真紅と漆黒
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「ここからが本題だが……数日前、ホワイトチャペルで娼婦の殺人事件があった」
「何日か前から新聞が騒いでるヤツよね?知ってるわ。だけど……《あんた》が動くってことは何かあるんでしょう」
「そうだ。ただの殺人ではない。猟奇的……いや、最早異常といっていい。それが《彼女》の悩みのタネというわけだ」
「どういうこと?」
「被害者の娼婦:メアリ・ニコルズは、何か特殊な刃物で原形も留めない程滅茶苦茶に切り裂かれていたそうです」
「市警(シティヤード)や娼婦達は犯人をこう呼んでいるそうだ。切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)」
セバスチャンの用意したお茶菓子を頬張りながら、シエルは続けた。
「僕も早く状況を確認せねばと思い、急ぎロンドンへ来たというわけだ」
シエルの言葉に、劉はふっと笑った。
「女王の番犬が何を嗅ぎつけるのか我はとても興味深いな……だけど、君にあの現場を見る勇気があるのかい?」
挑発的に言う劉にシエルは語気を強めた。
「……どういう意味だ」
「現場に充満する闇と獣の匂いが同じ業の者を蝕む。足を踏み入れれば、狂気に囚われてしまうかもしれないよ」
椅子から立ち上がり、劉はシエルに近づきその頬に手を当てた。
「その覚悟はあるのかい?ファントムハイヴ伯爵」
「僕は“彼女”の憂いを掃うためここに来た。くだらない質問をするな」
暗い……深い闇の色を宿した瞳で劉を見返すシエル。
「――いいね。いい目だ」
劉はそれに満足し、言葉を続けた。
「そうと決まれば直ぐに行こうじゃないか伯爵!!」
「ちょっと!!ったく!!男ってのはせっかちね!お茶くらいゆっくり飲みなさいよ。私も行くわ。現場ってドコなのよ、劉」
「知らないのかい?マダム」
シエルからマダム・レッドへ視線を移し、劉は訊いた。
「なーんだーあ。じゃあそのへんの人に聞いてみないとダメじゃないか」
ヤレヤレ、と溜息を吐いた劉にマダム・レッドが怒りを露わにした。
「アンタ今まで知らないでしゃべってたワケ!?」
「あの長い前フリは何だったんだ」
青筋を立てるシエルを放置し、劉とマダム・レッドが言い合いになってしまった。
「落ちつけ。ハァー。誰も現場に行くとは言ってない」
「「え?」」
シエルの言葉に、言い合いをしていた2人は反応を示した。
「どうせすでにヤジ馬だらけでろくに調べもできんだろう。僕が行けば警察(ヤード)もいい顔をせんだろうしな」
「じゃあどーすんのよ」
「伯爵……まさか……」
「その《まさか》だ。僕もできるなら避けたい道だがやむをえん。こういう事件に《奴》ほど確かな情報を持っている奴はいないからな」
青ざめながら溜息を吐いたシエルは、心底嫌そうだった。
「――で、ここどこ?」
「あんたさっき知ってる風だったわよね!?」
シエルとセバスチャンに連れてこられたのは一軒の葬儀屋だった。
「坊っちゃんのお知り合いが経営なさっている葬儀屋さん(アンダーテイカー)ですよ」
「アンダーテイカー?」
連れてこられた者の疑問に答えることなく、シエルは店の中へと足を踏み入れた。
「いるか、アンダーテイカー」
「何日か前から新聞が騒いでるヤツよね?知ってるわ。だけど……《あんた》が動くってことは何かあるんでしょう」
「そうだ。ただの殺人ではない。猟奇的……いや、最早異常といっていい。それが《彼女》の悩みのタネというわけだ」
「どういうこと?」
「被害者の娼婦:メアリ・ニコルズは、何か特殊な刃物で原形も留めない程滅茶苦茶に切り裂かれていたそうです」
「市警(シティヤード)や娼婦達は犯人をこう呼んでいるそうだ。切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)」
セバスチャンの用意したお茶菓子を頬張りながら、シエルは続けた。
「僕も早く状況を確認せねばと思い、急ぎロンドンへ来たというわけだ」
シエルの言葉に、劉はふっと笑った。
「女王の番犬が何を嗅ぎつけるのか我はとても興味深いな……だけど、君にあの現場を見る勇気があるのかい?」
挑発的に言う劉にシエルは語気を強めた。
「……どういう意味だ」
「現場に充満する闇と獣の匂いが同じ業の者を蝕む。足を踏み入れれば、狂気に囚われてしまうかもしれないよ」
椅子から立ち上がり、劉はシエルに近づきその頬に手を当てた。
「その覚悟はあるのかい?ファントムハイヴ伯爵」
「僕は“彼女”の憂いを掃うためここに来た。くだらない質問をするな」
暗い……深い闇の色を宿した瞳で劉を見返すシエル。
「――いいね。いい目だ」
劉はそれに満足し、言葉を続けた。
「そうと決まれば直ぐに行こうじゃないか伯爵!!」
「ちょっと!!ったく!!男ってのはせっかちね!お茶くらいゆっくり飲みなさいよ。私も行くわ。現場ってドコなのよ、劉」
「知らないのかい?マダム」
シエルからマダム・レッドへ視線を移し、劉は訊いた。
「なーんだーあ。じゃあそのへんの人に聞いてみないとダメじゃないか」
ヤレヤレ、と溜息を吐いた劉にマダム・レッドが怒りを露わにした。
「アンタ今まで知らないでしゃべってたワケ!?」
「あの長い前フリは何だったんだ」
青筋を立てるシエルを放置し、劉とマダム・レッドが言い合いになってしまった。
「落ちつけ。ハァー。誰も現場に行くとは言ってない」
「「え?」」
シエルの言葉に、言い合いをしていた2人は反応を示した。
「どうせすでにヤジ馬だらけでろくに調べもできんだろう。僕が行けば警察(ヤード)もいい顔をせんだろうしな」
「じゃあどーすんのよ」
「伯爵……まさか……」
「その《まさか》だ。僕もできるなら避けたい道だがやむをえん。こういう事件に《奴》ほど確かな情報を持っている奴はいないからな」
青ざめながら溜息を吐いたシエルは、心底嫌そうだった。
「――で、ここどこ?」
「あんたさっき知ってる風だったわよね!?」
シエルとセバスチャンに連れてこられたのは一軒の葬儀屋だった。
「坊っちゃんのお知り合いが経営なさっている葬儀屋さん(アンダーテイカー)ですよ」
「アンダーテイカー?」
連れてこられた者の疑問に答えることなく、シエルは店の中へと足を踏み入れた。
「いるか、アンダーテイカー」