真紅と漆黒
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シエルの頬をつついているアンダーテイカーの腕を捻り上げ、ナマエは綺麗な笑顔で告げた。
「それ以上シエル様に小汚い手で触れないで頂きたいですね」
「これは失礼……ヒッヒッヒ……」
笑いながらシエルから離れたアンダーテイカーの腕をナマエは解放した。
「犯人が《裏の人間》の可能性があるなら、必ず君が此処へ召喚されると思った。きっとまた殺されるよ。ああいうのはね、誰かが止めるまで止まらないものさ。止められるかい?《悪の貴族》ファントムハイヴ伯爵」
ニタリと笑うアンダーテイカー。シエルは話は終わりだとばかりに立ち上がり、セバスチャンに上着を着せられている。
「裏社会には裏社会のルールがある。理由もなく表の人間を殺めず、裏の力を以って侵略しない。女王の庭を穢す者は、我が紋にかけて例外なく排除する。どんな手段を使ってもだ」
暗い光をその目に灯したシエルは当たり前だとばかりに言い切った。
「邪魔したな、アンダーテイカー」
葬儀屋からタウンハウスへ帰る道中の馬車内。そこではアンダーテイカーから聞き出した情報をまとめていた。
「さっきの話で大分絞れるな」
「そうですね……まず《医学・解剖学に精通する者》、その中で《事件発覚前夜にアリバイのない者》。そして臓器などを持ち去っていることから儀式性……《秘密結社や黒魔術に関わる者》も挙げられます」
「ちょっと……どこが絞れてんのよ。このシーズンに一体どれだけの人が首都(ロンドン)に集まってると思うの!?ロンドンの医者だけじゃなくて、貴族が地方から連れて来た主治医もいんのよ?ついでに医者になってない医大卒業生だっているし、劉みたく鍼を使う渡来人だって人体には詳しいわ。それにあと1週間もしないうちにシーズンが終わって、主治医は地方に帰ってしまう――」
「では、それまでに調べれば良いのです」
「なんだって……?」
何でも無いかの様に告げるセバスチャンの言葉に、劉は聞き間違えたのかと思った。
「シーズンが終わる前に全ての人物を尋ね、アリバイを確認すれば済む話です」
「確認すれば済むって……まだ正確な数もわかってないのよ!?」
「おまかせ下さい。ファントムハイヴ家の執事たる者、それくらい出来なくてどうします?」
至極当たり前の様に言うセバスチャン。その言葉にシエルは笑みを浮かべた。
「では早速容疑者名簿を作り、全ての人物をあたってみようと思います」
「えっちょ……」
「坊っちゃんの事、頼みましたよ?」
ナマエに向かって怪しげに微笑むセバスチャン。
「言われなくても、シエル様は守ります」
「……それでは、行ってまいりますナマエ」
リップ音を響かせながらナマエの頬にキスをすると、セバスチャンは走っている馬車の扉を開けた。
「わっ」
「グレルさんでしたっけ?どうぞ安全運転で屋敷までよろしくお願いします」
「えっ、あっハイ!?」
「では失礼致します」
シエルがさっさと行けと手を振ると、セバスチャンはそのまま身を乗り出し馬車の外へ出るやいなや扉を閉めた。
「ちょっと!?この馬車走ってんのよ!?」
マダム・レッドと劉が馬車後方の窓から外を見るも、そこにはセバスチャンの姿はなかった。
「い……いない……ってあんたはちゃんと前見なさい!!ぶつかるー!!」
「あ、ハッハイ!!すいませ……」
漸く馬車内が落ち着いた所で、マダム・レッドは溜息を吐いた。
「セバスチャンはああ言ったけど……」
「うちの執事(セバスチャン)がやると言ったんだ。かならず何かをつかんで帰ってくるだろう。僕らは紅茶でも飲みながら待っていればいい」
「えらい信頼してるのねぇ」
「……別にそういう訳じゃない。ただ《あいつ》は嘘だけはつかない。絶対に」
「――そう、彼と伯爵の間には長い時間を共に過ごしてきた分ゆるがないものがあるのさ。いつでも彼は伯爵に連れ添ってきた。まるで影のようにね」
「……セバスチャンは僕に仕えてまだ2年だが?」
「あ、そうだっけ?」
「短……って、あんたセバスチャンの恋人なの?」
窓から外の景色を眺めていると、不意にマダム・レッドから声をかけられたナマエ。
「それ以上シエル様に小汚い手で触れないで頂きたいですね」
「これは失礼……ヒッヒッヒ……」
笑いながらシエルから離れたアンダーテイカーの腕をナマエは解放した。
「犯人が《裏の人間》の可能性があるなら、必ず君が此処へ召喚されると思った。きっとまた殺されるよ。ああいうのはね、誰かが止めるまで止まらないものさ。止められるかい?《悪の貴族》ファントムハイヴ伯爵」
ニタリと笑うアンダーテイカー。シエルは話は終わりだとばかりに立ち上がり、セバスチャンに上着を着せられている。
「裏社会には裏社会のルールがある。理由もなく表の人間を殺めず、裏の力を以って侵略しない。女王の庭を穢す者は、我が紋にかけて例外なく排除する。どんな手段を使ってもだ」
暗い光をその目に灯したシエルは当たり前だとばかりに言い切った。
「邪魔したな、アンダーテイカー」
葬儀屋からタウンハウスへ帰る道中の馬車内。そこではアンダーテイカーから聞き出した情報をまとめていた。
「さっきの話で大分絞れるな」
「そうですね……まず《医学・解剖学に精通する者》、その中で《事件発覚前夜にアリバイのない者》。そして臓器などを持ち去っていることから儀式性……《秘密結社や黒魔術に関わる者》も挙げられます」
「ちょっと……どこが絞れてんのよ。このシーズンに一体どれだけの人が首都(ロンドン)に集まってると思うの!?ロンドンの医者だけじゃなくて、貴族が地方から連れて来た主治医もいんのよ?ついでに医者になってない医大卒業生だっているし、劉みたく鍼を使う渡来人だって人体には詳しいわ。それにあと1週間もしないうちにシーズンが終わって、主治医は地方に帰ってしまう――」
「では、それまでに調べれば良いのです」
「なんだって……?」
何でも無いかの様に告げるセバスチャンの言葉に、劉は聞き間違えたのかと思った。
「シーズンが終わる前に全ての人物を尋ね、アリバイを確認すれば済む話です」
「確認すれば済むって……まだ正確な数もわかってないのよ!?」
「おまかせ下さい。ファントムハイヴ家の執事たる者、それくらい出来なくてどうします?」
至極当たり前の様に言うセバスチャン。その言葉にシエルは笑みを浮かべた。
「では早速容疑者名簿を作り、全ての人物をあたってみようと思います」
「えっちょ……」
「坊っちゃんの事、頼みましたよ?」
ナマエに向かって怪しげに微笑むセバスチャン。
「言われなくても、シエル様は守ります」
「……それでは、行ってまいりますナマエ」
リップ音を響かせながらナマエの頬にキスをすると、セバスチャンは走っている馬車の扉を開けた。
「わっ」
「グレルさんでしたっけ?どうぞ安全運転で屋敷までよろしくお願いします」
「えっ、あっハイ!?」
「では失礼致します」
シエルがさっさと行けと手を振ると、セバスチャンはそのまま身を乗り出し馬車の外へ出るやいなや扉を閉めた。
「ちょっと!?この馬車走ってんのよ!?」
マダム・レッドと劉が馬車後方の窓から外を見るも、そこにはセバスチャンの姿はなかった。
「い……いない……ってあんたはちゃんと前見なさい!!ぶつかるー!!」
「あ、ハッハイ!!すいませ……」
漸く馬車内が落ち着いた所で、マダム・レッドは溜息を吐いた。
「セバスチャンはああ言ったけど……」
「うちの執事(セバスチャン)がやると言ったんだ。かならず何かをつかんで帰ってくるだろう。僕らは紅茶でも飲みながら待っていればいい」
「えらい信頼してるのねぇ」
「……別にそういう訳じゃない。ただ《あいつ》は嘘だけはつかない。絶対に」
「――そう、彼と伯爵の間には長い時間を共に過ごしてきた分ゆるがないものがあるのさ。いつでも彼は伯爵に連れ添ってきた。まるで影のようにね」
「……セバスチャンは僕に仕えてまだ2年だが?」
「あ、そうだっけ?」
「短……って、あんたセバスチャンの恋人なの?」
窓から外の景色を眺めていると、不意にマダム・レッドから声をかけられたナマエ。