で丼と格闘している所に、ぎこちない動きでメイリンがワインを持って来た。
グラスに注がれると思っていたワインをナマエは黙って見つめる。と、そのワインはグラスではなくテーブルへと注がれていった。
あと少しでクラウスにワインが溢れるという状況になった時、セバスチャンが動いた。
一瞬にしてテーブルクロスはその姿を消したのである。
「……ん?……お……おおっ!!?テ……テーブルクロスはどこにいった!?」
危機的状況を乗り切った事に笑みを浮かべるシエル。
「クロスに《ちょっとした汚れ》がついていたから下げさせた。気にしないでくれ」
「大変失礼致しました。ごゆっくりお食事をお楽しみ下さい」
シエルの後ろにいるセバスチャンは、テーブルクロスを抱えてこれまた恭しく礼をしている。
食事を終えた所で、丼が下げられた。
「君の執事は実に有能だな、シエル」
「ふっ……有能?。奴(アレ)は僕の下僕(もの)として当然の仕事をしたまでだ」
「厳しいな。はっはっは。だが、きっと英国中探してもあれだけの器量を持つ逸材は中々いないぞ?」
「当然だ。だが僕が奴を雇っている理由はそれだけじゃない」
「?」
「――僕は奴(セバスチャン)のスイーツより美味いスイーツをまだ食べたことがなくてね」
シエルの言葉に、クラウスは呆気にとられていた。
「――ふ。ははは!確かに子供(きみ)には実に重大な理由だな!」
「今日のデザートが楽しみだ」
スプーンを見ながら、シエルは子供らしからぬ顔で笑った。
「ところで……レディ、先ほどセバスチャンと何やら話していたようだが――」
「私達の言語で話せるのか?」
2人に見据えられながら、ナマエはゆっくりと言葉を紡いだ。
「なんとなく……ですが、仰っている内容は理解出来るようになりました。喋る自信はまだありません、です」
「……ほう。その割にはきちんと喋っているようだな」
シエルがほくそ笑みながらナマエを見つめていると、なんとも言えない空気になった。
「お待たせ致しました」
その空気を一変させたのは、デザートを持って現れたセバスチャンだった。
「食後のデザートでございます」
目の前に置かれたのは、アプリコットと抹茶のミルフィーユ。シエルが一目置くだけあって、確かに美味しそうだった。
「てっきり京懐石か何かかと」
「クラウス様、ご存知でしたか……?丼とは古来日本から労働者を労うご馳走として用いられてきたものなのです。一仕事終えた功労者に感謝と労いの意を込めて振る舞われた料理……それが丼という食べ物なのです!!」
セバスチャンの気迫に、ナマエを含めた3人は固まった。
「かつては庶民が憧れた宮廷料理《芳飯》というものが丼の元祖と言われております。それに……凝りに凝った料理にクラウス様の舌は飽いていらっしゃるかと思いまして、最高級の肉をシンプルに味わって頂くためにこのような趣向を凝らしてみました」
長々と説明された内容を呆然と聞いていたクラウスは、いきなり笑い出した。
「はっはっは。シエル!!最高だよ。君はいつでも私を驚かせてくれる!この業界にはユーモアに欠ける連中が多くてね。だが君とならこれからも楽しくやれそうだ」
「それは光栄だな」
「日本の丼がそんなに奥深い料理だったとはな。君は実に知識人だ」
「恐れ入ります」
クラウスの言葉に恭しく礼をするセバスチャン。
「正に君らの言う通り、イタリアの濃い料理に飽き飽きしていたところだ。頂くよ」
「レディもどうぞお召し上がり下さい」
セバスチャンに促され、ナマエは箸を手に取った。
「おや……私の言っている言葉が解るようになったのですか?」
「なんとなく……会話は出来るようになったみたいです」
不思議そうに自身を見つめるセバスチャンに、ナマエは自信なさげに答えた。
「そうですか……それは良う御座いました」
ニコリと微笑むと、セバスチャンは言葉を続けた。
「ワインの方はお口に合わせまして、イタリア産の物をご用意致しました」
セバスチャンがワインの説明をするが、そのワインはグラスに注がれる様子はなかった。
「HASHIというのはムズカシイなー」
クラウスが箸で丼と格闘している所に、ぎこちない動きでメイリンがワインを持って来た。
グラスに注がれると思っていたワインをナマエは黙って見つめる。と、そのワインはグラスではなくテーブルへと注がれていった。
あと少しでクラウスにワインが溢れるという状況になった時、セバスチャンが動いた。
一瞬にしてテーブルクロスはその姿を消したのである。
「……ん?……お……おおっ!!?テ……テーブルクロスはどこにいった!?」
危機的状況を乗り切った事に笑みを浮かべるシエル。
「クロスに《ちょっとした汚れ》がついていたから下げさせた。気にしないでくれ」
「大変失礼致しました。ごゆっくりお食事をお楽しみ下さい」
シエルの後ろにいるセバスチャンは、テーブルクロスを抱えてこれまた恭しく礼をしている。
食事を終えた所で、丼が下げられた。
「君の執事は実に有能だな、シエル」
「ふっ……有能?。奴(アレ)は僕の下僕(もの)として当然の仕事をしたまでだ」
「厳しいな。はっはっは。だが、きっと英国中探してもあれだけの器量を持つ逸材は中々いないぞ?」
「当然だ。だが僕が奴を雇っている理由はそれだけじゃない」
「?」
「――僕は奴(セバスチャン)のスイーツより美味いスイーツをまだ食べたことがなくてね」
シエルの言葉に、クラウスは呆気にとられていた。
「――ふ。ははは!確かに子供(きみ)には実に重大な理由だな!」
「今日のデザートが楽しみだ」
スプーンを見ながら、シエルは子供らしからぬ顔で笑った。
「ところで……レディ、先ほどセバスチャンと何やら話していたようだが――」
「私達の言語で話せるのか?」
2人に見据えられながら、ナマエはゆっくりと言葉を紡いだ。
「なんとなく……ですが、仰っている内容は理解出来るようになりました。喋る自信はまだありません、です」
「……ほう。その割にはきちんと喋っているようだな」
シエルがほくそ笑みながらナマエを見つめていると、なんとも言えない空気になった。
「お待たせ致しました」
その空気を一変させたのは、デザートを持って現れたセバスチャンだった。
「食後のデザートでございます」
目の前に置かれたのは、アプリコットと抹茶のミルフィーユ。シエルが一目置くだけあって、確かに美味しそうだった。