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コンコンと扉をノックするも、中から返事がない。
「……?」
「いないみたいですねぇ」
「坊っちゃん?」
ゆっくりとセバスチャンが扉を開けて中を覗き見る。
するとそこにはシエルの姿はなく、開け放たれた窓と、窓から入ってくる風で散乱された書類だけの空間が広がっていた。
「これは――……嗚呼……何という事だ……せっかくの紅茶が無駄になってしまった……」
「はい?心配するトコってそこ!?」
ナマエの言葉を無視し、溜息を吐くとセバスチャンは部屋から出て行った。
その後を追うようにナマエも部屋を出る。
「セッセバスチャンさーん」
持って来たティーセットとお茶菓子を片付けていると、メイリンが慌ただしく走ってきた。
「いっ今玄関にお手紙が」
「誰宛です?」
「えと《シエル・ファントムハイヴ卿従者(バレット)殿》宛ですだ、がっ!?」
解けていた靴紐を踏み、見事にセバスチャンへ向かって転んでいくメイリン。そんな彼女に押し倒れる形で床に倒れるセバスチャン。そこへ一発の銃弾が飛んできてガラスが割れる音が派手に響いた。
「なななな!?」
「やれやれ」
ムクリと起き上がって持っていたトレイを横にだすと、そのトレイの上に宙に浮いていたケーキが見事に収まった。
「メイリン、手紙を」
「えっあっハイですだ」
「随分品の無い招待状ですね」
「内容はどういったものですか?」
言葉は理解できても、文字の読み書きは未だに出来ないナマエはセバスチャンに問うた。
「簡単に申し上げますと、坊っちゃんは誘拐されたようですね」
「誘拐……ねぇ」
フム、とナマエが思考を巡らせているとバタバタと足音を立てながらバルドロイとフィニアンがやって来た。
「おいおい、一体どうしたってんだ!二人して座り込んで!!」
「大丈夫ですか!?」
「いえ、大した事ありませんよ」
あくまで優雅に微笑みながら、メイリンを支え立ち上がるセバスチャン。
「皆さん申し訳ありませんが、此処の片付けと晩餐の準備をお願いできますか?」
「?そりゃいーけどよ」
「私は少々ヤボ用ができました。あとコレも片付けておいて下さい」
手紙を胸ポケットにしまい、お茶菓子であるケーキをバルドロイに手渡すセバスチャン。
「お、おう?」
「ナマエさんも皆さんと……」
漸くナマエに振り返ったセバスチャンは、その紅茶色の瞳を見開いた。
「この傷は……?」
「傷?」
スッと頬を撫でられると、チクリとした痛みが走った。
「ちょっと……痛い」
「女性の顔に傷をつけるとは……お痛が過ぎますね」
眉間に皺を寄せながら言うセバスチャンの手を振り払い、ナマエはポツリと言葉を紡いだ。
『……私も行く』
「ナマエさん?」
『かすり傷とはいえ、顔に傷をつけられたんだ……許しはしない。ぜーったいに後悔させてやる』
わなわなと怒りを露わにするナマエにクスリと笑うと、セバスチャンは歩き出した。
「夕食までには戻ります。行きますよ、ナマエさん」
そこからは実に速かった。スプーン以外の銀食器(シルバー)を速やかに持ち出し、自身を狙った狙撃手を追いかける彼の腕にはナマエは抱き抱えられていた。
「……」
「どうかなさいましたか?」
「……自分で走れますから、降ろして下さい」
「……?」
「いないみたいですねぇ」
「坊っちゃん?」
ゆっくりとセバスチャンが扉を開けて中を覗き見る。
するとそこにはシエルの姿はなく、開け放たれた窓と、窓から入ってくる風で散乱された書類だけの空間が広がっていた。
「これは――……嗚呼……何という事だ……せっかくの紅茶が無駄になってしまった……」
「はい?心配するトコってそこ!?」
ナマエの言葉を無視し、溜息を吐くとセバスチャンは部屋から出て行った。
その後を追うようにナマエも部屋を出る。
「セッセバスチャンさーん」
持って来たティーセットとお茶菓子を片付けていると、メイリンが慌ただしく走ってきた。
「いっ今玄関にお手紙が」
「誰宛です?」
「えと《シエル・ファントムハイヴ卿従者(バレット)殿》宛ですだ、がっ!?」
解けていた靴紐を踏み、見事にセバスチャンへ向かって転んでいくメイリン。そんな彼女に押し倒れる形で床に倒れるセバスチャン。そこへ一発の銃弾が飛んできてガラスが割れる音が派手に響いた。
「なななな!?」
「やれやれ」
ムクリと起き上がって持っていたトレイを横にだすと、そのトレイの上に宙に浮いていたケーキが見事に収まった。
「メイリン、手紙を」
「えっあっハイですだ」
「随分品の無い招待状ですね」
「内容はどういったものですか?」
言葉は理解できても、文字の読み書きは未だに出来ないナマエはセバスチャンに問うた。
「簡単に申し上げますと、坊っちゃんは誘拐されたようですね」
「誘拐……ねぇ」
フム、とナマエが思考を巡らせているとバタバタと足音を立てながらバルドロイとフィニアンがやって来た。
「おいおい、一体どうしたってんだ!二人して座り込んで!!」
「大丈夫ですか!?」
「いえ、大した事ありませんよ」
あくまで優雅に微笑みながら、メイリンを支え立ち上がるセバスチャン。
「皆さん申し訳ありませんが、此処の片付けと晩餐の準備をお願いできますか?」
「?そりゃいーけどよ」
「私は少々ヤボ用ができました。あとコレも片付けておいて下さい」
手紙を胸ポケットにしまい、お茶菓子であるケーキをバルドロイに手渡すセバスチャン。
「お、おう?」
「ナマエさんも皆さんと……」
漸くナマエに振り返ったセバスチャンは、その紅茶色の瞳を見開いた。
「この傷は……?」
「傷?」
スッと頬を撫でられると、チクリとした痛みが走った。
「ちょっと……痛い」
「女性の顔に傷をつけるとは……お痛が過ぎますね」
眉間に皺を寄せながら言うセバスチャンの手を振り払い、ナマエはポツリと言葉を紡いだ。
『……私も行く』
「ナマエさん?」
『かすり傷とはいえ、顔に傷をつけられたんだ……許しはしない。ぜーったいに後悔させてやる』
わなわなと怒りを露わにするナマエにクスリと笑うと、セバスチャンは歩き出した。
「夕食までには戻ります。行きますよ、ナマエさん」
そこからは実に速かった。スプーン以外の銀食器(シルバー)を速やかに持ち出し、自身を狙った狙撃手を追いかける彼の腕にはナマエは抱き抱えられていた。
「……」
「どうかなさいましたか?」
「……自分で走れますから、降ろして下さい」