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屋敷に戻ってこれたのは日が暮れてからだった。
シエルは相変わらずセバスチャンに抱き抱えられたままであり、ナマエは焦点の合わない目でセバスチャンの後ろを黙って歩いている。
「あっ、セバスチャンさん、ナマエさんおかえりなさいっ」
帰宅にいち早く気付いたフィニアンの声に、使用人達の視線が集まる。
「只今戻りました」
笑顔のセバスチャンとムッスリとしたシエル。特にケガも無さそうなナマエ。
「セバスチャンさんどうしたんですだか、その服!?」
「セバスチャン。おめーよォ、わかりづれんだよ伝言がァ!!」
「シエル坊っちゃんケガしてる!!」
「出先で転んだだけ……」
「伝言?」
「パイだよ、パイ!!」
シエルがなんとも無いと言うと、フィニアンとメイリンは抱き抱えられているシエルを羨望の眼差しで見つめた。
「なんだ」
「抱っこ(それ)……なんか高い高いみたいで、楽しそうですね!」
「楽しいわけあるかッ!!」
「悩みすぎて何もできなかったじゃねーか!!」
「何もしてないわけですね」
シエルはフィニアンに、セバスチャンはバルドロイにそれぞれタンコブを作った。
「まったく……」
「坊っちゃん」
セバスチャンの声にシエルが振り向くと、セバスチャンは地面に膝をついて頭を垂れていた。
「申し訳ありません。ファントムハイヴ家執事にあるまじき失態……どう償えばよろしいのか……」
あまりにも張り詰めた空気に、一同の視線が集まる。
「本日の夕食の準備が全く出来ておりません」
“あの日”から、ナマエは私室からあまり出てこなくなった。
必要最低限の仕事と食事はしている。しかし、今までは時折庭で黒猫と戯れたりキッチンに入り浸っていた。それがなくなったのだ。
先日の“事件”が新聞で賑わいを見せている頃、使用人達はキッチンに集まり“事件”について話しをしていた。
「なになに?イタリア貿易商フェッロカンパニー、何者かに襲われ死傷者多数……?」
「倫敦(ロンドン)で何かあっただか?」
「らしいぜ。生存者はみんな、うわ言のように《化け物》やら《悪魔》しか言わねぇてんでまとめて病院送りだと」
新聞記事を大まかに説明するバルドロイ。それに対し、フィニアンは泣きそうになっていた。
「うぇ~。怖いぃ~。何があったんだろ~」
「フェッロといやぁ金のために相当ひでーことばっかしてたって噂だし、そいつらの恨みつらみが怨霊となって~」
バルドロイがおどろおどろしく言うと、そこに乾いた音が鳴り響いた。
「ぎゃ~っ!!出たーッ!!!」
「……何をしてるんです、貴方達は」
バルドロイにしがみついているフィニアンとメイリンを見て呆れ果てるセバスチャン。
「あ……」
「セバスチャンさん……」
「貴方達……油を売ってる暇があるならさっさと仕事なさい!」
バルドロイが床に落とした新聞を拾いあげながら、セバスチャンは3人に怒りを露わにした。
「全くもう……何をそんなに騒いで……」
新聞の記事に目を落とすと、セバスチャンはクスッと笑った。
「……嗚呼……」
セバスチャンが事態を把握した時、チリリーンとベルが鳴った。
「やれやれ。今度は何のご用でしょうね」
独りごちながらも、セバスチャンはシエルのいる部屋へ向かった。
シエルは相変わらずセバスチャンに抱き抱えられたままであり、ナマエは焦点の合わない目でセバスチャンの後ろを黙って歩いている。
「あっ、セバスチャンさん、ナマエさんおかえりなさいっ」
帰宅にいち早く気付いたフィニアンの声に、使用人達の視線が集まる。
「只今戻りました」
笑顔のセバスチャンとムッスリとしたシエル。特にケガも無さそうなナマエ。
「セバスチャンさんどうしたんですだか、その服!?」
「セバスチャン。おめーよォ、わかりづれんだよ伝言がァ!!」
「シエル坊っちゃんケガしてる!!」
「出先で転んだだけ……」
「伝言?」
「パイだよ、パイ!!」
シエルがなんとも無いと言うと、フィニアンとメイリンは抱き抱えられているシエルを羨望の眼差しで見つめた。
「なんだ」
「抱っこ(それ)……なんか高い高いみたいで、楽しそうですね!」
「楽しいわけあるかッ!!」
「悩みすぎて何もできなかったじゃねーか!!」
「何もしてないわけですね」
シエルはフィニアンに、セバスチャンはバルドロイにそれぞれタンコブを作った。
「まったく……」
「坊っちゃん」
セバスチャンの声にシエルが振り向くと、セバスチャンは地面に膝をついて頭を垂れていた。
「申し訳ありません。ファントムハイヴ家執事にあるまじき失態……どう償えばよろしいのか……」
あまりにも張り詰めた空気に、一同の視線が集まる。
「本日の夕食の準備が全く出来ておりません」
“あの日”から、ナマエは私室からあまり出てこなくなった。
必要最低限の仕事と食事はしている。しかし、今までは時折庭で黒猫と戯れたりキッチンに入り浸っていた。それがなくなったのだ。
先日の“事件”が新聞で賑わいを見せている頃、使用人達はキッチンに集まり“事件”について話しをしていた。
「なになに?イタリア貿易商フェッロカンパニー、何者かに襲われ死傷者多数……?」
「倫敦(ロンドン)で何かあっただか?」
「らしいぜ。生存者はみんな、うわ言のように《化け物》やら《悪魔》しか言わねぇてんでまとめて病院送りだと」
新聞記事を大まかに説明するバルドロイ。それに対し、フィニアンは泣きそうになっていた。
「うぇ~。怖いぃ~。何があったんだろ~」
「フェッロといやぁ金のために相当ひでーことばっかしてたって噂だし、そいつらの恨みつらみが怨霊となって~」
バルドロイがおどろおどろしく言うと、そこに乾いた音が鳴り響いた。
「ぎゃ~っ!!出たーッ!!!」
「……何をしてるんです、貴方達は」
バルドロイにしがみついているフィニアンとメイリンを見て呆れ果てるセバスチャン。
「あ……」
「セバスチャンさん……」
「貴方達……油を売ってる暇があるならさっさと仕事なさい!」
バルドロイが床に落とした新聞を拾いあげながら、セバスチャンは3人に怒りを露わにした。
「全くもう……何をそんなに騒いで……」
新聞の記事に目を落とすと、セバスチャンはクスッと笑った。
「……嗚呼……」
セバスチャンが事態を把握した時、チリリーンとベルが鳴った。
「やれやれ。今度は何のご用でしょうね」
独りごちながらも、セバスチャンはシエルのいる部屋へ向かった。