真紅と漆黒
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「いえ?違います」
「あいつが恋人なんて作るとは思えん」
ナマエとシエルから否定されるも、マダム・レッドは納得出来なかった。
「ならなんであんたにキスしてったのよ!?」
「さぁ……ただの意地悪じゃないかと思いますが……」
「いたずらだろうな、ナマエに対しての」
「はぁ!?意地悪やらいたずらでキスしないわよ!普通は!!」
「彼、普通じゃないですから」
「だな」
そんな会話を繰り返していると、漸くタウンハウスに馬車が到着した。
「は~ぁ。やっとついたねぇ。腰痛いよ~」
「グレルが道間違えるから、エライ遠回りしちゃったじゃない!」
「スイマセン、スイマセン」
プンスカと怒っているマダム・レッドに、グレルは必死に頭を下げている。
(この腰の低さが芝居とは……死神恐るべしだなぁ)
「まあまあ、マダム・レッド。午後の紅茶(アフタヌーンティー)でも飲んで一息入れようじゃない……か……」
劉が屋敷のドアを開けると、そこには恭しく礼をしているセバスチャンがいた。
「お帰りなさいませ。お待ちしておりました。アフタヌーンティーの準備ができております。今日のおやつは洋梨とブラックベリーのコーンミールケーキです」
「ん」
シエルから帽子を受け取りながら、セバスチャンは中へ入るように促した。
「ちょっと……あんたなんでココに!?」
「おやつ、おやつ」
マダム・レッドの声を無視し、シエルはおやつ目掛けてまっすぐ歩いて行く。
「え?用事が済みましたので、先に戻らせて頂いておりました」
ニコリと笑うセバスチャンに、マダム・レッドと劉は驚いていた。
「《用事》って、もう名簿が作れたの!?」
「いえ?先程の条件に基いた全ての方の名簿を作り、全ての方に《直接》お話を伺って来た《だけ》ですよ。貴族の主治医まで調べていたので少々時間がかかりましたが」
セバスチャンから紡がれる言葉に、ナマエ以外の3人はぽかんとしていた。
「ちょっとセバスチャン……そりゃあんた、いくらなんでも無理が……」
マダム・レッドの言葉にフッと微笑むと、セバスチャンは封蝋していた書類を広げ読みだした。
「チェインバーズ伯爵家主治医:ウィリアム・サマセット。メアリ・ニコルズ殺害時ハーウッド伯爵主催のパーティーに出席にてアリバイあり。秘密結社等の関与なし――」
次々と調査結果を読み上げると、シエルとナマエは笑みを溢した。
「以上の調査結果により――条件を満たす人間はただ一人にまで絞り込めました。詳しいお話はお茶にしてからに致しましょう」
「……ははっ。一体どんな手を使ったのよセバスチャン?あんた本当にただの執事?O.H.M.S.S(女王陛下秘密情報部)とかなんじゃないの?」
「……いいえ。私は――あくまで執事ですから」
「《医学・解剖学に精通する者》《事件発覚前夜にアリバイのない者》そして《秘密結社や黒魔術に関わりがある者》。この条件を満たしているのはただ一人。ドルイット子爵:アレイスト・チェンバー様だけです。医大は卒業していますが、病院への勤務や開業はしていません。シーズンには何度か自宅でパーティーを催しています……が、どうやら彼と親しい者だけが参加できる秘密パーティーが催されているという話です」
「ドルイット子爵家……そういえば黒魔術みたいのにハマってるって噂は聞いたことあるわね。バラなんとかとか、黄金のなんとかとか……」
「つまりその《裏パーティー》で儀式的なことが行われていて、娼婦達が供物にされてる疑いがあるって事か」
「ええ」
マダム・レッドは考えこみ、劉は優雅に紅茶を飲んでいる。
そんな中、ナマエはシエルと共におやつを食べながら話を聞いていた。
「本日も19時よりドルイット子爵邸でパーティーが行われます。もうすぐシーズンも終わりますし、潜り込めるチャンスは今夜が最後と思っていいでしょう」
「マダム・レッド」
おやつを食べ終えたシエルは真剣な面持ちでマダム・レッドに向き直った。
「《そういう》わけだ。なんとかなるか」
「舐めないでくれるかしら?私結構モテるのよ。招待状の一つや二つ、どうにでもしてあげるわ」
「決定(きまり)だな。なんとしてもその《裏パーティー》に潜り込むんだ。ファントムハイヴの名は一切出さないこと。取り逃がすことになりかねん。チャンスは一度きりだ!」
「割と盛大ねぇ。やっぱり今夜が今年のシーズン最後なのかしら」
「楽しい夜になりそうじゃないか」
「一度警戒されれば終わりだ。いいか、遊びに来ている訳じゃない。気を抜くな!」
賑わうパーティー会場では、それぞれドレスアップした面々が集まっていた。
「あいつが恋人なんて作るとは思えん」
ナマエとシエルから否定されるも、マダム・レッドは納得出来なかった。
「ならなんであんたにキスしてったのよ!?」
「さぁ……ただの意地悪じゃないかと思いますが……」
「いたずらだろうな、ナマエに対しての」
「はぁ!?意地悪やらいたずらでキスしないわよ!普通は!!」
「彼、普通じゃないですから」
「だな」
そんな会話を繰り返していると、漸くタウンハウスに馬車が到着した。
「は~ぁ。やっとついたねぇ。腰痛いよ~」
「グレルが道間違えるから、エライ遠回りしちゃったじゃない!」
「スイマセン、スイマセン」
プンスカと怒っているマダム・レッドに、グレルは必死に頭を下げている。
(この腰の低さが芝居とは……死神恐るべしだなぁ)
「まあまあ、マダム・レッド。午後の紅茶(アフタヌーンティー)でも飲んで一息入れようじゃない……か……」
劉が屋敷のドアを開けると、そこには恭しく礼をしているセバスチャンがいた。
「お帰りなさいませ。お待ちしておりました。アフタヌーンティーの準備ができております。今日のおやつは洋梨とブラックベリーのコーンミールケーキです」
「ん」
シエルから帽子を受け取りながら、セバスチャンは中へ入るように促した。
「ちょっと……あんたなんでココに!?」
「おやつ、おやつ」
マダム・レッドの声を無視し、シエルはおやつ目掛けてまっすぐ歩いて行く。
「え?用事が済みましたので、先に戻らせて頂いておりました」
ニコリと笑うセバスチャンに、マダム・レッドと劉は驚いていた。
「《用事》って、もう名簿が作れたの!?」
「いえ?先程の条件に基いた全ての方の名簿を作り、全ての方に《直接》お話を伺って来た《だけ》ですよ。貴族の主治医まで調べていたので少々時間がかかりましたが」
セバスチャンから紡がれる言葉に、ナマエ以外の3人はぽかんとしていた。
「ちょっとセバスチャン……そりゃあんた、いくらなんでも無理が……」
マダム・レッドの言葉にフッと微笑むと、セバスチャンは封蝋していた書類を広げ読みだした。
「チェインバーズ伯爵家主治医:ウィリアム・サマセット。メアリ・ニコルズ殺害時ハーウッド伯爵主催のパーティーに出席にてアリバイあり。秘密結社等の関与なし――」
次々と調査結果を読み上げると、シエルとナマエは笑みを溢した。
「以上の調査結果により――条件を満たす人間はただ一人にまで絞り込めました。詳しいお話はお茶にしてからに致しましょう」
「……ははっ。一体どんな手を使ったのよセバスチャン?あんた本当にただの執事?O.H.M.S.S(女王陛下秘密情報部)とかなんじゃないの?」
「……いいえ。私は――あくまで執事ですから」
「《医学・解剖学に精通する者》《事件発覚前夜にアリバイのない者》そして《秘密結社や黒魔術に関わりがある者》。この条件を満たしているのはただ一人。ドルイット子爵:アレイスト・チェンバー様だけです。医大は卒業していますが、病院への勤務や開業はしていません。シーズンには何度か自宅でパーティーを催しています……が、どうやら彼と親しい者だけが参加できる秘密パーティーが催されているという話です」
「ドルイット子爵家……そういえば黒魔術みたいのにハマってるって噂は聞いたことあるわね。バラなんとかとか、黄金のなんとかとか……」
「つまりその《裏パーティー》で儀式的なことが行われていて、娼婦達が供物にされてる疑いがあるって事か」
「ええ」
マダム・レッドは考えこみ、劉は優雅に紅茶を飲んでいる。
そんな中、ナマエはシエルと共におやつを食べながら話を聞いていた。
「本日も19時よりドルイット子爵邸でパーティーが行われます。もうすぐシーズンも終わりますし、潜り込めるチャンスは今夜が最後と思っていいでしょう」
「マダム・レッド」
おやつを食べ終えたシエルは真剣な面持ちでマダム・レッドに向き直った。
「《そういう》わけだ。なんとかなるか」
「舐めないでくれるかしら?私結構モテるのよ。招待状の一つや二つ、どうにでもしてあげるわ」
「決定(きまり)だな。なんとしてもその《裏パーティー》に潜り込むんだ。ファントムハイヴの名は一切出さないこと。取り逃がすことになりかねん。チャンスは一度きりだ!」
「割と盛大ねぇ。やっぱり今夜が今年のシーズン最後なのかしら」
「楽しい夜になりそうじゃないか」
「一度警戒されれば終わりだ。いいか、遊びに来ている訳じゃない。気を抜くな!」
賑わうパーティー会場では、それぞれドレスアップした面々が集まっていた。