奇劇
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シエル達の目に入ったのは、廃墟と化した貧困院だった。
さすがのシエルも、この光景には目を見開いて絶句していた。
「どうやらケルヴィン男爵は嘘を吐いていたようですね。この老廃ぶりを見るに、ここは大分長い間無人だったようですし……あの医師の口ぶりからして、ここにいた子供達ももしかすると……」
しゃがみ込み、落ちているぬいぐるみを手にしながら呟くセバスチャン。
シエルは廃墟となっている光景をただただ見つめながら、ジョーカー達の最後を思い出していた。
「……ふ。……っ。くっ……」
「坊ちゃん?」
「シエル……」
「あははははははは。あーははははは」
突然大声で笑いだすシエルに、セバスチャンは目を瞠った。
「何もなかったんだ。あいつらの守るべきものなんて、とっくに存在してなかった。そんなことも知らないであんなに必死になって、死んでいった!!あははははは。必死な願いを嘲笑い、虫けらのように踏みにじる。姑息で、残酷で、醜悪で、悪魔よりよっぽど悪魔らしいじゃないか。なあ!あはははは、はははははっ」
壊れた機械のように笑い続けるシエルを見て、ナマエは胸が痛んだ。
(こうなる事は解ってた……解ってたけど…………)
「ははっ……は……」
一頻り笑い終えると、シエルは力なくよろめき呟いた。
「――僕も同じだ。僕にも、あいつらと同じ醜い中身が詰まってる。これが人間だ!」
胸の辺りを服の上から握りしめ、シエルは叫んだ。
「人間なんだよ!!セバスチャン!!」
顔を上げたシエルの表情には悲痛な思いが滲み出ていた。
「ええ、そうですね。悪魔と違い、醜悪で複雑な悪意を持ち、嘘つきで――」
セバスチャンが目を伏せながらシエルの言葉に返答していると、また強い風が吹いた。
「!」
その突風に、シエルの帽子に結ばれていたリボンが解けてしまう。
「あ……」
シエルが咄嗟に手を伸ばすも間に合わず、セバスチャンも手を伸ばすがついにはリボンに手が届かなかった。
「だから人間って面白いんですよね」
飛んでいくリボンを眺めながら、セバスチャンは何かを思いながらそう言った。
「なら、その“人間”を大事にしなよ?セバスチャン」
「突然なんですか、ナマエ」
「深い意味はないよ。ただ、大事なモノは慎重に扱わないとすぐに壊れてしまうって事。ね?シエル」
「……意味が解らん」
ナマエは言いたい事だけ言うと、目を細めながら風に流されていくリボンを見つめていた。
さすがのシエルも、この光景には目を見開いて絶句していた。
「どうやらケルヴィン男爵は嘘を吐いていたようですね。この老廃ぶりを見るに、ここは大分長い間無人だったようですし……あの医師の口ぶりからして、ここにいた子供達ももしかすると……」
しゃがみ込み、落ちているぬいぐるみを手にしながら呟くセバスチャン。
シエルは廃墟となっている光景をただただ見つめながら、ジョーカー達の最後を思い出していた。
「……ふ。……っ。くっ……」
「坊ちゃん?」
「シエル……」
「あははははははは。あーははははは」
突然大声で笑いだすシエルに、セバスチャンは目を瞠った。
「何もなかったんだ。あいつらの守るべきものなんて、とっくに存在してなかった。そんなことも知らないであんなに必死になって、死んでいった!!あははははは。必死な願いを嘲笑い、虫けらのように踏みにじる。姑息で、残酷で、醜悪で、悪魔よりよっぽど悪魔らしいじゃないか。なあ!あはははは、はははははっ」
壊れた機械のように笑い続けるシエルを見て、ナマエは胸が痛んだ。
(こうなる事は解ってた……解ってたけど…………)
「ははっ……は……」
一頻り笑い終えると、シエルは力なくよろめき呟いた。
「――僕も同じだ。僕にも、あいつらと同じ醜い中身が詰まってる。これが人間だ!」
胸の辺りを服の上から握りしめ、シエルは叫んだ。
「人間なんだよ!!セバスチャン!!」
顔を上げたシエルの表情には悲痛な思いが滲み出ていた。
「ええ、そうですね。悪魔と違い、醜悪で複雑な悪意を持ち、嘘つきで――」
セバスチャンが目を伏せながらシエルの言葉に返答していると、また強い風が吹いた。
「!」
その突風に、シエルの帽子に結ばれていたリボンが解けてしまう。
「あ……」
シエルが咄嗟に手を伸ばすも間に合わず、セバスチャンも手を伸ばすがついにはリボンに手が届かなかった。
「だから人間って面白いんですよね」
飛んでいくリボンを眺めながら、セバスチャンは何かを思いながらそう言った。
「なら、その“人間”を大事にしなよ?セバスチャン」
「突然なんですか、ナマエ」
「深い意味はないよ。ただ、大事なモノは慎重に扱わないとすぐに壊れてしまうって事。ね?シエル」
「……意味が解らん」
ナマエは言いたい事だけ言うと、目を細めながら風に流されていくリボンを見つめていた。
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