奇劇
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「え、あ、あ゛」
「坊っちゃん」
「あ」
「何を恐れる事があるのです」
ガタガタと震え、伸ばしていたシエルの手を取りながら、セバスチャンは続けた。
「貴方は今、《檻の外》にいるのですよ。私のご主人様(マイロード)」
虚ろな目をしているシエルを抱き寄せながらも、セバスチャンは言葉を紡ぐ。
「さあ、私の名を呼んで」
抱き寄せたシエルの眼帯を解くセバスチャン。
「……セッ――ハァ、セバ、セバスチャン。セバスチャン、セバスチャン」
抱き寄せられたシエルは、セバスチャンのコートを握りながら叫んだ。
「こいつらを殺せええッ!!」
その言葉が紡がれた瞬間、先生の心臓はセバスチャンの左腕に貫かれた。
「え?」
一瞬の出来事で、何が起こったのか理解出来ぬまま先生は倒れた。
そしてシエルを抱きかかえたままセバスチャンはケルヴィン男爵の元へと近づき、その頭を踏み潰した。
「終わりましたよ」
残されたのは絶望に打ちひしがれているジョーカーと自我を失った子供達。
「燃やせ」
「燃やす?ここをですか?」
「そうだ」
「ですが坊っちゃん。女王陛下のお手紙から察するに、今回の任務は事件の犯人探しと子供達の救出では?すでに犯人は――」
「うるさい黙れ!!何も残すな。ここにある全てを灰にしろ。下僕(おまえ)の仕事を忘れたのか。命令だッ!!」
セバスチャンの眼を見据えながら言い切ったシエルは、息を荒げたまま彼の肩に頭を埋めた。
そんなシエルに溜息を溢すも、セバスチャンは左手の手袋を口を使って脱ぎ捨てると1台の燭台へと向かい左手を翳した。
何を唱えるでもなく、手を翳しただけで燃え盛る炎。
「御意、ご主人様(イエス、マイロード)」
[これが悪魔の力か……実に不愉快だ]
「鵺、仕事だ」
[?]
「罪人には永久なる苦しみを――幼き子らには安らかなる眠りを」
[……かしこまりました]
ナマエの命に鵺が膝を折ると、炎によって作られた影から無数の黒い手が現れた。
その黒い手は息絶えた者を煉獄へと連れ去り、子供達を永久の眠りへと誘った。
やがて屋敷内に火が広がり始める。
「さあ行きますよ、ナマエ」
「ん」
[主よ、こちらへ]
鵺に導かれ、3人は炎の境目を縫うように屋敷内を歩いた。
セバスチャンに抱きかかえられているシエルの目は、いまだに虚ろな状態だった。
地下から階段を登り、1階へと上がってきた頃には至る所で煙が燻りじわじわと炎が屋敷を蝕み始めていた。
やがて玄関へと辿り着いた時には、屋敷はすでに炎に飲み込まれていた。
そんな屋敷から出た所で、シエルは1人の姿を認識した。
「ブラック……セイレーン……スマイル?なんでお前らがここに……何があったんだよ!?兄貴は――」
「お亡くなりになられましたよ」
「え……」
セバスチャンの言葉に、ドールは呆然とした。
「自らの業にその身を委ね、呆気無く死んだよ」
「何言ってんだよブラック、セイレーン。なあ、スマイルもなんとか――」
掴みかかってきたドールの腕を払いのけるシエル。
「僕に――気安く触るな」
「私達は女王陛下の命により追っていたのです、児童連続誘拐犯の行方を」
「お前ら本当に警察(ヤード)だったのか!?オレらを捕まえに……」
「いいえ、違いますよ――消しに来たのです。女王の番犬、ファントムハイヴとして」
「女王の……番犬――ファントム……ハイヴ」
セバスチャンの言葉でジョーカーのテントにあった資料を思い出したドールは何かを思い出した。
「まさか……スマイルが……お前がファントムハイヴ……?じゃあ嘘だったって言うのかよ――全部――全部ッ」
「その通りだ。僕の名はシエル・ファントムハイヴ。僕の仕事はひとつだけ……女王の憂いを晴らすこと。だから殺した。ケルヴィンもジョーカーも――僕が殺した」
シエルの目には先程までの怯えはなく、冷たい光を灯していた。
「坊っちゃん」
「あ」
「何を恐れる事があるのです」
ガタガタと震え、伸ばしていたシエルの手を取りながら、セバスチャンは続けた。
「貴方は今、《檻の外》にいるのですよ。私のご主人様(マイロード)」
虚ろな目をしているシエルを抱き寄せながらも、セバスチャンは言葉を紡ぐ。
「さあ、私の名を呼んで」
抱き寄せたシエルの眼帯を解くセバスチャン。
「……セッ――ハァ、セバ、セバスチャン。セバスチャン、セバスチャン」
抱き寄せられたシエルは、セバスチャンのコートを握りながら叫んだ。
「こいつらを殺せええッ!!」
その言葉が紡がれた瞬間、先生の心臓はセバスチャンの左腕に貫かれた。
「え?」
一瞬の出来事で、何が起こったのか理解出来ぬまま先生は倒れた。
そしてシエルを抱きかかえたままセバスチャンはケルヴィン男爵の元へと近づき、その頭を踏み潰した。
「終わりましたよ」
残されたのは絶望に打ちひしがれているジョーカーと自我を失った子供達。
「燃やせ」
「燃やす?ここをですか?」
「そうだ」
「ですが坊っちゃん。女王陛下のお手紙から察するに、今回の任務は事件の犯人探しと子供達の救出では?すでに犯人は――」
「うるさい黙れ!!何も残すな。ここにある全てを灰にしろ。下僕(おまえ)の仕事を忘れたのか。命令だッ!!」
セバスチャンの眼を見据えながら言い切ったシエルは、息を荒げたまま彼の肩に頭を埋めた。
そんなシエルに溜息を溢すも、セバスチャンは左手の手袋を口を使って脱ぎ捨てると1台の燭台へと向かい左手を翳した。
何を唱えるでもなく、手を翳しただけで燃え盛る炎。
「御意、ご主人様(イエス、マイロード)」
[これが悪魔の力か……実に不愉快だ]
「鵺、仕事だ」
[?]
「罪人には永久なる苦しみを――幼き子らには安らかなる眠りを」
[……かしこまりました]
ナマエの命に鵺が膝を折ると、炎によって作られた影から無数の黒い手が現れた。
その黒い手は息絶えた者を煉獄へと連れ去り、子供達を永久の眠りへと誘った。
やがて屋敷内に火が広がり始める。
「さあ行きますよ、ナマエ」
「ん」
[主よ、こちらへ]
鵺に導かれ、3人は炎の境目を縫うように屋敷内を歩いた。
セバスチャンに抱きかかえられているシエルの目は、いまだに虚ろな状態だった。
地下から階段を登り、1階へと上がってきた頃には至る所で煙が燻りじわじわと炎が屋敷を蝕み始めていた。
やがて玄関へと辿り着いた時には、屋敷はすでに炎に飲み込まれていた。
そんな屋敷から出た所で、シエルは1人の姿を認識した。
「ブラック……セイレーン……スマイル?なんでお前らがここに……何があったんだよ!?兄貴は――」
「お亡くなりになられましたよ」
「え……」
セバスチャンの言葉に、ドールは呆然とした。
「自らの業にその身を委ね、呆気無く死んだよ」
「何言ってんだよブラック、セイレーン。なあ、スマイルもなんとか――」
掴みかかってきたドールの腕を払いのけるシエル。
「僕に――気安く触るな」
「私達は女王陛下の命により追っていたのです、児童連続誘拐犯の行方を」
「お前ら本当に警察(ヤード)だったのか!?オレらを捕まえに……」
「いいえ、違いますよ――消しに来たのです。女王の番犬、ファントムハイヴとして」
「女王の……番犬――ファントム……ハイヴ」
セバスチャンの言葉でジョーカーのテントにあった資料を思い出したドールは何かを思い出した。
「まさか……スマイルが……お前がファントムハイヴ……?じゃあ嘘だったって言うのかよ――全部――全部ッ」
「その通りだ。僕の名はシエル・ファントムハイヴ。僕の仕事はひとつだけ……女王の憂いを晴らすこと。だから殺した。ケルヴィンもジョーカーも――僕が殺した」
シエルの目には先程までの怯えはなく、冷たい光を灯していた。