真紅と漆黒
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完璧に令嬢を演じるナマエ。その姿にシエルは安堵の溜息を漏らした。
「駒鳥のお姉様か……なんと美しい黒髪――まさに黒鳥の様だ」
「お褒めに預かり恐縮ですわ、子爵」
「それよりも……駒鳥はもっと楽しいことをご所望だったね」
視線をナマエからシエルへと戻すと、先程の続きと言わんばかりにシエルの手を握るドルイット子爵。
「え……ええ。子爵はご存知?もっと楽しいこと……」
「もちろん。君になら教えてあげるよ可愛い駒鳥……」
ドルイット子爵は遠慮なくシエルの顎を指で掬い上げた。
「楽しいことって?」
「知りたい?」
「とっても、興味ありますわ」
ダンスをしている人集りの向こうから、エリザベスがシエルを凝視しているのが肌で分かる。
「君には少し早いかもしれないよ」
「私、もう一人前のレディなんですのよ」
「マダムに内緒にできる?」
「もちろん。できます……わ!」
「さっきから何を気にしているのかな?」
「えっ!?あ、いや……」
「2人で内緒話なんて酷いですわ」
シエルに助け舟を出そうと、ナマエは会話に割って入る。が、それと同時に広間に銅鑼の音が大きく響き渡った。
ちょうどエリザベスの前にクローゼットと共に現れたのは仮面をつけたセバスチャン。
いきなりの登場に周りがざわついた。
「宴も酣。お集まりの紳士淑女の皆様にここで一つ、このクローゼットを使った魔術(マジック)をご覧に入れましょう。そこの貴方、ご協力願えますか?」
「我かい?いいとも」
まるで打ち合わせしていたかの様に、セバスチャンは劉を指名した。
「この何の変哲もないクローゼット。今から私がこれに入ります」
いきなり催された余興に、ドルイット子爵は首を傾げた。
「手品なんか頼んだ覚えはないんだが……?」
「子爵、私手品も見飽きてますの。だから……ね?」
「わかったよ、私の駒鳥。仕方のない子だ!奥へどうぞ」
階段を登りカーテンを捲ると、そこにはドアが現れた。
「私もご一緒してもいいかしら?」
「……まあ、いいだろう。黒鳥、君もご招待しよう」
扉の奥へと進むと、広間から大歓声が聞こえてきた。
「なんだか広間が盛り上がってますね」
「ふ……これから行く所はもっと楽しい、いい所だよ」
辿り着いた先にあるドアを開けると、やけに甘ったるい匂いが漂ってきた。
「いいと……!?」
「しまっ……!?」
薄れゆく意識の中で最後に聞こえたのはドルイット子爵の妖艶な声だった。
「ご静粛に。お集まりの皆様、次はお待ちかねの目玉商品です」
静まり返ったと思いきや、聞こえてくるのはドルイット子爵の声。
「ではご覧ください。観賞用として楽しむもよし。愛玩するも良し。儀式用にも映えるでしょう。バラ売りするのもお客様次第。ここまでの商品はなかなか手に入りませんよ。瞳の色は美しい空を映した海と深き森のコントラスト。只今お見せいたしましょう。スタートは1000から!」
ドルイット子爵の声に、シエルの目を覆っていた布が外された。
どんどんと値上がっていくシエルの売買金額。それを聞きながら、シエルはゆっくりと瞼を持ち上げた。
「さあ、もう次はいらっしゃいませんか?」
「セバスチャン、僕はここだ」
シエルが小さく呟くと、会場を照らしていた蝋燭の灯りが消え真っ暗な闇に包まれた。
「!?」
「なんだ!?」
「駒鳥のお姉様か……なんと美しい黒髪――まさに黒鳥の様だ」
「お褒めに預かり恐縮ですわ、子爵」
「それよりも……駒鳥はもっと楽しいことをご所望だったね」
視線をナマエからシエルへと戻すと、先程の続きと言わんばかりにシエルの手を握るドルイット子爵。
「え……ええ。子爵はご存知?もっと楽しいこと……」
「もちろん。君になら教えてあげるよ可愛い駒鳥……」
ドルイット子爵は遠慮なくシエルの顎を指で掬い上げた。
「楽しいことって?」
「知りたい?」
「とっても、興味ありますわ」
ダンスをしている人集りの向こうから、エリザベスがシエルを凝視しているのが肌で分かる。
「君には少し早いかもしれないよ」
「私、もう一人前のレディなんですのよ」
「マダムに内緒にできる?」
「もちろん。できます……わ!」
「さっきから何を気にしているのかな?」
「えっ!?あ、いや……」
「2人で内緒話なんて酷いですわ」
シエルに助け舟を出そうと、ナマエは会話に割って入る。が、それと同時に広間に銅鑼の音が大きく響き渡った。
ちょうどエリザベスの前にクローゼットと共に現れたのは仮面をつけたセバスチャン。
いきなりの登場に周りがざわついた。
「宴も酣。お集まりの紳士淑女の皆様にここで一つ、このクローゼットを使った魔術(マジック)をご覧に入れましょう。そこの貴方、ご協力願えますか?」
「我かい?いいとも」
まるで打ち合わせしていたかの様に、セバスチャンは劉を指名した。
「この何の変哲もないクローゼット。今から私がこれに入ります」
いきなり催された余興に、ドルイット子爵は首を傾げた。
「手品なんか頼んだ覚えはないんだが……?」
「子爵、私手品も見飽きてますの。だから……ね?」
「わかったよ、私の駒鳥。仕方のない子だ!奥へどうぞ」
階段を登りカーテンを捲ると、そこにはドアが現れた。
「私もご一緒してもいいかしら?」
「……まあ、いいだろう。黒鳥、君もご招待しよう」
扉の奥へと進むと、広間から大歓声が聞こえてきた。
「なんだか広間が盛り上がってますね」
「ふ……これから行く所はもっと楽しい、いい所だよ」
辿り着いた先にあるドアを開けると、やけに甘ったるい匂いが漂ってきた。
「いいと……!?」
「しまっ……!?」
薄れゆく意識の中で最後に聞こえたのはドルイット子爵の妖艶な声だった。
「ご静粛に。お集まりの皆様、次はお待ちかねの目玉商品です」
静まり返ったと思いきや、聞こえてくるのはドルイット子爵の声。
「ではご覧ください。観賞用として楽しむもよし。愛玩するも良し。儀式用にも映えるでしょう。バラ売りするのもお客様次第。ここまでの商品はなかなか手に入りませんよ。瞳の色は美しい空を映した海と深き森のコントラスト。只今お見せいたしましょう。スタートは1000から!」
ドルイット子爵の声に、シエルの目を覆っていた布が外された。
どんどんと値上がっていくシエルの売買金額。それを聞きながら、シエルはゆっくりと瞼を持ち上げた。
「さあ、もう次はいらっしゃいませんか?」
「セバスチャン、僕はここだ」
シエルが小さく呟くと、会場を照らしていた蝋燭の灯りが消え真っ暗な闇に包まれた。
「!?」
「なんだ!?」